ハカイジ

関門

「おい、レン

こんなに早くダウンしていたら約束は守れんぞ、早く起きろ。」


安田は、ベッドで放心状態になっているレンに向かい、声をかけたが、反応がなかった。


愛果は、今すぐにでも逃げ出したい衝動に耐え、なんとかレンの方に視線を送り続けていた。



「困ったなあ。

レンがこの調子じゃ続けられんじゃないか。



…


そうだ

いい事を思いついだぞ。」



安田は、そう言うと、レンの方を向き、その頬を思いっきりひっぱたいた。


その衝撃と痛みで、レンは、ようやくハッとして目を覚ましたのだった。


「レン、お前が淫乱すぎてすぐにダウンしてしまうから、契約が履行できないじゃないか。

奥さんが困ってらっしゃるぞ。」



「ごめんなさい…」


レンは、息も絶え絶えになり、安田に謝った。


「まあいい。

俺は慈悲深い人間でなあ。

お前達夫婦の愛に免じて大きなチャンスをやる。」


愛果は、安田の言葉を聞き、イヤな予感しかせず、その顔を険しい表情で、じっと見つめた。


「そう怖い顔をするな。
悪い話じゃない。


俺は、お前達夫婦の本物の愛を見たくなったのだ。」


「どういうこと？」


愛果が質問すると、安田は頷き、説明を始めた。


「簡単な話だ。


レンと奥さんが俺の前でセックスをする。

どうだ？」


「なっ…」


「もちろん、レンが男として奥さんに挿入し、最後までできたら、刑期十年の約束を守ってやる。」


「…」


レンも愛果も両方が黙ってしまった。

だが、二人が同じ思いで黙ったわけではない。

愛果は、安田が見ている前で出来るわけがないと思い、レンは、女性ホルモンを打たれ去勢された状態でセックスなど到底出来ない


そう思ったから黙ってしまったのだった。