こいちゃ![R-18]

蒼い色鉛筆

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③本編↓未工事(すごいえちえち)背後注意でお楽しみください。

お兄ちゃん! 前編

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由海広ユミヒロはふわふわと白い空間を漂っていた。

ここがどこだとか分からないし…、
なんだか深く考えることが出来ない。

「………。」

温かい。
温かくて柔らかい空中が
心地よくてまぶたが重い。

このまま眠ってしまいそうだ。

「……さん、…、みさん…。」

鈍くなった頭に響く微かな声は
自分を呼んでいる。
…何故かそう思う。

「…ん。」

声の方へ振り替えると色鉛筆が浮いていた。
青色の小さな色鉛筆だ。

声はそこから聞こえる。

広い空間で響くような二重三重の音声。

「海さん…今日は休日でしょう…」

「……ん……。」

聞いたことある声だ。

尋ねられて少し考える。
…そういえば休みだった気がする。
ぼんやりと返事をした。

「…ぅん…。」

「今日はたっぷり燃夏モカくんを…
甘やかしてあげて下さい……」

「……?」

恋人の名前に、少し意識が鮮明になる。
モカくんがどうしたんだろう。

落ち込んでたかな?
いや、機嫌よくニコニコしていた。

昨晩、今日の天気が良ければ
公園でデートしようか、なんて
話したことを思い出す。

「今日は雨が降ります……だから…
モカくんが普段はおねだりできない…
特別なことを…してあげてくださ…」

「…、…。」

意識が遠のく。

応えたはずの言葉が消えていく。

白い世界が、黒くフェードアウトして
沈んでいった……。



「…………、」

頭がすーっとする。

目を開けて初めて、
さっきまでのことは夢だったと気づいた。

「んん…」

ベッドの上で、のびのび伸びをした。

欠伸で深呼吸をすると思考がクリアになる。

ぼんやりと彼の姿を探すが
隣にモカくんはいない。

早朝ランニングかな?

しかし…今日は雨だって、聞いた気がする。

ふとカーテンの隙間から外を見ると
確かにどんより曇り空から
大粒の雨が窓を打っている。

「………。」

そうだ、夢を見てたんだ…。

仰向けになり顎の下を指で掻く。

ちゃんと私、応えたよね…?

ガチャガチャ、バタン

「んぅ…」

帰宅の気配がする。
無駄のない動作で起き上がり、
リビングの通りすがりに
乾いたバスタオルを掴んで玄関に行く。

玄関ではずぶ濡れの子犬のように
雨に濡れてカタカタ震えるモカくんがいた。

ジャージが肌に張り付いている。

見てるだけでも寒そうだ。

「海さんありがとうございます…っ
どうしようかと困ってました…。」

「んーん、おかえり。急に降ったの?」

温かいバスタオルで彼をくるむ。

寒さに凍りついていたモカくんが
ふにゃっと柔らかく笑う。

「そうなんですよ、走って帰ってきたのに
下着までびしょびしょです。」

「災難だったね…。真っ直ぐお風呂入って
おいで。着替え置いとくからね。」

「ふぁい、ありがとうございます。
あ、海さん…。」

「んぅ?、ん…」

リビングに戻ろうとして引き留められ、
振り返り際に冷たいキス。

モカくんの唇は氷のように冷たいのに
とても眩しい笑顔を見せてくれる。

「おはようございますっ」

「…おはよー。…早くお風呂行くんだよ?」


「はーいっ。」

「……。」

私を追い越して浴室に駆ける彼を眺める。 
  
自分は寒いくせに、
私に冷たさを感じさせないように
顔だけ突き出して
キスをした恋人がかわいい。

愛しさのため息が出てしまう。

にやにやしてしまう口角を、
モカくんがいないのに押さえながら
着替えを取りに行った。




肌から湯気を立ち上らせ
ソファで寛ぐモカくんに、
少し冷ましたココアをコップ一杯に
注いで持っていく。

風呂上がりの彼は
乾いた着替えに身を包んで
満足そうに微笑んでいる。

「ありがとうございます。」

「まだ熱いかも、気をつけてね。」

「はい。ふー、ふー」

猫舌の彼は吐息で冷ましたココアを
慎重に口につけた。

「ん…、美味しいです。」

「んっ、よかった。」

隙間なくぴったりと隣にくっついて座ると
いつもより温かい体にほっとする。

肩を抱いて引き寄せるので、
素直にすり寄って胸に頭を置いた。

「……、」

「………。」

少しの間沈黙してお互いの鼓動を堪能する。

モカくんがココアをテーブルに置いた。

「…公園デートは中止ですね。」

「ん、そだね…。今日は…何する?」

「雨が落ち着いたらDVDでも
借りに行きましょうか。」

「いいね。帰りは温かいものを食べて
帰ろうか。うどんか蕎麦かな。」

「うどんがいいですね。」

何となく今日の予定を立てる。

あれ?今日は…、あ、そうだった。

「モカくん、おじさん今朝は
変な夢を見たんだよ。」

「んん?怖い夢ですか?」

「んーん、色鉛筆が出てきた。」

多分…あれは作者だな。

モカくんが不機嫌になる。

「ええ、色欲魔の夢ですか?
海さん可哀想に…。」

「ん、んと…。」

心の底から心配され、
労りながら肩を撫でられる。

少し間をおいて話を続けた。

「…夢でさ、話しかけられたんだ。」

「どんな話ですか?」

「んん、今日はたっぷりモカくんを
甘やかすように、ってさ。
普段言えないおねだりも聞くようにって」

「…あいつに言われたから、
俺を甘やかしてくれるんですか…?
海さんは、何て答えたんですか?」

少し拗ねたモカくんの横顔。

それを見ながら聞かれたままに答えた。

「ん?まあ、そんなこと言われなくても
いつでも歓迎ですからって言ったよ。」

「…、っ、…。」

不意打ちをくらったのかモカくんが
顔を手で隠して悶絶している。

耳が赤くてかわいい。

「い、いいんですか…?」

「?。もちろん。」

「……海さん、俺に甘過ぎ…。」

「…ふふっ、なんででしょ?♡」

「………な、なんでですか…?」

「んふ、モカくんが大好きだから♡」

「……くぅ…っ…」

今度は心臓を押さえたモカくん。

そんな変なこと言ってないけどなあ。

にこにこと彼を見ていたが
深呼吸をして、
真剣な眼差しを向けられ身構える。

「それじゃ…えっちな
お願いしてもいいんですか?」

「ん…、いいよ♡」

熱っぽい視線にぞくぞくする。

どんなすけべなことをされるのかと
体の奥が疼いてしまう。

「ん…、ん、んんぅ…む…」

どちらからともなく顔を寄せて
深いキスをする。

「ん、んぅ…んっ、は…♡」

短いキスなのに既にデキあがってしまう。

「ん、は…、う…♡」

乱れた呼吸を整えると、僅かに離れた先の
モカくんは濡れた唇で答えた。

「それじゃ…海さん。
この前先生と生徒ごっこしたの…
よく覚えていますよね?」

「ん、うん…。」

ごっこ遊びに非常に興奮してノリノリで
エッチしたから、鮮明に覚えている。

思い出すと頬がカーッと熱くなる。

こんな風に聞くと言うことは、
「お願い」はごっこ遊びのアレンジ
だろうか。

「普段なら…、こんなお願い出来ないん
ですけど。今日は…いいんですよね。」

「うん、いいんだよ…?おいで?」

「…っ、はい。海さん…、あの…」

どんな設定でシたいのか、
想像するだけで楽しみだ。

期待しながら言葉を待った。

モカくんは少し照れ笑いしながら続けた。

「海さん、弟になって下さい。」

「………?」

…ん?
ん、ん?
聞き間違いか?

ちょっと混乱してきた。
笑顔のまま固まってしまう。

モカくんは照れ笑いを返す。

あれ…?





つづきます→
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