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幸せな執事になるまでに episode 15

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ザラザラと表面が擦れるのが気持ちいい。
お酒の香る温かい唾液が喉を伝う。
厚みと弾力のある舌先が僕の口内を蹂躙する。

動画よりもずっと、気持ちいいキス。
二人分の唾液で口の中はぐしょぐしょだ。

「ふあ、あっ…♡だんなひゃま…っ。」

息継ぎに顔を上げると、固定した手によって
顔を下げられる。
これ以上ないくらい顔同士が密着する。

ちゅぷ、ちゅぷ、ちゅずっ…じゅる…

「ふむぅうっ♡むー、むーっ…!♡」

口のなか、ぐちゅぐちゅいやらしい…!
唾液をすすられ、なかを犯され、絡み合う。
舌を舐められる度に四肢がピクピク痺れる。
こんなの予想してない、気持ちいい…!
本能的に腰が前後に揺れていた。
布地が擦れると体が熱くて、ぞくぞくする。

「あ、ぁ、ふっ…ふぁ…♡」

ようやく解放されたけどすっかりトロトロに
甘やかされた顔で旦那様を見つめた。
銀色の糸が何本も口の端を伝う。
旦那様は余裕のない怖い顔で僕を見た。

「キスだけで…勃ったのかい?」

「た…?た?」

「勃起も知らないで私を誘ったのか…?
君はどこまで小悪魔なんだ…っ!」

「きゃうっ!♡う、あぁはあんっ!♡」

きつくなったズボンの留め具を素早く外され
隙間に片手を捩じ込んだ旦那様が僕の…
男の子についてるやつを上下にゴシゴシした。

「あぁんっ、あんっ、あ、んあぁあっん♡」

仕組みは分からないけどパンツの中で
旦那様の指が動くと全身気持ちいい。
首筋に吸い付く主人に抱きつきながら
甘い快感に下肢をびくびく震わせた。

数回ぐちゅぐちゅしただけで旦那様は
パッと手を離した。
もっと欲しい、もっと擦られたい…!

「はう、ふぅん…っ、」

痺れた口では上手くおねだりできない。
頬を火照らせ、潤んだ双眸で主人を見つめた。

歯を食い縛り、理性と本能に戦う紳士は
肉欲に敗北した。

「…服を汚したら茶々に叱られるだろう。
ズボンと下着を脱いで机の上に伏せなさい。」

「ひゃい…、だんらさま…♡」

荒い息に胸を弾ませ、言われた通りにした。

ほとんど主人に手伝ってもらい、
たどたどしくズボンと一緒に下着を
ずり下ろすと倒れるようにローテーブルの
上にうつ伏せた。

お尻を旦那様に向ける形になって恥ずかしい。
だけど旦那様は堪えるように息を洩らした。

「すべすべで、無垢で…美しい。」

「んぅ…、」

丸みのある尻丘をなぞられる。
どこを見てるのかな…?

「音句くんもしかして…射精も知らない?」

「しゃ、せー?」

聞き慣れない単語をおうむ返しした。

若い頃から煩悩に振り回されてはいけない。
主人に仕えることを最優先に考える
厳しい合須家で性欲はご法度だった。

幼い興味から陰部を触ったりすると
すごい剣幕で親に叱られ、二度とやらないと
誓わされる。悪化する子もいるそうだが
小さい音句は怯えて、それから排泄以外に
触れることはなくなった。

思春期にモヤモヤ高ぶることもあったけど
半死半生で性欲が抑圧され、何かしたいと
思わなかった。
それが今、主人の前で晒されている。

「こんなに綺麗な体を弄ぶなんて罪深い…。
だけどひどく興奮するよ、何十年振りかな…」

背後で声を震わせた旦那様は恐る恐る
僕に触れた。

「触ってください、旦那様…。」

「…っ!!」

僕の言葉で、完全に主人の理性は吹き飛んで
しまったようだった。

「めいっぱい気持ちよくしてあげるよ…!」

「…っ。」

後ろから触られるのはちょっと怖いけど、
旦那様だと分かってるから大丈夫、大丈夫…
そう自分に言い聞かせた。
それに恐怖はすぐに薄れた。

旦那様の親指がぐっ、と肌に食い込む。

「きゃふっ…!?♡ふあ、あぅんっ!?」

丁度凝集と陰嚢の中間辺りをグリグリ押す。
それだけなのに僕の前はビンと張り詰める。

「なに、こぇ…っ!?あ、きもちぃ…っ!」

尻の先が高く上がってしまう。
身をよじってもキツくグリグリされた。

「普段男の子は前を触って気持ちよく
なるんだけどね、あまり知られてないけど…
男の子はこっちでも気持ちよくなるんだよ。」

「んあ、あっあ、んあ、ん、んんぅっ…♡」

確かに前を触られた時より気持ちいいかも…
恥ずかしい声で鳴いてしまう。
そこ気持ちいい…っ!

机の上でもがいていると前も触られる。
ゴシゴシ皮を扱かれて、先端の窪みに
指を入れられたようだ。

「きゃう…っ!♡うあ、あんっ!♡」

親指でグリグリされながら前をゴシゴシされ
先っぽ弄られると…おかしくなっちゃう!
呼吸が乱れ、額に汗が大量に滲む。

「気持ちいいかな?」

「きもちぃ…きもちいいれすっ…!♡」

机に体重を掛けているけど、もう立って
いられないくらい腰がガクガクになる。

「なんか、なんかゾワゾワ来ます…!
ぞわぞわ、お腹の下が…こわいっ…!」

「気持ちいいことだから、大丈夫だよ。
んーっ、てお腹の下に力入れてごらん?」

「んんう、ん、んーっ…!」

言われるがまま、意識して下腹部を
押し出すように力を込めた。
途端に、気持ちいいのが倍増して…っ!

「あ、あっ…!♡くる、ぞわぞわくる…!」

主の前だと言うのに敬語を使う余裕もなくて 
未知の感覚に体を支配された。
苦しいけど、ずっとゴシゴシされたい…!
ひくひくと腰が揺れる。

「出していいよ、気持ちよくなりなさい。」

「んきゅっ…、う、うぁはっ…♡は、あ、
だんらさま、あ、んんぅーーーっ!!」

な、何か出てしまった…!

排泄とは勢いの違う、絞り出された何か。
恐る恐る自分の下半身を見ると…
旦那様の指が白い何かで汚れていた。

「うあひゃっっ…!?」

訳が分からないのに恥ずかしい…!
手を離した旦那様は変わらずお酒に
頬を火照らせ、ニコニコしてる。

「とっても可愛かったよ。興奮した。」

「そそ、それ、それ何なんですか…っ?」

「ああこれ、君のえっちなものだよ…。
ティッシュあるかな?垂れる前に…。」

「……っ!」

旦那様がよそ見をした瞬間、指の隙間から
滴が垂れそうになった。
冷静な判断をする時間もなくその指を
口で咥えた。
何か、飲み物に見えたのだろうか?

「あ、音句くんーーっ!?」

「ーーーーーっ!!!」

味覚の第一印象は、まっっっずい…!
青臭く苦い、どろっとしていて潮気がある。
こんなモノでご主人の指を汚してしまった
罪悪感で胸が痛い。

「苦いでしょ?放しなさい?」

「んぐっ…、ちゃんと、綺麗に…、」

逃げる手首を両手で掴み、舌を這わせて
汚れを少しずつ舐めとる。

「…っ!」

胃がムカムカする味だけど汚した責任を
取らないと、そんな思いで必死だった。
旦那様の指は幅があり、表面が平らで固い。
男の人の指、って感じだ。

感覚の集中する紳士の指先に天使のような
青年が懸命に汚れを舌で拭っている。
紅い、未熟な花弁のような舌が刺激する。
官能的な光景から邪念が生まれるのは
容易く、そこから理性を引っ張るのは
とても大変な努力を要した。

「も、もう離れなさい…。」

「ぷはっ、でも…。」

「本能的に抗えなくなる、やめなさい。」

「……。」

少しキツい口調で叱られ手を振りほどかれ、
二倍悲しい気持ちでシュンとうつ向いた。
旦那様は僕の唾液でぬるぬるになった指を
少し見つめていた。

「…部屋に戻りなさい。」

「旦那様…?」

「君に…ひどいことをしたくない、
頼むから、今は私から離れてくれるかい。」

「………。」

悲痛な声に頷いて、ズボンと下着を上げた。
腰から力が抜けたようにフラフラしたけど
精一杯足を動かして部屋を出る。

頭が…ぽーっとする。
すごい気持ちいいことを教わった…。
足の間に違和感があってモジモジする。
今まで知らなかった、厳しく抑制された
感覚が堰を切って溢れてしまう。

青年は、ゆるりと快楽の園へ堕ちていく。
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