NH大戦争

フロイライン

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威嚇

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「お婆ちゃん

ワタシ、東京に来たの初めて。
すごいねー!」

東京駅で人波の流れに乗れず、慌てふためきながら、零が前を歩く芙美子に言った。


「また東京に来る事が多くなるかもね。
零の活躍次第だけど。」


「えーっ、ワタシの?

でも、渋谷とか行ってみたいしなあ。

ねえ、お婆ちゃん
今日は時間あるの?」


「時間?」


「お仕事終わったら、服とか見に行きたいんだけど。」


「さあね。

そこのおじさんに聞いてみるがいいわ。」


芙美子は、丸の内口の改札を出たところに立っている、大柄のスーツ姿の中年男性を指差して言った。


「二階堂さん
ご無沙汰しています。」


「久しぶりね。
田沼さん。

石田先生が総理になられた事をお祝いするのがいいのか、自由公民党が衆議院選で大敗したのを慰めた方がいいのか…」


「相変わらず手厳しいですなあ。
でも、二階堂さんが元気そうで安心しました。

車を待たせてますので、こちらへ。」


田沼は外を指差しながら言った。


二人を乗せた車は、皇居前を通り、霞ヶ関から首相官邸に向けて走った。


「二階堂さん、お連れの方はアシスタントさんですか?」


「あ、ごめんなさい。
紹介してなかったわね。

私の孫よ。

零です。」


「あー、そうでしたか。

二階堂さんにこんな美人のお孫さんがいらしとは、知りませんでした。」


「二階堂零です。

よろしくお願い致します。」


零は、美人と言われた事に感激しながら、助手席に向かって頭を下げた。


「もう、着きますよ。」


官邸前に到着した車は、敬礼する警察官を横目で見ながら中に入って行った。


「すごい…」

零は、荘厳な造りの官邸の建物を見て、感嘆の声を上げたが、すぐに黙ってしまった。

建物の周りにもSPのような人間が配置され、こちらをじっと監視していたからである。


「さあ、中へどうぞ。」

田沼に応接室のような部屋に通された二人は、横並びで座り、室内の調度品などを首を右に左に動かしながら見つめて待っていた。

五分ほどして、田沼が戻ってくると、その後ろから田沼より縦も横も一回り大きな男が続いて入ってきた。


「お待たせしてすみませんね、芙美子さん。」

大男は芙美子に頭を下げ、ニコッと笑った。


「久しぶりね、俊夫ちゃん。

この前の選挙は残念だったわね。」

芙美子もこの男と旧知らしく、親しげに挨拶を交わした。


そして、政治に関心のない零も、この男の顔は知っていた。

男は、第104代内閣総理大臣で、自由公民党第29代総裁の石田俊夫だった。
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