ハカイジ

愛果の覚悟

愛果は、安田が見ているにもかかわらず、躊躇する事なく、着ていた服を脱ぎ始めた。


そして、最後にパンツを脱ぐと、一糸纏わぬ姿となった。



「ほう…

アンタは顔も美しいが、カラダもこの上ないほど美しい。

レンには勿体ない。」



「…」


「さあ、遠慮は要らん。

かまわず始めてくれ。」


だが、二人は動けずにいた。


「フッ

無粋な話はやめよう。
では、見せてくれるか？

ホンモノの夫婦の愛を。」

安田に促され、レンと愛果も覚悟を決めた。


愛果は、ベッドに上がりレンに抱きついたのだ。

安田は、今まで愛果が腰掛けていた椅子に座り、二人の様子を凝視した。


勢いよく抱きついた愛果だったが、明らかに動揺しているようだった。


何故なら、愛果にもレンにも豊満な乳房が備わっており、二人が密着するのを邪魔していたのだ。


乳房と乳房がくっついて、そして潰れる感覚…

愛果は、その初めての感覚に、言葉にできない違和感を持ってしまっていた。

もちろん、レンも。


少し前まで、目の前の女性は、自分の妻だった。

周りからは不釣り合いだと言われるほどの美人妻で、二人で手を繋いで歩いていると、いつも羨ましがられたものだ。

そんな美女が自分の妻だなんて、フツーに考えたらあり得ない事だった。

だが、夫婦であるから、キスしてもセックスしても咎められる事はなかった。

妻との夜の営みをした感覚は、今も微かに残っている…


だが、あの時とは全く違う…


そうだ

自分の体は今、女なのだ。


レンは、既に絶望感でいっぱいだった。