オレ、母になる

フロイライン

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「あら、早かったのね?」


「お正月で道も空いてたしね。」


夫の晃を伴って、実家を訪れた真希は、母の愛実と言葉を交わした。


「明けましておめでとうございます。お義母さん。」


「明けましておめでとうございます。

晃さん、少し痩せたんじゃない?」



「そうですか?

体重自体はそんなに変わってないと思うんですけど。
最近、仕事が忙しくて、食事を取る間もないくらいで。

それで痩せちゃったのかなあ。」


晃は、首を傾げながら言った。


「ひょっとして、真希の作る料理がお口に合わないんじゃない?


そうだとしたら、親として本当に申し訳なく思うわ。」



「ちょっと、お母さん

ヒドくない?

ちゃんと作ってるし、晃も美味しいって言ってくれるもん。

ねえ?」



真希が横目で見て、晃に言うと


「えっ、あっ、うんうん。

美味しいよ。」

と、慌てた様子で返事した。


「今、お父さんが木曽路にお弁当を取りに行ってるのよ。

すき焼き弁当。」



「あ、あそこのお店の、美味しいよね。」


真希は、愛実にそう言ったが、すぐに何かを思い出したように、周りを見回しながら言った。


「ねえ、祐希は?」

と。



「帰ってきてないわ。」


「えっ?

帰ってきてないの?

あのバカ、お正月くらいは帰って来いよなあ。

大学も休学しちゃったし、ホント、どこで何してんだか」


真希は、呆れた口調でそう言った。



晃は、一瞬、バツの悪そうな顔をしたが、その表情の変化に、真希も愛実も気付くことはなかった。


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