Dad, save me

フロイライン

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genius

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あまり寝れなかった

タイムトラベルの疲れか

この時代に体が慣れてないからか

女性の体になってしまったからか


ガンだからか…

それはわからない。



「枕が合わなかったんじゃない?」


山中教授は、俺にそう言って笑った。


たしかに、そうかもしれない。

四半世紀…

二十五年で、世の中は大きく変わったといえる。

この時代の日本は、まだまだ経済的にも元気で、イケイケの雰囲気がする。
テレビを見てても。もう崩壊は始まっているのに誰も気づいてないのがイタイかんじだけど。


まあ、俺にとって、そんなのはどうでもいい事で。

とにかく、親父に状況を説明して信じてもらって、俺の病気を治してもらう事が先決だ。



「さて、そろそろ行くか。

多分、高野君は大学の研究室にいるはずだ。」


山中教授は、見た事ないデニム姿で現れ、俺に声をかけてきた。


「変わったデザインですね。そのデニム」


「ん?

これか?

今は下火みたいだけど、あんまファッションには興味ないからね、僕は。」


後から聞いたところによると、ケミカルウォッシュっていって、バブル期の八十年代後半に流行ったものらしい。

ダサい…


着るもののない俺も、お揃いのものを貸してもらい、裾を折って履いた。

上もまた変なトレーナーだ。



「すまんなあ、高野君のところに行った後に、服を買いに行こう。」


「すいません。

下着も出来たら…」


「ああ。
一式揃えよう。

さて、車を出しといたから、早く乗って。」


「はい。」


俺は、ヘンテコな車に乗せてもらい、一路親父のいる大学を目指した。



車のラジオからは、イラクがクウェートに侵攻のニュースなどが流れており、この時代の不安定さを感じさせた。


「株価も下がっててね。

昨年、東証平均株価で史上最高値をつけたのに、今年はもう一万以上下がっている。
一体、どうなるのかねえ、我が国は。」


「あ、今年か来年で日本経済は崩壊します。

株価も二万くらい下がるんじゃないですか。」


「本当か?
それは…」


「はい。

ここから冬の時代の始まりで、日本は惨めな経験をすることになります。」


「信じられん。」


「たしか五年前に中国にもGDPで抜かれて、今三位ですよ。」


俺は、大学の時に世界経済について勉強してたので、山中教授に未来の現実を教えてやった。
2015年の現実ってやつを。


「いい時代だったってことだな、今までが。」


山中教授は、そう呟きながら、ハンドルを切り、大学の敷地に入っていった。
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