オレ、母になる

フロイライン

文字の大きさ
33 / 130

handicap love

しおりを挟む
「瑛太…

ワタシ、男だよ?

好きとか付き合う対象になるの?」


瑛太のストレートな告白に、祐希は、少し困ったような表情で、そう質問した。


「なるなる

めっちゃなる。


だって、祐希は男じゃないし…」



「男だよ。

これは絶対に抗えない事。


もし、ワタシがホンモノの女だったら…


ううん…

やめとこう。」


祐希は、自嘲気味に笑い、ため息をついた。



「どちらにしても、俺は本気でお前のことが好きだ。

返事を聞かせてくれないか。」



「…」


祐希は、瑛太に対し、返事をせずにじっと見つめていた。



そして



「瑛太

ありがとう…こんな中途半端な人間を好きになってくれて」

と、自身の思いを少しずつ語りはじめた。


「正直言うとね、ワタシ

まだ、カレ…

姉の旦那さんのことね。


そのカレの事を諦めきれていないの。」



「…」


わかっていた事だが、祐希の口からそう聞かされ、瑛太は黙ってしまった。


「でも、姉や両親を悲しませたくないのも本心で…

だから、もう二度と会わないようにしようって思ったの。

顔見ちゃうと、また自分の思いを抑えられなくなってしまうから。」



「うん…」



「瑛太に好きだって言われて、あらためて、ワタシの中でカレへの気持ちがまだ強く残ってるって、そう認識してしまったのね。」


「わかるよ…

人生を棒に振る可能性があるのに、その人のために女として生きる覚悟をしたんだからな。」


「これは、違うの。

ワタシがニューハーフになった事とこの事は、別物で、単にきっかけになっただけの話なの。

ワタシは元々こうなりたかったの。
潜在的にはずっと思ってたんだと思う。


ねえ、瑛太」




「?」



「上からな言い方しちゃうんだけど、ワタシに時間をくれないかな。

今はまだ気持ちが整理出来てないから、あなたの想いに応えられない。

だから…」




「うん


祐希、わかった。


俺、待つよ


全然待てるから。


ゆっくり考えて。」


瑛太は、そう言うと、少しはにかんだような笑みを浮かべた。


祐希は、瑛太のその表情にやられ、心を鷲掴みにされてしまい…


涙目で抱きついたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

N -Revolution

フロイライン
ライト文芸
プロレスラーを目指す桐生珀は、何度も入門試験をクリアできず、ひょんな事からニューハーフプロレスの団体への参加を持ちかけられるが…

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

処理中です...