オレ、母になる

フロイライン

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気の迷い

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そうだ


田子浦教授の言った通り、この感情は一時的なものかもしれない。

時間が解決してくれるかもしれない。


祐希は、気を取り直し、家に戻ってきた。


「あら、お帰りなさい。」


母の愛実が、祐希を出迎えた。



「真希いる?」



「部屋にいるわよ

晃さんが遊びに来ててね。」



「えっ…」


晃という名前を聞いた瞬間に、さっき頭に描いていたプランが音を立てて崩れてしまった。


「どうしたのよ?」




「あ、いや、田子浦教授が、フランスから帰ってきてて、真希に婚約祝いを兼ねたお土産を買ってきてくれたんだよ。

それを渡すように頼まれてさ。」



「えーっ、田子浦先生が?

それは、なんか申し訳ないわねえ。

でも、真希も喜ぶと思うから、早く届けてあげなさい。」



愛実に言われ、祐希は、真希の部屋に向かった。


部屋の前に立つと,談笑している声が聞こえてきた。


祐希は、少し緊張しながら、ドアをノックした。


すると、中から真希の声で


「はーい」

と、返事する声が聞こえてきた。


祐希がドアを開けると、真希と晃が小さなソファに二人並んで座っていた。



「どうしたの?祐希」


「祐希クン、お邪魔してます。」



「あ、ども。


いや、田子浦先生が真希にお土産だって言ってさ」


祐希は、手に持っていた小さな紙袋を真希に手渡した。


「えーっ、マジで!


スゴイ嬉しいんだけど」


真希は、感激した面持ちで袋の中を覗き込んだ。


「婚約のお祝いも込みらしいよ。」


祐希は、ポツリとそう言うと、何故か晃と目が合ってしまい、すぐに視線を下に外した。
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