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15 私のこと嫌いにならないでほしいな

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ドルバルの腕の中からレイブンの腕の中へと移動し、レイブンにギュッと抱きしめると反応が面白いことに。

「レイブン、心配してくれてありがとう」

    ぎゅぅぅぅぅ。

「お、俺も抱きしめていいのか?

    いや……少しでも力加減を間違えば大変なことになる!

    それにしても、こんな小さくて可愛い生き物がこの世にいるとは…くぅぅぅ、甘い匂いもするしたまらん!!」

    すぅぅぅ、はぁぁぁ。

    すぅぅぅ、はぁぁぁ。

    私の体を嗅ぐのは…止めてぇぇぇぇ!

「レ、レイブン…抱っこならいいけど、体を嗅ぐのはちょっと……恥ずかしい……」

    両手で顔を隠し言葉を選ぶ私の顔は真っ赤だ。レイブンはというと……耳まで真っ赤になっていた。

    それを見かねたギルマスがズンズンとこちらへ歩み寄り、選手交代と言わんばかりに私をバッと、奪い去り。

「おい、俺の大事なレインに何をする……全く、油断も隙もない!」

    ヒョイッとギルマスの腕の中に包まれた。この腕の中が一番安心する。

    仲間たちと和気あいあいしている中、ドルバルが私に話を振ってきた。

    話とは、私の部屋でしようとしていた話だ。水晶に手をかざせば素性がバレるけど、覚悟を決めたからドルバルに話そうとした。

    でも、ドルバルは養父になるギルマスより先に聞くのは良くないって思ってくれたから、奥の部屋でって言ったんだ。

「レイン、いや……小さなお姫様。

    俺たちに話があるんだろ?

    大丈夫だから話してみな」

「……ドルバル…うん、話は長くなるけど聞いてほしい」

    みんなを見回し、目を閉じて深呼吸をし「鑑定水晶をお願いします」と言ったあと、ローランが水晶を机の上に出した。

    その水晶に手を置き。

「これが……わたくしの素性です!」

    映し出されたのは……。

『【名前】ルルナ・エメルロ(侯爵家の長女)

【年齢】5歳 (アイテムボックスの中に〖地球で稼いだ貯金50億円〗→赤金貨100億枚)

【スキル】神ロアの加護・女神リノンの加護
    草集め(薬草などあらゆる植物・食べ物を光で示す)
    特殊想像生成(思い浮かべた全ての物を生成し、攻撃や防御も自由自在に出来る私強ぉい!)
    賢者(魔法ならなんでも出来るし、魔石に付与可能だ。すごいだろ!?)
    無限の魔力(魔力切れにならないから便利)

【神獣の主】神獣の加護(コレが1番最強だろ)』

    あれれっ?

    スキル鑑定って、こんなに正確に出るものなんだ。王宮ではスキルしか出なかったのに……王宮のは古い水晶だったのかも。

    私の話をしたあと、みんなどんな反応するんだろ?

    ポンッ、なでなで。

「ルルナ、お前さんのことを教えてくれてありがとう!

    エメルロ侯爵の娘だったんだな、だがエメルロ侯爵の一族は隣国の獣人国にいるはずなんだが……」

「私……わたくしは3歳の頃にローバル国のルドルフ殿下(第二王子)と口約束ではあるのだけど婚約をしていました。ですが、あの夜事件は起こったんです。王宮からの帰り道、馬車が崖から転落し生き残ったのは……っく…うぅぅ、私だけ。
    その後、わたくしは母様の兄であるダメンズ男爵に引き取られましたが…うぅ……ひっく…毎日朝から晩まで監禁されてるかのように物置部屋から出してもらえず食べる物も、スープが少しと一欠片のパンだった。それだけではお腹が空くので食べ物を探していると乞食扱いされ、衣・食・住は自分で確保しないといけない日々…ひっく……なのに、泥棒と罵られました。

    スンスン……わたくしの両親の半分ほどの財産は叔父家族に盗られ、あるのは兄様がくれたアイテムボックスと中にある、隠し持っていた残りの財産と…ズビズビ……大切な家宝だけ。

    そして、5歳のスキル鑑定の日にわたくしは婚約破棄をされ、王宮の広間にいる全員から罵られ国外追放を言い渡されたのです。

    素性を隠していたこと誠に申し訳ありませんでした。

    ズビズビ……今からこの街を出て行きます、優しくしていただきありがとうございました」

    迷惑にならないように街を出ようと思っていたのに、なんで離してくれないの?

「行かせねぇよ!!」

    やだ、私まだ死にたくない!

「やだっ!

    騎士に見つかる前に行くの!

    行かなきゃわたくしは……(処刑される)」

    ギルマスに抱き上げられた私は抵抗するかのようにジタバタと暴れたが、レンが何かを察したのか、それを口にした。

「 騎士に見つかると、その場で処刑とでも言われたのか?」

    ピクリと肩を震わせる私を見たギルマスはギュッと抱きしめ、頭を撫でながら泣いていた。

「そうか、つらかったな…くっ……こんな小さくて可愛いルルナを……。

    俺たちが絶対に守ってやる、だからここにいろ!!」

「そうよ、ここにいなさい。

    私もライラもルルナを守るから」

「俺らも守ってやるからよ!」

    ギルマス、ローラン、ドルバル……。

「騎士なんざ虫けらみたいなもんだぜ」

「ルルナのことを泣かす奴は俺らが成敗してやるよ!」

「うんうん、お前さんはここで守られていなさい」

「オレもみんなと同じ意見だ。

    ルルナが殺されるって分かってて外に出すわけがねぇ!」

    レイブン、レン、アドルフ、ティボー……みんな、ありがとう。

「今だけは、わたくし呼びから私呼びにすることをお許しください。

    皆様…」

    ギルマスから私を抱き上げたレンに言葉を遮られ、高い高いするかのように持ち上げられ。

「ルルナ、ルルナ。

    レディ、君はどんな貴族より可愛いお姫様のルルナだ!」

「……………っっ!!」

(きゃぁぁぁ、レンのギャップ萌え…は、恥ずかしい!!)

    ワチャワチャな会議という名の会話は、そろそろお開きにすることになった。

「ライラには私から伝えるわ。

    大丈夫よルルナ、貴女をアイツらに渡す気はないから安心して」

「ローラン、ありがとう」

    と言って、ローランに両手を広げて抱っこの甘えポーズをした。

    ローランは胸がムズムズ、ドキドキしたのか、私を奪い去り頬に頬ずりをされ「きゃはははは!」嬉しくて笑い声が部屋いっぱいに響き渡っていた。
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