タイは若いうちに行け

フロイライン

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久しぶりの平松家

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「雫ちゃん

少し見ない間に、なんか大人っぽくなったわね
っていうか益々キレイになったね」



「えっ、そう?

だったらすごく嬉しいんだけど」


おばあちゃんのお家に着いたワタシとお母さんだったが、ワタシの顔を見るなり、叔母さんは、そうやって褒めてくれて、何だか気恥ずかしくなってしまった。


「ねえ、雫ちゃん。」


「どうしたの?

叔母さん。」


「ウチの賢太の事なんだけど…」


「賢太がどうしたの?」


「大学に入れたのはよかったんだけど、最近、全然行ってないのよ。」



「えっ、大学をサボってるってこと?」



「そうなのよ。

朝から晩まで部屋にいるし。

重度の引きこもりよ。」



「何があったの?」



「知らないわ。

全然喋ろうともしないし、こっちも何が何だかわかんないのよ。」


「ご飯は?」


「みんなとは食べようとしない。

夜中に下りてきて、コソコソ食べてるわ。」



「えっ

それは本格的だね。」



「ねえ、雫ちゃん

悪いけど、頼めるかなあ。」



「えっ、何を?」



「聞いてほしいのよ。

一体何があったのかを。」



「お義姉さん
この子で大丈夫?」


「うん。
私や主人が行くより、同年代の雫ちゃんの方が話しやすいと思うんよ。」


「わかりました。

じゃあ、ワタシ、ちょっと行ってきます。」


ワタシは手に持っていたバッグを足下に置き、二階に上がっていった。


ワタシが使者として選ばれたのは、叔母さんなりの計算が働いての事だろう。


たとえば、ワタシがフツーの男子で、充実した学生生活を送っているようであれば、決してアイツの部屋には送り込まれなかったはず。

誤って性転換され、女としてというより、マイノリティとして生活することを余儀なくされてしまったワタシだからこそ、アイツは部屋に受け入れてくれるのではないかって、そう思ったんじゃないかなあ。

要は、ワタシは…下に見られてるって事だ。

別に気にしてないけどね。
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