19 / 25
19
しおりを挟む
私は結局、高橋さんの言った通りの人間だ。
特別じゃないといいながら、羽柴先輩に特別扱いして貰えていることにどこか安堵している。
そのくらいは、許してもらえると、きっと心のどこかで思っていた。だって私には、告白する権利が、ないから。
それを、正面から言われただけ。
傷つく権利だってないのだ。だって、私は――。優越感に浸ることはなかったけれど、特別感には酔っていた。
一人、どうにか納得いく答えを、一時的に家に帰るまでの間だけでも泣かないでいられるだけの理由を考えた。午後の半分もあるというのに、鼻の奥が、ツンと痛む。
お昼休憩の鐘はさっき、高橋さんがここを出て行く前に鳴った。廊下も食堂へ移動する社員の気配がある。間違っても資料室に用事のある人はいないだろうと油断していた。
資料室のドアが開く。少し奥まった位置に立っていた私は、どうやり過ごすか、もし誰もいないと思われて鍵を掛けられたらどうしようかと少し焦った。
「宇佐見……?」
声を聞いて、どうして、と泣きそうになる。今一番会いたくない人だ。泣きそうなのに、苦しいのに、それでも、ここに来た人が羽柴先輩で良かったと思うなんて。
棚の間を覗く、足音がゆっくりと近づいてくる。壁側から五つある棚の一番奥になる間に居た私は、途中で振り返り戻ることもしない、はじめから私がここにいる事を知っていた様子の羽柴先輩に見つかった。
第一声を、とにかくここにいた言い訳を、とない頭で考える。ぐるぐると言葉が巡って、けれど口を開けばロクな言葉が出てこないような予感。むしろ、先輩を見ただけで気が抜けたような気もする。
羽柴先輩は、様子見をして辺りに目をやって言葉を選んだ。目を合わせないように、してくれたのだと分かった。
「高橋さんと、何、話した?」
「え、と……書類の、話を?」
高橋さんがさっきまでここにいたことは知っているのか。
高橋さんなら聞かれたら答えるのかもしれない、だって後ろめたいことは何もなかった。
本当にただ、話をしただけだったから、問題にもならない。
丁度手には紙束とファイルがある。仕事としても受け取っていたものだから丁度いい。
羽柴先輩の話をしていたなんて、絶対に言うものか。言ってなど、やらない。誰に対しての、意地なのか分からないが張る。
二人して口を閉じる。ドアの向こう、廊下を通り過ぎていく人の声が少しくぐもって聞こえるくらいだ。
少しして先輩は私が何も言わないと分かって「あ゛ーー」とそれでも抑え気味に呆れた様子で音を吐き出した。
左手が腰に、右手は頭に伸びてガシガシとかき乱しているあたり、面倒くさいことにでもぶち当たっているようだ。
そんな乱れたおぐしで午後からの仕事に戻るというのか!? とちょっとばかり混乱が私の中で巻き起こる。
さっきまでの高橋さんとのやりとりが一瞬でどこかへ飛んで行ってしまうほどに、いや、実際飛んではいないのだけれど、ちょっと隅に避けてしまうほどには、その光景は珍しくて新しかった。
羽柴先輩が困ることなんて、そうそうないからだ。先輩は一瞬の取り乱しをすぐに立て直した。
「宇佐見」
「は、はい!」
つかつかと私の前まで歩を進めた先輩が、呼びかけに思わずしゃんと伸びた私の背に手を回して引き寄せた。
先輩の胸に押し付けられる形で、私は先輩と、書類とファイルをサンドした。
それから何があったのか、私も記憶があいまいだ。
先輩がどうしてか、主語を抜いて謝った。高橋さんとは何もないから誤解だけはしないで欲しい、と言われた。
混乱に混乱を極めた私は瞼をぱちぱちするばかりで、こんなに近くで先輩をみたのも久しぶりだと感慨深くなって見上げていたら急に引っぺがされた。
べりべりっと音でもしそうな程、その手つきはどこか焦るようで、雑だった。
先輩、女性と思っていないかもしれませんが、一応、女性です。あと行動が一貫していないので気味が悪いです。人間、二人いて片方が感情的であれば一人はそれをみて冷静になれるとかなんとかいう、あれだろうか。
「悪い、調子に乗った」
「……」
「これ午後やる分だろ。これは俺が貰っとく。午後は別のヤツをデスクに置いとく」
そういわれて、私と先輩とでサンドしたファイルたちは先輩に強奪され、そうして資料室からも追い出されてしまった。その資料で何をするか、はいいのだろうか。
ぽやぽやしたまま、営業の部屋に戻って鞄を取り食堂へ向かう。
ぼーっとしたまま昼食と昼休みを終えて、加宮さんには心配されたまま午後の仕事に戻る。
デスクに資料とメモがあって、優先順位は下でいいということだ。
ちゃんと確認しようと羽柴先輩に聞きに行くも「今受け持っているものからで、その資料分は出来る所までで構わない」ということだった。
気まずさの表れなのか、こちらに見向きもしない。
珍しくぶっきらぼうな指示だと感じながら、午後二時を過ぎたあたりに高橋さんはもう一度だけ部署に顔を出して、本社へと帰って行った。
予告なく現れた台風は、こうして私の心を乱して消えてしまった。
先輩からの資料分も定時の内に終えることができた。渡しに行くと顔も上げずに「ありがとう」とだけ言われ「お疲れ」とそのまま押し出される流れになって退社する。
こうしてすんなりと、定時で帰路につけるわけだ。
着替え、会社を出て、電車に乗り、マンションまでの道をとぼとぼ歩く。
夕飯になにか作る気も起こらず、冷蔵庫にあった煮物の残りだけお腹にいれて、お風呂も入らずに、私は寝た。
ベッドに潜り込み布団をかぶり、そういえば、と思い出したことがある。
羽柴先輩は、今もあの香水を使ってくれているようだった。学生の頃に、私が背伸びをして渡した、唯一の高価なプレゼント。だからもちろん、私が贈ったものではなく羽柴先輩が新しく買い直したのか似たものを買ったのだろう。
それは、元カノさんたちからのお話で決めたものだったけど、卒業する先輩へのお祝いも兼ねていた。今思うと大変背伸びをしたプレゼントをしたものだ。
部屋の隅にこの瓶を置いてくれるだけでもいい、とおかしなことを言ったことは覚えているが、先輩は気に入ってくれたようでそれ以降時々つけてくれているようだった。
もう数年経っているし、さすがに新しく買っているのだろうけれど、同じものを選んで買ってくれているというのはちょっと、嬉しい気もする。今日まで何も感じていなかったけれど、気付いたら嬉しさがぶわぶわっと湧いてきた。
贈った人間が、忘れかけていた事だけれど。爽やかでいい香りだな、くらいしか今の今まで思えていなかったのは、なんという大変残念なことだろう。
その日の夢に、先輩が出て来たけれど、先輩はやっぱり笑って言うのだ。
「宇佐見はお姫様っていうよりは町娘かなあ」
そうですよね、と夢の中で私は返す。現実にはどう返したか、記憶は曖昧でもう覚えていない。先輩がその後言った言葉も、もう霞の向こうで、重要だったかそうでないのかも思い出せない。
だとしたら今日のあれは夢か、夢の中でみた夢なのか。
先輩が、私を、抱きしめるなんて。どんなに身勝手な幻覚だろう。
私に謝るのは筋違いも良い所だ、羽柴先輩が高橋さんと何かあったとしても、そうじゃなくて他の誰かと何かあったとしても、私には全く、ほんとうに、これっぽっちも。
本来は無関係なのだから。
特別じゃないといいながら、羽柴先輩に特別扱いして貰えていることにどこか安堵している。
そのくらいは、許してもらえると、きっと心のどこかで思っていた。だって私には、告白する権利が、ないから。
それを、正面から言われただけ。
傷つく権利だってないのだ。だって、私は――。優越感に浸ることはなかったけれど、特別感には酔っていた。
一人、どうにか納得いく答えを、一時的に家に帰るまでの間だけでも泣かないでいられるだけの理由を考えた。午後の半分もあるというのに、鼻の奥が、ツンと痛む。
お昼休憩の鐘はさっき、高橋さんがここを出て行く前に鳴った。廊下も食堂へ移動する社員の気配がある。間違っても資料室に用事のある人はいないだろうと油断していた。
資料室のドアが開く。少し奥まった位置に立っていた私は、どうやり過ごすか、もし誰もいないと思われて鍵を掛けられたらどうしようかと少し焦った。
「宇佐見……?」
声を聞いて、どうして、と泣きそうになる。今一番会いたくない人だ。泣きそうなのに、苦しいのに、それでも、ここに来た人が羽柴先輩で良かったと思うなんて。
棚の間を覗く、足音がゆっくりと近づいてくる。壁側から五つある棚の一番奥になる間に居た私は、途中で振り返り戻ることもしない、はじめから私がここにいる事を知っていた様子の羽柴先輩に見つかった。
第一声を、とにかくここにいた言い訳を、とない頭で考える。ぐるぐると言葉が巡って、けれど口を開けばロクな言葉が出てこないような予感。むしろ、先輩を見ただけで気が抜けたような気もする。
羽柴先輩は、様子見をして辺りに目をやって言葉を選んだ。目を合わせないように、してくれたのだと分かった。
「高橋さんと、何、話した?」
「え、と……書類の、話を?」
高橋さんがさっきまでここにいたことは知っているのか。
高橋さんなら聞かれたら答えるのかもしれない、だって後ろめたいことは何もなかった。
本当にただ、話をしただけだったから、問題にもならない。
丁度手には紙束とファイルがある。仕事としても受け取っていたものだから丁度いい。
羽柴先輩の話をしていたなんて、絶対に言うものか。言ってなど、やらない。誰に対しての、意地なのか分からないが張る。
二人して口を閉じる。ドアの向こう、廊下を通り過ぎていく人の声が少しくぐもって聞こえるくらいだ。
少しして先輩は私が何も言わないと分かって「あ゛ーー」とそれでも抑え気味に呆れた様子で音を吐き出した。
左手が腰に、右手は頭に伸びてガシガシとかき乱しているあたり、面倒くさいことにでもぶち当たっているようだ。
そんな乱れたおぐしで午後からの仕事に戻るというのか!? とちょっとばかり混乱が私の中で巻き起こる。
さっきまでの高橋さんとのやりとりが一瞬でどこかへ飛んで行ってしまうほどに、いや、実際飛んではいないのだけれど、ちょっと隅に避けてしまうほどには、その光景は珍しくて新しかった。
羽柴先輩が困ることなんて、そうそうないからだ。先輩は一瞬の取り乱しをすぐに立て直した。
「宇佐見」
「は、はい!」
つかつかと私の前まで歩を進めた先輩が、呼びかけに思わずしゃんと伸びた私の背に手を回して引き寄せた。
先輩の胸に押し付けられる形で、私は先輩と、書類とファイルをサンドした。
それから何があったのか、私も記憶があいまいだ。
先輩がどうしてか、主語を抜いて謝った。高橋さんとは何もないから誤解だけはしないで欲しい、と言われた。
混乱に混乱を極めた私は瞼をぱちぱちするばかりで、こんなに近くで先輩をみたのも久しぶりだと感慨深くなって見上げていたら急に引っぺがされた。
べりべりっと音でもしそうな程、その手つきはどこか焦るようで、雑だった。
先輩、女性と思っていないかもしれませんが、一応、女性です。あと行動が一貫していないので気味が悪いです。人間、二人いて片方が感情的であれば一人はそれをみて冷静になれるとかなんとかいう、あれだろうか。
「悪い、調子に乗った」
「……」
「これ午後やる分だろ。これは俺が貰っとく。午後は別のヤツをデスクに置いとく」
そういわれて、私と先輩とでサンドしたファイルたちは先輩に強奪され、そうして資料室からも追い出されてしまった。その資料で何をするか、はいいのだろうか。
ぽやぽやしたまま、営業の部屋に戻って鞄を取り食堂へ向かう。
ぼーっとしたまま昼食と昼休みを終えて、加宮さんには心配されたまま午後の仕事に戻る。
デスクに資料とメモがあって、優先順位は下でいいということだ。
ちゃんと確認しようと羽柴先輩に聞きに行くも「今受け持っているものからで、その資料分は出来る所までで構わない」ということだった。
気まずさの表れなのか、こちらに見向きもしない。
珍しくぶっきらぼうな指示だと感じながら、午後二時を過ぎたあたりに高橋さんはもう一度だけ部署に顔を出して、本社へと帰って行った。
予告なく現れた台風は、こうして私の心を乱して消えてしまった。
先輩からの資料分も定時の内に終えることができた。渡しに行くと顔も上げずに「ありがとう」とだけ言われ「お疲れ」とそのまま押し出される流れになって退社する。
こうしてすんなりと、定時で帰路につけるわけだ。
着替え、会社を出て、電車に乗り、マンションまでの道をとぼとぼ歩く。
夕飯になにか作る気も起こらず、冷蔵庫にあった煮物の残りだけお腹にいれて、お風呂も入らずに、私は寝た。
ベッドに潜り込み布団をかぶり、そういえば、と思い出したことがある。
羽柴先輩は、今もあの香水を使ってくれているようだった。学生の頃に、私が背伸びをして渡した、唯一の高価なプレゼント。だからもちろん、私が贈ったものではなく羽柴先輩が新しく買い直したのか似たものを買ったのだろう。
それは、元カノさんたちからのお話で決めたものだったけど、卒業する先輩へのお祝いも兼ねていた。今思うと大変背伸びをしたプレゼントをしたものだ。
部屋の隅にこの瓶を置いてくれるだけでもいい、とおかしなことを言ったことは覚えているが、先輩は気に入ってくれたようでそれ以降時々つけてくれているようだった。
もう数年経っているし、さすがに新しく買っているのだろうけれど、同じものを選んで買ってくれているというのはちょっと、嬉しい気もする。今日まで何も感じていなかったけれど、気付いたら嬉しさがぶわぶわっと湧いてきた。
贈った人間が、忘れかけていた事だけれど。爽やかでいい香りだな、くらいしか今の今まで思えていなかったのは、なんという大変残念なことだろう。
その日の夢に、先輩が出て来たけれど、先輩はやっぱり笑って言うのだ。
「宇佐見はお姫様っていうよりは町娘かなあ」
そうですよね、と夢の中で私は返す。現実にはどう返したか、記憶は曖昧でもう覚えていない。先輩がその後言った言葉も、もう霞の向こうで、重要だったかそうでないのかも思い出せない。
だとしたら今日のあれは夢か、夢の中でみた夢なのか。
先輩が、私を、抱きしめるなんて。どんなに身勝手な幻覚だろう。
私に謝るのは筋違いも良い所だ、羽柴先輩が高橋さんと何かあったとしても、そうじゃなくて他の誰かと何かあったとしても、私には全く、ほんとうに、これっぽっちも。
本来は無関係なのだから。
0
あなたにおすすめの小説
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
見捨ててくれてありがとうございます。あとはご勝手に。
有賀冬馬
恋愛
「君のような女は俺の格を下げる」――そう言って、侯爵家嫡男の婚約者は、わたしを社交界で公然と捨てた。
選んだのは、華やかで高慢な伯爵令嬢。
涙に暮れるわたしを慰めてくれたのは、王国最強の騎士団副団長だった。
彼に守られ、真実の愛を知ったとき、地味で陰気だったわたしは、もういなかった。
やがて、彼は新妻の悪行によって失脚。復縁を求めて縋りつく元婚約者に、わたしは冷たく告げる。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
子持ち愛妻家の極悪上司にアタックしてもいいですか?天国の奥様には申し訳ないですが
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
胸がきゅんと、甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちだというのに。
入社して配属一日目。
直属の上司で教育係だって紹介された人は、酷く人相の悪い人でした。
中高大と女子校育ちで男性慣れしてない私にとって、それだけでも恐怖なのに。
彼はちかよんなオーラバリバリで、仕事の質問すらする隙がない。
それでもどうにか仕事をこなしていたがとうとう、大きなミスを犯してしまう。
「俺が、悪いのか」
人のせいにするのかと叱責されるのかと思った。
けれど。
「俺の顔と、理由があって避け気味なせいだよな、すまん」
あやまってくれた彼に、胸がきゅんと甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちなのに。
星谷桐子
22歳
システム開発会社営業事務
中高大女子校育ちで、ちょっぴり男性が苦手
自分の非はちゃんと認める子
頑張り屋さん
×
京塚大介
32歳
システム開発会社営業事務 主任
ツンツンあたまで目つき悪い
態度もでかくて人に恐怖を与えがち
5歳の娘にデレデレな愛妻家
いまでも亡くなった妻を愛している
私は京塚主任を、好きになってもいいのかな……?
月城副社長うっかり結婚する 〜仮面夫婦は背中で泣く〜
白亜凛
恋愛
佐藤弥衣 25歳
yayoi
×
月城尊 29歳
takeru
母が亡くなり、失意の中現れた謎の御曹司
彼は、母が持っていた指輪を探しているという。
指輪を巡る秘密を探し、
私、弥衣は、愛のない結婚をしようと思います。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
夫から「用済み」と言われ追い出されましたけれども
神々廻
恋愛
2人でいつも通り朝食をとっていたら、「お前はもう用済みだ。門の前に最低限の荷物をまとめさせた。朝食をとったら出ていけ」
と言われてしまいました。夫とは恋愛結婚だと思っていたのですが違ったようです。
大人しく出ていきますが、後悔しないで下さいね。
文字数が少ないのでサクッと読めます。お気に入り登録、コメントください!
「君はいらない」と捨てられた夜、天敵の冷徹社長に「なら、俺が貰う」と拾われました。――手を出さない約束でしたが、彼の理性が限界のようです
ひふみ黒
恋愛
【婚約破棄から始まる、不器用なライオン(冷徹社長)の猛烈な求愛!】
「俺の妻になるなら覚悟しろ。……もう、指一本逃がすつもりはない」
★あらすじ★
「美月は完璧すぎて、可愛げがないんだよ」
28歳の誕生日。
一流ホテルのウエディングプランナーである相沢美月(あいざわ みつき)は、婚約者の裏切りにより、結婚目前ですべてを失った。
雨の降る路地裏。
ヒールも折れ、心も折れてうずくまっていた美月の前に現れたのは、かつての高校時代の天敵であり、現在は勤務先の冷徹な社長 一条蓮(いちじょう れん)だった。
「捨て猫以下だな」
そう憎まれ口を叩きながらも、彼は泥だらけの美月を躊躇なく抱き上げ、最高級ペントハウスへと連れ帰る。
そして、彼が突きつけたのは、あまりにも強引な提案だった。
「住む場所がないなら、俺の家に来い。その代わり――俺の『婚約者』役を演じろ」
利害の一致した契約関係。
条件は「お互いに干渉しないこと」、そして「決して手を出さないこと」。
……のはずだったのに。
「髪、濡れたままだと風邪を引く」
「あんな男のために泣くな。顔が台無しだ」
同居生活で見えてきたのは、冷徹な仮面の下に隠された、不器用すぎるほどの優しさと独占欲。
美月が作った手料理を誰よりも美味しそうに食べ、元婚約者が復縁を迫ってくれば「俺の女に触れるな」と徹底的に排除する。
天敵だったはずの彼に守られ、凍っていた美月の心は次第に溶かされていく。
しかし、ある雷雨の夜。
美月が不用意に彼に触れた瞬間、一条の理性のタガが外れてしまい――。
「……手を出さない約束? 撤回だ」
「そんな無防備な顔で見つめて、何もしないでいられるほど、俺は聖人君子じゃない」
10年越しの片思いをこじらせたハイスペック社長 × 仕事熱心で恋愛に臆病なプランナー。
契約から始まった二人の関係が、本物の愛(溺愛)に変わるまで。
元婚約者への痛快な「ざまぁ」も収録した、極上の大人のシンデレラストーリー!
【登場人物】
◆相沢 美月(28)
ホテルの敏腕ウエディングプランナー。真面目でお人好しな性格が災いし、「つまらない女」と婚約破棄される。実は家事万能で、酔うと少しだけ甘えん坊になる(本人は無自覚)。
◆一条 蓮(28)
ホテルグループの社長。美貌と才覚を併せ持つが、他人に興味を示さないため「氷の貴公子」と呼ばれる。実は高校時代から美月を一途に想い続けており、彼女のこととなると冷静さを失う。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる