ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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流浪

亮輔と多喜の二人は、近くの古めかしい喫茶店で無為に時をすごしていた。 

「社長と合流するのは何時ですか?」 

多喜はコーヒーを一口飲んで、亮輔に視線を送った。 

「多分夜の10時くらいだと思うけど。」 

「まだ結構時間がありますね。」 

「そうね。」 

「捜しませんか?本物の綾香さんを…」 

「えっ?」 

「このまま放置してたら、なんかヤバい気がするんですよ。」 

「確かに…あの人が綾香を見つけたら… 考えただけでも恐ろしいわ。」 

「専務、行きましょう!」 

亮輔と多喜は店を出て歩き出した。 

「綾香は沢木のシマにいるのはわかってるんだけど… 問題はそのどこにいるか… 沢木が経営する店をあたるしかないわね。」 

「とは言っても、どうやって見つけます?」 

「とりあえずここからよ。」 

亮輔はさっきの空き店舗を指差して言った。 

「えっ!? でも、ここは立正会の…」 

亮輔は首を横に振った。 

「違うわ。その隣りよ。」 

空き店舗の隣りにもキャバクラがあった。 

「paradisso‥
これが沢木の店だって、どうしてわかるんですか?」 

「さっき、隣りで、立正会の男が社長に説明してるとき、もう一人は外に出て、周囲を異常に警戒していたわ。この店の方向をね。」 

「そうだったんですか?」 

「ええ。多分、ここは沢木のシマの中よ。そう考えれば、何故立正会がウチにあんな好条件で話を持ち掛けたのかが理解できるわ。」 

「そうか… 立正会が垂水組系の沢木のシマで表立って商売すれば、沢木組としても意地でも叩き潰さないとメンツが立たない。ただし、現行法の中では、やれる事は限られてる。それは立正会側としても同じ事。
店を手に入れても、ここで商売するほどの気概は見せられなかったと‥」 

「そう。そこで都合よく出てきたのがウチってわけ。 

多村組としては、中国マフィアに勢力を伸ばされ、勢いのない東京は現状維持に心掛け、ここに第二の拠点にするきっかけとなる。

立正会としては、沢木のシマに間接的にではあるけど、杭を打つことが出来る。」 

「なるほど…」 

「さあ、入るわよ。」 

多喜にそう言うと、亮輔はそのキャバクラの裏口に回っていった。 

「すいませーん!」 

ドアが開いていたので、誰かがいるのは確実だった。 

「ん… 誰? 面接??」 

中年の男が出て来て、怪訝な顔をした。
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