オレ、母になる

迷いと彷徨い

「晃さん
ワタシは、あなたのことが好きです。

だから、迷いもなく女になろうと思って、ここんな事になりました。


でも、一方で、真希を悲しませたくないと思っていることも事実です。」


「…」

祐希は、自信が持つ複雑な思いを吐露したが、晃は何も答えることができず、黙って祐希の話を聞いている事しか出来なかった。

そんな晃の様子を、祐希は落ち着いた表情で見つめ、話を続けた。


「今日、あなたに会おうと思ったのは、ワタシの気持ちにケジメをつけたかったからです。

もう一度、あなたにあって自分の本心を伝えておきたかった。

それだけです。」


祐希が一頻り話をすると、ここでようやく、晃が口を開いた。


「祐希…

僕があのとき、軽はずみな行為をしなければ、こんな事にならなかったんじゃないかって、今もそう思っている。


本当に申し訳なかった。」


晃は、以前、祐希にキスをしたことを詫びた。


「謝る必要なんてないわ。

あれがきっかけというか、ワタシがこうなることを決定づけた出来事だった事には変わりないけど…

それ以前に、もう…

ワタシは、あなたのことが好きになり始めていたし。」



「祐希…」



「ごめん

あなたを責めようと思って会ったんじゃないの。


ねえ、晃さん」



「えっ」


晃が思わず顔を上げると、美しい顔をした祐希が、意味ありげな笑みを浮かべて見つめていた。