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14話 教室
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エレベーターから降りると、そこにはフローリングのT字廊下があった。
窓から差し込む日差し、ほのかに香る木の匂い、全てが学校という感じだ。
でも、強いて言うなら、もう少し低かったらなぁ……。
右手にある窓から外を見ながら、そう思った。
そうそう。
2人のクラスである2-1の教室だが、エレベーターから降りて、すぐ左の位置にあった。
もう教室の中には、結構な数の生徒がいるようだ。
いやぁ、この正方形な教室といい、5行6列の机配置といい、横にかけてあるランドセルといい、懐かしいなぁ。
……って、シェルヴィ様もナタリアさんも手ぶらじゃん!
もしかして、荷物を忘れてきたのでは……。
いや、そんな訳ないな。
だって、ナタリアさん真面目そうだし。
あっ、もちろんシェルヴィ様もですよ。
「みんな、おはようなのだ!」
「おはようございます!」
開いていた前の扉から元気に教室へ入る2人。
「シェルヴィ様おはようございます」
「ナタリアおはよう!」
どうしていいのか分からなかった俺は、念の為廊下で待機することにした。
急に部外者の俺が教室に入って、パニックになられても困るからな。
あっ、もちろん不審者じゃないよ!
なぜか俺は、1人廊下で首を横に振っていた。
「おいハース、何をしているのだ……。
まぁよい、早くハースも入ってくるのだ」
なぜだ?
シェルヴィ様の顔が、また暗くなっている。
何かあったのか……。
「ハースさんが座れる椅子も準備されてますよ。
ほら、後ろに」
「後ろに……?」
俺は教室後方に視線を移した。
そんな、まさか……。
「って、まじかっ!」
そこには、サッカースタジアムの観客席を彷彿とさせる座席が4列も設置されていた。
しかも、最前列と2列目にはすでに先客がいる。
誰の指示でこうなったのかは、知らないけど……。
「流石にこれはやりすぎっ!」
あっ、まずい。
つい大声を出してしまった……。
これじゃ完全に不審者じゃないか。
面倒なことになる前に、さっさとここを離れないと。
「ねぇ、あの人だーれ?」
あっ、今までお世話になりました。
「えっ、どれどれ?」
「ほら、あの廊下にいる人」
「えっ、超イケメンじゃん!」
「何それ、私も見たい!」
「私も私も!」
ん!?
なんだなんだ!?
思ってた反応と違う上に、想定外の盛り上がりっ!?
そして次の瞬間には、教室にある2つの窓から大勢の女の子たちが顔を出していた。
しかも、2-1の教室が突然うるさくなったことで、違和感を感じた他クラスも同様だ。
「へぇ、ここって女子校だったんだ……」
俺は左右1回ずつ目を向け、状況を確認した。
そして、出した結論がこれだ。
「現実逃避、現実逃避」
「おい、お前たち離れるのだ!」
「そうですよ!
ハースさんに失礼です!」
あぁ、シェルヴィ様とナタリアさんが女の子たちを窓から剥がそうとしてくれてる。
でも、俺にはどうすることも……。
「おいおい、これは何の騒ぎだ?
……って、あんた誰?」
声のする方に顔を向けると、クリップボードを手に持つ先生らしき人と目があった。
オレンジ色の綺麗な髪は後ろで雑に結ばれ、よく目立つ赤ジャージを着ている。
見るからに、体育教師だ。
「あっ、初めましてこんにちは」
「どうも」
俺から見てもこの光景は実に異様だ。
なら、先生の目にはおそらく、もっと異様に映っていることだろう。
初めて見る謎の男が何かをやらかし、生徒たちに追い詰められている。
もしこんなふうに見られていたら、俺は詰みだ。
いや、すでに罪なのかもしれない。
「あっ、えーっと、保護者の方ですよね。
申し訳ありません。
どうぞ、後ろの席座っちゃってください」
「あ、はい。
それでは失礼します」
あれ……?
「おいお前たち、朝のST始まるからさっさと席つけよ!」
「はーい!」
なんだ、俺の考えすぎか。
まぁ、何はともあれ助かった。
とりあえず、保護者席に座って落ち着こう。
教室後方の扉の更に1つ奥の扉から俺は保護者席のエリアに入った。
そして、悩むことなく1段だけ下り、最後列の右端に座った。
理由はもちろん、1番近かったからだ。
「シェルヴィ様の勇姿、このハースがしっかり見届けますからね!」
ん?
なんか俺、昨日とキャラ変わってない?
まぁ確かに心境は変わったけど……。
「あ、あの、隣いいですか?」
「はいどうぞ」
「あ、ありがとうございます。
では、し、しつ、失礼します……」
それで、さっきの続きから話すと……。
って、ええええええええええええ!
こ、この、突然隣に座ってきた綺麗な人は誰だ!?
知り合いか!?
俺の知り合いなのか!?
いやいや、昨日からの記憶しかまともにない俺に、ふわふわ紫髪ロング、太めの白黒ボーダー、黒のタイトパンツがここまでよく似合うお姉さんの知り合いなんて、いるはずないだろ!
し、しかもでかい……。
ふぅ、まずは情報収集からだよな。
「あの、1つ聞いてもいいですか?」
「は、は、は、はい……!」
なっ……!
背筋をピンと伸ばしている上に、手がグーで膝の上、だと……。
目が合う気配もなければ、ぶるぶると震えている……!
こ、これは間違いない。
この人、強いっ……!
窓から差し込む日差し、ほのかに香る木の匂い、全てが学校という感じだ。
でも、強いて言うなら、もう少し低かったらなぁ……。
右手にある窓から外を見ながら、そう思った。
そうそう。
2人のクラスである2-1の教室だが、エレベーターから降りて、すぐ左の位置にあった。
もう教室の中には、結構な数の生徒がいるようだ。
いやぁ、この正方形な教室といい、5行6列の机配置といい、横にかけてあるランドセルといい、懐かしいなぁ。
……って、シェルヴィ様もナタリアさんも手ぶらじゃん!
もしかして、荷物を忘れてきたのでは……。
いや、そんな訳ないな。
だって、ナタリアさん真面目そうだし。
あっ、もちろんシェルヴィ様もですよ。
「みんな、おはようなのだ!」
「おはようございます!」
開いていた前の扉から元気に教室へ入る2人。
「シェルヴィ様おはようございます」
「ナタリアおはよう!」
どうしていいのか分からなかった俺は、念の為廊下で待機することにした。
急に部外者の俺が教室に入って、パニックになられても困るからな。
あっ、もちろん不審者じゃないよ!
なぜか俺は、1人廊下で首を横に振っていた。
「おいハース、何をしているのだ……。
まぁよい、早くハースも入ってくるのだ」
なぜだ?
シェルヴィ様の顔が、また暗くなっている。
何かあったのか……。
「ハースさんが座れる椅子も準備されてますよ。
ほら、後ろに」
「後ろに……?」
俺は教室後方に視線を移した。
そんな、まさか……。
「って、まじかっ!」
そこには、サッカースタジアムの観客席を彷彿とさせる座席が4列も設置されていた。
しかも、最前列と2列目にはすでに先客がいる。
誰の指示でこうなったのかは、知らないけど……。
「流石にこれはやりすぎっ!」
あっ、まずい。
つい大声を出してしまった……。
これじゃ完全に不審者じゃないか。
面倒なことになる前に、さっさとここを離れないと。
「ねぇ、あの人だーれ?」
あっ、今までお世話になりました。
「えっ、どれどれ?」
「ほら、あの廊下にいる人」
「えっ、超イケメンじゃん!」
「何それ、私も見たい!」
「私も私も!」
ん!?
なんだなんだ!?
思ってた反応と違う上に、想定外の盛り上がりっ!?
そして次の瞬間には、教室にある2つの窓から大勢の女の子たちが顔を出していた。
しかも、2-1の教室が突然うるさくなったことで、違和感を感じた他クラスも同様だ。
「へぇ、ここって女子校だったんだ……」
俺は左右1回ずつ目を向け、状況を確認した。
そして、出した結論がこれだ。
「現実逃避、現実逃避」
「おい、お前たち離れるのだ!」
「そうですよ!
ハースさんに失礼です!」
あぁ、シェルヴィ様とナタリアさんが女の子たちを窓から剥がそうとしてくれてる。
でも、俺にはどうすることも……。
「おいおい、これは何の騒ぎだ?
……って、あんた誰?」
声のする方に顔を向けると、クリップボードを手に持つ先生らしき人と目があった。
オレンジ色の綺麗な髪は後ろで雑に結ばれ、よく目立つ赤ジャージを着ている。
見るからに、体育教師だ。
「あっ、初めましてこんにちは」
「どうも」
俺から見てもこの光景は実に異様だ。
なら、先生の目にはおそらく、もっと異様に映っていることだろう。
初めて見る謎の男が何かをやらかし、生徒たちに追い詰められている。
もしこんなふうに見られていたら、俺は詰みだ。
いや、すでに罪なのかもしれない。
「あっ、えーっと、保護者の方ですよね。
申し訳ありません。
どうぞ、後ろの席座っちゃってください」
「あ、はい。
それでは失礼します」
あれ……?
「おいお前たち、朝のST始まるからさっさと席つけよ!」
「はーい!」
なんだ、俺の考えすぎか。
まぁ、何はともあれ助かった。
とりあえず、保護者席に座って落ち着こう。
教室後方の扉の更に1つ奥の扉から俺は保護者席のエリアに入った。
そして、悩むことなく1段だけ下り、最後列の右端に座った。
理由はもちろん、1番近かったからだ。
「シェルヴィ様の勇姿、このハースがしっかり見届けますからね!」
ん?
なんか俺、昨日とキャラ変わってない?
まぁ確かに心境は変わったけど……。
「あ、あの、隣いいですか?」
「はいどうぞ」
「あ、ありがとうございます。
では、し、しつ、失礼します……」
それで、さっきの続きから話すと……。
って、ええええええええええええ!
こ、この、突然隣に座ってきた綺麗な人は誰だ!?
知り合いか!?
俺の知り合いなのか!?
いやいや、昨日からの記憶しかまともにない俺に、ふわふわ紫髪ロング、太めの白黒ボーダー、黒のタイトパンツがここまでよく似合うお姉さんの知り合いなんて、いるはずないだろ!
し、しかもでかい……。
ふぅ、まずは情報収集からだよな。
「あの、1つ聞いてもいいですか?」
「は、は、は、はい……!」
なっ……!
背筋をピンと伸ばしている上に、手がグーで膝の上、だと……。
目が合う気配もなければ、ぶるぶると震えている……!
こ、これは間違いない。
この人、強いっ……!
応援ありがとうございます!
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