ハカイジ

窮鼠猫とヤル

愛果は、今、心の中でハッキリと認識した。

それは、自分がまだ、元夫であるレンに対し、揺るぎない愛情を持っているということだった。

些細なことをきっかけとして、ボタンのかけ違いのようなものが重なり合い、二人は別れる事になってしまったが、根底にあった相手を想う気持ちは、些かも衰えておらず、第一義として出てくるのは「愛している」という言葉で、もはや疑いようがなかった。

だからこそ、この地獄に嵌ったレンを救いたい。

愛果は、そう決意し、安田が出してきた無理難題に敢えて挑もうとした。

レンを救うためなら、自分の裸を見られても、セックスする事を見られてもいい。


覚悟を決めた愛果は、元夫と真剣に向き合っていたが…

一方のレンは、事情が違った。　

すっかり女性化してしまった肉体では、愛果とセックスすることなど到底不可能で、抱き合おうがキスしようが、一切の反応もなく、一切の心の動きも見られなかった。


惨め


惨めすぎる


こんな姿を愛果に見られてしまうなんて…


考えてみれば、こうなることが安田の狙いだったのだろう。

全ては安田の思惑通り…


レンは泣きそうになった。


だが、レンの様子を見ていた愛果が

「大丈夫よ。

私に任せて。

レンはリラックスして。」

と、力強く、優しげな言葉をかけた。