どんぐり

フロイライン

文字の大きさ
30 / 54

性を賭ける少女

しおりを挟む
「叔父さんを信用するわ。

きっと元に戻してもらえるって。」


ヒロトは、女になるという選択をせず、とりあえずは男でいる事を決めた。


海里は、内心、すごく残念に思ったが、我を押し通す事は出来ず、ヒロトの決心を尊重するような振る舞いをした。



「何か進展があれば連絡するから。

今日のところは、帰ってくれ。」


晃は、そう言うとパソコンの画面に目を移して、何やら打ちはじめた。


ヒロトと海里は、顔を見合わせ、病院を後にした。



「なあ、ヒロト」



「お前、本当に戻れると思う?」


帰り道をとぼとぼ歩きながら、海里は、ヒロトに疑問を投げかけた。



「わかんないよ。

でも、なんとかしてもらわないと、ワタシ…


男の体に女の心っていう奇妙な生き物になってしまうから。」




「もし、治んないなら、完全に女性になればいいんじゃないか?」



「ヤダよ。

それこそ学校が大騒ぎになるじゃない?

高校くらいはフツーに卒業しておきたいのよ。


大学にだって進みたいしね。」



「そっか。

受験勉強のために性転換したんだもんな…


まさか、こんな事になるとはな。」



「ホント、それよ。


こんな事になるんなら、性転換なんてしなけりゃよかった。


勉強は捗らなかっただろうけど。」



「ヒロト

俺はお前の理解者であり、味方だから。」


「ありがとう、海里」


親友の優しさに、ウルッとするヒロトだったが、海里の言葉は、下心ありきのものであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

兄の悪戯

廣瀬純七
大衆娯楽
悪戯好きな兄が弟と妹に催眠術をかける話

兄になった姉

廣瀬純七
大衆娯楽
催眠術で自分の事を男だと思っている姉の話

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

秘密のキス

廣瀬純七
青春
キスで体が入れ替わる高校生の男女の話

不思議な夏休み

廣瀬純七
青春
夏休みの初日に体が入れ替わった四人の高校生の男女が経験した不思議な話

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

処理中です...