オレ、母になる

一年余りの間に

再会を果たした祐希と晃は、カラオケボックスの中で、話をしていた。

この一年に、お互いがどんな生活をしていたかを…



「女性ホルモン剤で、ここまで女らしい体になるのか…

信じられん。


胸も別に豊胸してないんだろ？」



「してないよ。

真希には負けちゃうけどね。」



「真希は生まれながらの女じゃないか。

それにアイツはGカップだぞ。

それに匹敵するくらい大きいじゃないか。」


「晃さん

ワタシ、ずっと双子の研究のために協力している教授がいるんだけど、その人に言われたの。

ワタシは、元々女性として生まれるはずだったって。」



「えっ！」



「だって、理論上は、男女の一卵性双生児は生まれてこないのよ。

それなのに、ワタシと真希は、紛れもなく、一卵性の男女の双子。

これが長年の研究の対象であり、謎だったの。


それが、最近判明したの。


ワタシが男として生まれてきたのは、いわゆるバグだったって。

じゃないと、女性ホルモンをしたからって、こんなに変化はしないわ。」



「そうだったのか…」



「ワタシ、ホッとしてるの。

あなたを好きになってしまったのは、自分がおかしいからじゃないかって…


でも、そうじゃなかったってわかったから…


ワタシがあなたの事を好きになったのは必然だったって…」


祐希は、澱みのない言葉で、晃に想いを伝えていった。