オレ、母になる

フロイライン

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ケジメ

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「晃さん


ワタシを見てどう思った?」


祐希は、笑みを浮かべて晃に言った。


「いや、それは…

めちゃくちゃ美人で…本当にびっくりしたよ。」



「ありがとう。

ワタシも、久しぶりに晃さんに会えて思った事は…


やっぱりステキな人だなって。


単純にそう思った。」



「…」



晃は、何も答えず、俯いてしまっていた。



「今日、ワタシが晃さんに会った理由は、やっぱりあなたが大好きだって事と、努力して女性になったワタシの姿を見て欲しかったから。


そして、もう一度、自分があなたのことをどう思っているかを確かめたかったから。」



「祐希…」



「やっぱり、好きって気持ちは全然変わってないし、顔見たら…
尚更そう思っちゃった。」


「…」


「でも、別に真希からあなたを奪ってしまおうとかは思わない。

真希も両親も、私にとっては大切な家族だし、やっぱり悲しませたくないからね。」



「…」



「晃さんに美人だって言ってもらえたし、今はそれだけで満足するようにするわ。

不倫とかそういうのをしなくても済む相手を見つけて、ワタシも幸せになるから…

だから、安心して。」


祐希がそう言うと、晃は、依然として黙ったまま、俯いていた。


祐希の恋は成就せず、身を引く形になってしまった。

しかし、本人は満足とはいかないまでも、納得はしていた。


これは、自分が前に進むためのケジメであり、儀式であると。
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