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地固め
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「石川先生」
自分の名前を呼ばれた遥が振り返ると、そこには同僚の宮城麻里亜が立っていた。
「宮城先生
おはようございます」
「おはようございます。
ねえ、紀藤先生から私も招待されたわよ。」
「招待?
えっと…
あっ、ひょっとして結婚披露宴のですか?」
「そうそう。
他の先生達にも来たみたいよ。
樋谷先生とのいざこざが丸く収まったのかもね。」
「だといいんですが…」
遥は、若干の不安を感じずにはいられなかった。
彩から今回あらためて招待を受けた者の中に、遥と同期の平井佳奈がいた。
佳奈は、仕事が終わった後、樋谷に呼び出され、駅前のカフェにいた。
そこで、樋谷の話を聞いていた佳奈だったが…
「えっ!」
と、声を出してしまった。
「何を驚いてるのよ。
やるのかやらないのか、ハッキリしなさい。」
「そんな…
出来ません…」
佳奈は、消え入りそうな声で言うと、樋谷から視線を切り、俯いてしまった。
「私の頼みが聞けないって言うのね」
「いえ、そんなことは…」
「だってそうじゃない。
私が頭を下げて頼んでるっていうのに、無視しようっていうんだから、偉くなったものね、アンタも。」
「…」
「田舎から出てきて、右も左もわからないあなたに、私がどれだけ目をかけてやったと思ってるの?
まあ、いいわ。
あなたがそういう考えなら、私も諦める事にするわ。
でも、早めに次に行く幼稚園を探した方がいいかもよ。」
「そんな…」
佳奈は涙目で顔を上げた。
「冗談よ。
私があなたにそんな事するわけないじゃない。
私は平井さんのことを実の妹のように可愛いと思ってるんだから。
まあ、よく考えて答えをちょうだい。」
樋谷は、そう言うとテーブルの上の伝票を手に取り、笑みを浮かべながら立ち上がった。
自分の名前を呼ばれた遥が振り返ると、そこには同僚の宮城麻里亜が立っていた。
「宮城先生
おはようございます」
「おはようございます。
ねえ、紀藤先生から私も招待されたわよ。」
「招待?
えっと…
あっ、ひょっとして結婚披露宴のですか?」
「そうそう。
他の先生達にも来たみたいよ。
樋谷先生とのいざこざが丸く収まったのかもね。」
「だといいんですが…」
遥は、若干の不安を感じずにはいられなかった。
彩から今回あらためて招待を受けた者の中に、遥と同期の平井佳奈がいた。
佳奈は、仕事が終わった後、樋谷に呼び出され、駅前のカフェにいた。
そこで、樋谷の話を聞いていた佳奈だったが…
「えっ!」
と、声を出してしまった。
「何を驚いてるのよ。
やるのかやらないのか、ハッキリしなさい。」
「そんな…
出来ません…」
佳奈は、消え入りそうな声で言うと、樋谷から視線を切り、俯いてしまった。
「私の頼みが聞けないって言うのね」
「いえ、そんなことは…」
「だってそうじゃない。
私が頭を下げて頼んでるっていうのに、無視しようっていうんだから、偉くなったものね、アンタも。」
「…」
「田舎から出てきて、右も左もわからないあなたに、私がどれだけ目をかけてやったと思ってるの?
まあ、いいわ。
あなたがそういう考えなら、私も諦める事にするわ。
でも、早めに次に行く幼稚園を探した方がいいかもよ。」
「そんな…」
佳奈は涙目で顔を上げた。
「冗談よ。
私があなたにそんな事するわけないじゃない。
私は平井さんのことを実の妹のように可愛いと思ってるんだから。
まあ、よく考えて答えをちょうだい。」
樋谷は、そう言うとテーブルの上の伝票を手に取り、笑みを浮かべながら立ち上がった。
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