35 / 130
別離と決意
しおりを挟む
一年半前
祐希と晃は、真希に内緒で密会していた。
祐希が二人で話がしたいと言い出したために、大学まで晃が車で迎えに来て、そのままテキトーに車を走らせながら、二人で会話を交わしていたのだった。
「どうしたんだ?」
「…」
「何か俺に話があるんだろ?」
「晃さん…
一つだけ聞いていい?」
「ああ、いいよ。」
「あのとき、なんで俺にキスしたの?」
祐希は、単刀直入に晃に質問した。
「なんでって…」
晃は、困ったような表情を浮かべ、言葉に詰まってしまったが、すぐに
「キミの事が好きだからだよ」
と、ハッキリと答えた。
「晃さん
俺の方こそ、前から好きだって思ってた事
気付いてた?」
「…
うん
なんとなく」
「でも、晃さんは真希の婚約者で、俺の事が好きっていうのも、真希が一番にいて、その下にいるってことでしょ?」
「それは…」
「いいんだよ、正直に言ってもらって。
そんなの当たり前のことだし、自分の立場は弁えているつもりだよ。」
「…」
「晃さん
俺、女になる。」
「えっ?」
「ムリだって頭ではわかってるつもりだったけど、やっぱり晃さんの顔を見てたら、諦められない自分がいることに気付かされたんだ。」
「女になるって…」
「とりあえず、大学は休学するし、家も出てくよ。
そして、自分に自信がついたら、もう一度晃さんに会いに来るから。
それでダメだったら、今度こそ本当に諦める。」
助手席に座る祐希は、晃の方は向かず、正面を見たまま、そう宣言したのだった。
祐希と晃は、真希に内緒で密会していた。
祐希が二人で話がしたいと言い出したために、大学まで晃が車で迎えに来て、そのままテキトーに車を走らせながら、二人で会話を交わしていたのだった。
「どうしたんだ?」
「…」
「何か俺に話があるんだろ?」
「晃さん…
一つだけ聞いていい?」
「ああ、いいよ。」
「あのとき、なんで俺にキスしたの?」
祐希は、単刀直入に晃に質問した。
「なんでって…」
晃は、困ったような表情を浮かべ、言葉に詰まってしまったが、すぐに
「キミの事が好きだからだよ」
と、ハッキリと答えた。
「晃さん
俺の方こそ、前から好きだって思ってた事
気付いてた?」
「…
うん
なんとなく」
「でも、晃さんは真希の婚約者で、俺の事が好きっていうのも、真希が一番にいて、その下にいるってことでしょ?」
「それは…」
「いいんだよ、正直に言ってもらって。
そんなの当たり前のことだし、自分の立場は弁えているつもりだよ。」
「…」
「晃さん
俺、女になる。」
「えっ?」
「ムリだって頭ではわかってるつもりだったけど、やっぱり晃さんの顔を見てたら、諦められない自分がいることに気付かされたんだ。」
「女になるって…」
「とりあえず、大学は休学するし、家も出てくよ。
そして、自分に自信がついたら、もう一度晃さんに会いに来るから。
それでダメだったら、今度こそ本当に諦める。」
助手席に座る祐希は、晃の方は向かず、正面を見たまま、そう宣言したのだった。
3
あなたにおすすめの小説
筆下ろし
wawabubu
青春
私は京町家(きょうまちや)で書道塾の師範をしております。小学生から高校生までの塾生がいますが、たいてい男の子は大学受験を控えて塾を辞めていきます。そんなとき、男の子には私から、記念の作品を仕上げることと、筆下ろしの儀式をしてあげて、思い出を作って差し上げるのよ。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる