ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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懐柔編

真空

優磨と未来の美男美女カップルの結婚式は、大いに盛り上がり、未来の事を元男性だと思う者は誰一人いなかった。
勿論、その素性を知っている者を除いて…


薫は、広い会場をぐるりと見回した。
別に何かがあったからとかではなく、ただ、何となく視線が向いた。

大友達が不穏な動きを見せていると聞いていたが、少なくともこの会場内に危険な雰囲気は一切なく、外の大阪府警や、その他の人々が警戒してくれているおかげであろう…

そんな思いに包まれながら、薫はまた新郎新婦の方に視線を戻した。


これからケーキに入刀するらしく、立派なウエディングケーキが会場内に運ばれてくるところだった。


「うわっ、スゲェ…」

隣で多喜が、あまりのケーキの大きさに感嘆の声を上げた。

「ホントだね、すごいケーキだわ。」


ホテルの係の男性二人が慎重にケーキを運んでいる。
よく、ハプニング映像とかでケーキを倒してしまうシーンを目にするが、これはこれで緊張すると、無事に運ばれるのを祈るような目で見る薫だった。

しかし、そんな彼女の思いとは裏腹に、ケーキが新郎新婦のところに行く途中で倒れてしまったのだ。

会場から悲鳴が上がった。


あろうことか、ハプニング映像さながらの出来事がここで起きてしまったのだ。

焦る係の男達…

いや、一人は焦っているが、もう一人はそうでもない。
その証拠に、無表情のままで倒れたケーキに近づきしゃがみ込んでいる。


薫は、不思議に思った。


今、ケーキが倒れたが…

薫の目には、この無表情の男がわざと倒したように見えたからだ。


なぜ、そんな事を…


そう、思った瞬間、しゃがみ込んでいた男が、黒いものを手にして立ち上がるのが見えた。


「あっ!」


何人かが声を上げた。



(あれは…)


男が手にしたものが銃だと認識するのと同時に、発泡音が会場に鳴り響いた。


連続して何発も…


音が鳴った瞬間、多喜が自分に覆い被さってくるのが見えた。
スローモーションのように…


銃声が止んだ後、一瞬だけ、会場内が静寂に包まれた。
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