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一軍début
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「レン君
ありがとう、すごく面白かった。」
休み時間に、愛果がレンの机のところまでやってきて、借りていた漫画を返した。
「ん、ああ」
レンは、少しぎこちない返事をして、本を受け取ると、慌ててカバンの中にしまった。
昼からは体育があるため、レンも立ち上がり、更衣室にダルそうに歩いていたが、その日だけは、スムーズに歩けなかった。
クラスの男子達に取り囲まれてしまったからだ。
「おい!平野!」
「へ?」
「お前、どうなってんだ!?」
「何の事?」
「なんで堀田がお前に話しかけてんの?」
「あ、いや、
漫画を貸してたから。」
「ちょっと待て!
漫画を貸した?だとぉ。
いつの間にそんな接点が出来たんだよ。
お前らが会話交わしてんの、初めて見たぞ!」
「知らねえよ。」
既に学校以外では、仲良しになっていたレンと愛果だったが、学校内でそんな素振りでも見せようもんなら、このような騒ぎになる事がわかりきっていたレンは、愛果に学校内では話しかけないようにお願いしていたが、愛果はあまり真剣に捉えておらず、その約束を破ってしまったのだった。
レンは、クラス、いや、学年一のアイドル的な人気を誇る愛果に話しかけられた陰キャとして、一躍皆の注目を集め、その名を轟かせるのだった、
「もう、まいったよ。
愛果ちゃんと喋っただけで、犯罪者扱いだよ。」
バイト帰りに、二人でファミレスに立ち寄っていたが、レンは、席に着くなり、ぼやいた。
「なんで、そんな事になるの?」
「わかってないなあ、愛果ちゃんは。
言うなれば愛果ちゃんは一軍で、俺は二軍でもない位置にいるんだ。
話しかけられたら、騒ぎにもなるさ。」
「えーっ、変なの。
そんなの無視しとけばいいんだよ。」
「うーん…」
「そんな事よりさあ、あの漫画
めちゃくちゃ面白かったよ。
他にもあんなストーリーのやつ、ある?」
「うん。
あるけど…
愛果ちゃんて、見かけによらず、オタク気質があるよね。」
「えっ、そう?」
「だから、俺なんかと口聞いてくれるんだと思うけど。」
「そんな事ないよ。
レン君、優しいし面白いじゃん。
私は好きだよ。
じゃないと、帰りにこんなとこに一緒に来ないって。」
「好き」
という言葉は、レンの心に百本の矢が刺さったような衝撃をもたらした。
(好き?
好きって、何?
好き??
えっ、えっ、えっ!)
完全にパニックとなったレンは、石のように固まった。
ありがとう、すごく面白かった。」
休み時間に、愛果がレンの机のところまでやってきて、借りていた漫画を返した。
「ん、ああ」
レンは、少しぎこちない返事をして、本を受け取ると、慌ててカバンの中にしまった。
昼からは体育があるため、レンも立ち上がり、更衣室にダルそうに歩いていたが、その日だけは、スムーズに歩けなかった。
クラスの男子達に取り囲まれてしまったからだ。
「おい!平野!」
「へ?」
「お前、どうなってんだ!?」
「何の事?」
「なんで堀田がお前に話しかけてんの?」
「あ、いや、
漫画を貸してたから。」
「ちょっと待て!
漫画を貸した?だとぉ。
いつの間にそんな接点が出来たんだよ。
お前らが会話交わしてんの、初めて見たぞ!」
「知らねえよ。」
既に学校以外では、仲良しになっていたレンと愛果だったが、学校内でそんな素振りでも見せようもんなら、このような騒ぎになる事がわかりきっていたレンは、愛果に学校内では話しかけないようにお願いしていたが、愛果はあまり真剣に捉えておらず、その約束を破ってしまったのだった。
レンは、クラス、いや、学年一のアイドル的な人気を誇る愛果に話しかけられた陰キャとして、一躍皆の注目を集め、その名を轟かせるのだった、
「もう、まいったよ。
愛果ちゃんと喋っただけで、犯罪者扱いだよ。」
バイト帰りに、二人でファミレスに立ち寄っていたが、レンは、席に着くなり、ぼやいた。
「なんで、そんな事になるの?」
「わかってないなあ、愛果ちゃんは。
言うなれば愛果ちゃんは一軍で、俺は二軍でもない位置にいるんだ。
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「えーっ、変なの。
そんなの無視しとけばいいんだよ。」
「うーん…」
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えっ、えっ、えっ!)
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