オレ、母になる

フロイライン

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結局のところ

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「キミが女性ホルモン剤を使用して女性の肉体に近づこうとしている行為は、謂わば、元の姿に戻ろうとしているだけなのかもしれない。」


田子浦がそう言うと、祐希は、少し嬉しそうな顔をした。


「じゃあ、ワタシがこんな事をしているのも自然の流れだと?」


「女性になりたい衝動であったり、嗜好であったりが変化したのは、そうかもしれない。


しかし、真希君のご主人を好きになってしまったのは…キミ達が一卵性の男女の双子であるという、稀な状況が生み出してしまったものなのかもしれない。」


田子浦の説明に対し、今度は少し悲しげな表情となった祐希だったが…


「ところで、祐希君

大学を休んで、何をしているんだ?」


「はい…

日々、女性らしくなるための努力をする事に、時間を使っています。

でも、それじゃあ生活をしていけませんので、ニューハーフのお店で働かせていただいて、生計を立てています。」


「なるほどな

今、幸せか?」



「幸せ…


に、なりたいですね。


いえ、幸せになれないと思いますけど、ワタシの中に芽生えてしまったこの感情を、どうしても抑えることが出来ませんので…

やれる事は全部やるつもりです。」



「そうか…
わかったよ。

軽々しくは言えんが、キミが幸せになれる事を祈っているよ。


大学の方にもたまには遊びに顔を出しなさい。

そのときは飯でも奢らせてもらうよ。」


田子浦の言葉に、祐希は、恐縮しながらも深々と頭を下げた。


ニューハーフになってからというもの、自分の過去を知る者との接触を極力避けてきた。

それでも、こうして情であったり、優しさに触れると嬉しいもので…

祐希は、涙が止まらなくなってしまった。
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