売られた姉妹

カウラ

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闇の中

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 激しい雨が甲板を叩き船倉まで大きな水音を伝える。

 ポタリポタリと漏れた雨水が船倉の天井の至る隙間から零れ落ち、船底に横並びでギチギチに詰め込まれた少女達の裸体を冷たく濡らした。

「ううぅ・・こ、怖いよぉ・・冷たいよ・・息苦しいよ・・」

「大丈夫・・大丈夫だから・・。凛良いかしら落ち着いて聞いて。この船はガレオン船って言って外洋・・つまり私達が暮らしていた日の本から遥か遠く離れた海の向こうまで行ける頑丈な造りなの。きっと・・この程度の嵐で沈没するはずが無いわ」

「ううぅ・・そうなんで・・わかったよ・・けど、怖いよぉ・・」

「もっと近付いて・・ほら、昔怖い夢を見たときみたいにお姉ちゃんがぎゅってしてあげるから・・怖くなんて無いわ」

「お姉ちゃん・・」



 菊が凄惨な輪姦陵辱を受けてから数日が過ぎた頃、船は東南アジアの洋上を航海していた。



 ***



 あの後、ビロードは菊を売ってしまったことを後悔したのか、その翌日からは彼の要求する”奉仕”も比較的穏やかなものに変わっていた。

「ゆ、指を入れるよ・・痛くないかい?」

「ええ・・大丈夫よ・・そう、中を掻き回すならゆっくりお願いね」

 じゅぽっ、くちゅ、くちゅ、くちゅ

「んっ・・あっ・・!」

 彼は挿入前には不器用ながらも指で菊の腟内を愛撫してからペニスを捩じ込むようになった。



 じゅぼっ、じゅぼ、じゅぽっ!

「んっ! んんっ! んぐっ!」

「ウッ! だ、出すよ!」

 ドピュ! ドピュ!

「んおっ! ・・んぐっ・・ごくっ・・ごくっ」

「・・ふぅ。今日も良かったよ菊、僕のペニスを舐め回すのがとても上達したね」

「ごくっ・・。そう、あまり嬉しくないわね。まあ貴方のアソコはこの間の男達よりは臭くないからその分舐めやすいわね」

「褒めているんだから素直に喜びなよ。さ、戻るよ・・ああそうだほらタオルを使って口を拭き取りな」

「・・ありがとう」

 また、フェラチオを強要しても菊の口内で排尿することは無くなったのだ。

 そして性交後には使い古しとは言え拝借してきたタオルを菊に差し出すように変わった。

(痛いことや恥ずかしいことをされなくなったせいかビロードに奉仕するのが苦痛じゃなくなったわ・・ううぅ、私はこの環境に慣れてきたのかしら。それにあんな非道い形で私の処女を奪ったのに彼の事がそんなに嫌いじゃなくなって・・うぅ、気を強く持たないと・・)

 彼なりに申し訳ないと思ってのことだろう。

 それは未だあの日の輪姦による性器の痛みが続く菊にとっては幸いであった。



 しかし安堵したのもつかの間、今度は菊が乗る船が強烈な嵐に遭遇したのである。

 折しも夏の台風の時期であり不幸にも黒鯨号はその年の大型台風の進路と直撃してしまったのだ。

 ガレオン船である黒鯨号とは言え台風に巻き込まれては激流に踊らされる落ち葉に等しく、船は予定していた進路を大きく狂わせながら荒波の中で揉まれたのだ。



「すんっ・・すんっ・・」

「ひっ!」

「怖いよぉ・・おっかぁ・・おっとう・・グスッ・・」

「えーん! えーん!」

 奴隷として運ばれる少女達は荒波で揺れる船倉内で酷く怯えて身を寄せ合い、ただ嵐が過ぎ去るのを祈っていた。

「暗いよぉ・・怖いよぉ・・」

 船内での火事は致命的なものであり、嵐に先立って火災を防ぐためランプは消灯させられており、昼も夜も船の中は真っ暗であった。

 暗闇の中で激しく軋み揺れる船倉に押し込められた彼女達のストレスは想像を絶するものである。

 嗚咽のあまり失禁したり、船酔いで激しく嘔吐してしまう少女も多数発生した。

「ひぐぅ、ひんっ・・ひんっ・・お姉ちゃん・・本当に大丈夫・・?」

「大丈夫・・凛には私が付いているわ・・大丈夫よ」

「お姉ちゃん・・怖い、怖いよ・・」



 ***



チカッ

(・・う! ま、眩しい・・何・・光? そう言えば私・・気絶していたんだ・・凛はどこに・・うぅ、体中が床の木にぶつかって痛い・・)

 菊は激しい衝撃と疲労感でいつの間にか気絶していたのだ。

 果たしてどれだけ長い時間、菊と凛は揺れる船倉に押し込められていたのだろうか。

 彼女は船倉の扉が開く音と無数の男の足音、そして上から照らされた光によって目を覚ましたのだ。

(揺れてない・・嵐は過ぎ去ったのね・・うぅ・・ひどい臭い・・みんな垂れ流しだしきっと嵐の間は誰も処理もしてくれなかったのね・・臭いで頭が痛くなりそう・・)

 もう大きな揺れはなく、嵐の音はしない。

 船は荒波を抜け、穏やかな洋上に脱したのだ。

「くそっ・・なんだこの船倉の臭いは!」

「酷ぇな、ゲロと糞を掻き混ぜた肥溜め以下の臭いだぜ!」

「ちっ! 奴隷共が好き勝手に汚しやがって・・おい船長命令だ! さっさとコイツら全員を甲板に連れてけ!」

 ガヤガヤと騒がしく船乗り達が船倉に入ってきた。



「ぅ・・痛い・・臭い・・お姉ちゃん・・どこ・・?」

「凛! 大丈夫!? お姉ちゃんはここに居るわ!」

「・・うぅ! お、お姉ちゃん・・ここどこ・・日の本に戻れた・・?」

「・・ごめんなさい、まだ私たちは・・」

 菊は妹の身を案じて怪我がないか様子を確かめた。

 自身の足の鎖と繋がっている彼女は肩や大腿にいくつかの小さな打撲痕が残っている程度でそれ以外に大きな怪我は見られなかった。

 菊が話しかけると次第に凛の意識もしっかりと戻ってきており頭もぶつけていない様子で、彼女は安堵した。

「まだ・・奴隷船の船倉よ」

「そっか・・それよりお姉ちゃんは大丈夫? すごい揺れたけど怪我してない・・?」

「ありがとう凛、私も無事よ」

「良かった・・怖かったね」

「ええ・・」

「おらそこの二人もさっさと立ち上がれ! 遅れらた鞭をくれてやるぞ!」

「ひぃっ!」

「っ! わ、わかったわよ!」

 二人がお互いの無事を喜んでいると一人の船乗りがやってきて彼女達の足枷を外し、それから二人に甲板へ向かうよう促した。

 周りを見渡すと他の少女達も同様に船乗りに強要されて甲板へと向かわされている。

 しかし、それも動けるものだけである。

 2割程は体力の消耗が激しくまともに身体を動かせず、中には自らの排泄物が身体にかかってしまい全身汚物塗れで涙ぐむ少女も居た。

 しかし船乗り達は地獄の鬼を思わせるような残忍な性格の者ばかりであり、そんな動くことが出来ない彼女達にも容赦無く鞭打ち、どうしても歩けない場合は髪の毛を掴んで引きずって甲板へと運んだのである。

「おら来いこの役立たず! 動けないならお前はもうお終いだ!」

「寝たきりの奴隷なんざ要らねぇんだよ!」

「やあぁ・・い、痛い・・やめっ・・お願いっ、乱暴しないで・・」

「奴隷の餌代だって勿体ねぇ! コイツは海に捨てちまおうぜ」

「ああ、こんな糞塗れの奴隷なんざ犯す価値もねぇ! まさに糞以下だな!」

「ひぃ・・ひいぃいいっ・・」

「臭くて敵わんな、マンコの中も糞まみれか?」

「「「ぎゃははっ!」」」

(か、可哀想だよぉ・・。けど何か言ったら私もお姉ちゃんもお仕置きされちゃうし・・黙って見て見ぬふりをするしか・・うう・・ごめんね・・)

(非道い・・まともに動けない女の子にあんな仕打ちが出来るだなんて・・やっぱり彼らは悪鬼羅刹の類だわ)



 木張りの甲板は台風一過の照り付ける太陽でジリジリと熱せられていた。

 菊と凛は他の少女達と共に等間隔で並んで整列するよう命じられ、皆がフラフラの足で懸命に直立の姿勢を保った。

 彼女達は船の後方にある船尾楼、つまり船長の居室を向いて立つよう言われている。

(部屋から私達を見ている人が居る・・眩しくて見えないわね。立派な服を着ているみたいだけど・・誰?)

 逆光のため菊の目にはハッキリと見えないがこの時、黒鯨号の船尾楼では船長が航海士から被害状況の報告を受けていたのだ。

「今回の嵐による被害ですが・・食料20日分、飲料水30日分が浸水した影響で腐っていました・・それと船倉の漏水と汚損・・武器弾薬の一部の浸水・・それと・・あの・・」

「どうした? 報告を続け給え」

「・・メインマストの一部破損が破損していました。洋上での修復は可能ですが航行速度は遅れます。これでは予定通りに本国へ帰航するのは不可能かと思われます」

「ほう。それは非常に残念だ」

 船長は豊かな髭を撫でながら報告を静かに聞いていた。

 だが彼の顔には青筋が立ち、背中には怒りの炎が渦巻いているように船員は錯覚するほどの様相である。

 船長が激しく苛ついているのは船長室の誰もが察していた。

「到着の遅れと重なることで、このままでは食料が枯渇して折角入荷した奴隷の半数は喪う結果となります。東南アジアの港町に寄港して食料を購入するなど体制を整えるべきかと進言致します」

「ほう、なるほど。つまり君は私に余計な出費を強請ろうと言うのかね」

「・・っ! ま、まさかそのような・・」

 船長は腰のサーベルを抜くと報告していた船員の首筋にピタリと沿わせた。

「私は無駄な浪費を好まぬ。寄り道? 食料を買い込む? 君はどうやら今回の奴隷貿易で守るべき鉄則を理解しておらぬようだな」

「・・て、鉄則とは・・?」

「今回の日本人奴隷の購入には本国の大貴族や豪商も関与しているのだよ。彼らは決まった日時に集合し私が主催する日本人女奴隷オークションに参加する手筈となっている。・・理解るか? そこに肝心の商品が無くては奴隷商としての私の名にも傷が付くのだよ」

「で、では船長はこのまま本国へ・・」

「ようやく理解したか。そうだ、君たち航海士にはこの船を定められた日時までに本国の港へ到着させる使命がある。食料が枯渇? 奴隷や下級の船乗りが飢え死ぬ? そんな些事に気を取られるな。私の命令に素直に従えば良いのだよ。理解したら帆を大至急修繕し給え。東南アジアを抜けてインド洋、喜望峰、そして大西洋。まだ先は長いぞ到着までの予想日数は?」

「修繕が必要となったことや当初の航路を外れてしまったこともあり・・本国へ到着するのは7ヶ月前後の見込みです」

「ふんっ、当初の予定から大分伸びたな。まあ開催には間に合うだろう。なるべく急ぐよう部下共に伝えろ。・・しかし煩わしい。本来であれば本国に到着してから腰を据えて性奴隷として調教を開始する予定だったが、これでは洋上で前もって連中の教育を開始する必要があるな」

「船長その・・調教とは?」

「君は黙って船を目的地に届け給え! さあ早くこの船長室を出るんだ!」

「りょ、了解しました・・!」

「全く使えぬ男だ。・・さてさて、私の商品達はどうなっているかな」

 船長は一通り航海士達を叱責した後に船長室から追い出た。

 そして首から掛けていた望遠鏡で甲板の奴隷少女達を舐めるように見始めたのだ。

「ふむ・・報告の通り汚れきっているな。まあ3日間も船倉に閉じ込めて糞の処理もさせていなかったのだから当然だな。疫病の蔓延を防ぐため至急海水で洗い流すよう指示を出さねばならん。さて調教の順番も決めねば」

 船長は灼熱の甲板上でまともに立てる状態の少女一人ひとりの吟味を始めた。

 彼にとって少女達は商品でしか無い。

 彼女達の知性や感情は最初から必要とは考えておらず、ただ健康的な肉体と適切に機能する性器を持っていればそれで良かった。

 船長が奴隷少女に求めているのは、主人の性欲を満たしありとあらゆる変態行為を従順に受け入れ、必要とあれば次の奴隷の子を孕む能力である。

 そのため船長はあえて仕入れた奴隷少女を過酷な環境に置き、その中で耐えられず脱落した者は弾き奴隷として必要とされる体力と気力に優れた奴隷を選抜していたのだ。

 そんな状況で菊は持ち前の体力と精神力、そして凛はビロードがこっそりと増やした食事と菊の励ましによって姉妹揃って地獄のような航海をここまで耐え忍んだ。

「ふむ・・まだまだ多いな。これでは到底食料が足りん。さてどれだけ間引こうか」

 船長は航海図を広げると到着までの日時から逆算しどれほど奴隷と下級の船乗りを減らせば滞りなく今回の貿易で利益を上げられるか計算を始めた。



 ***



 その後黒鯨号は大きな台風や時化などの影響を受けず無事に東南アジアを抜けて今はインド洋を航海していた。

 だが日が経つに連れて船倉の少女達の状況は悪化の一途を辿っていた。

 まず、食事や飲料水の量と質は目に見えて劣化した。

 出港当初は1日2回の干し肉と乾燥野菜のスープと乾パンだった食事が今では質の悪いチーズの破片やおが屑混じりの乾パンに変わり、しかもそれも1日1回に減らされていたのだ。

 水もコップ3杯だったものが何時しか2杯になり、しかもその水もひどい味でよく見ればゴミや虫の死骸が浮いている腐りかけの水であった。

 菊の近くの少女の一人は食中毒の少女を呈して嘔吐と下痢を繰り返し遂には船倉から運び出されその後姿を表さなくなってしまった。

 このときも菊とビロードの肉体関係は続いていた。

 菊は毎日のように便所で犯された上に避妊無しで膣内射精され続けた。

 そして少しずつだがすんなりとビロードの男根を受け容れられるようになってきた自分に対して嫌悪感を覚えていた。

 そして彼に奉仕する対価として凛は粗悪ながらもある程度マシな食事と水にありつけていた。

 とはいえ彼が工面できる食事にも限界があり、このままでは凛の体力が限界を迎えるのではと菊は危惧していたのだった。



 衛生状況も劣悪極まりなかった。

 彼女達は船倉内では常時横並びに寝かされた上に足は拘束具で固定されており、その拘束具は隣の少女の足の拘束具と鎖で連結させられていた。

 そのためまともに身体を動かせず、その場で垂れ流しの少女達の排泄物で船倉は常に悪臭を放っていた。

 ビロードなど下級の船乗りが清掃するもののとても追いつかず、船倉内は汚物によって足の踏み場もない程であった。

 強烈な熱波の甲板上での水浴びや裸踊りは少女達の体力と気力を着実に奪い去り、連日のように全裸で直射日光に晒されたせいで日射病に倒れ、そのまま帰ってこなかった者も居た。



 そして船乗り達は毎日のように船長に叱責され、その怒りの捌け口を船倉の奴隷にぶつけ始めたのだ。

「きゃああっ! や、やめてっ! やめてえええっ!」

「うるせぇ! 静かにしねぇとナイフで刺し殺すぞ!」

「いやああっ! わ、私は処女なの! お願い! お願いやめてえええっ! こんなのいやああああっ!」

「ちいっ! 黙りやがれ! 日本語で喚いてもなんて言ってんのか分かんねぇんだよ!」

 ドコっ! ドゴッ! ボゴッ!

「ひっ! おごっ! うごっ! ・・うぅ やめて・・もう殴らないで・・。許してくだ・・さい・・」

「おっ、ようやく静かになったか。へへっ、めんどくせぇから今すぐここでヤッてやるぜ」

「うぅ・・いたいよぉ・・」

 ズブッ! ズブブブッ! ブチブチッ! ブチュッ!

「いぎぃ・・いぃいいいいぃ・・! あ・・ぁ・・」 

(・・くっ! 抵抗できないのを良いことになんて卑劣な・・っ!)

 ある日の夜など、ストレスと性欲が溜まり限界を迎えた船乗りの一人が船倉に乗り込むと、たまたま彼の足元で寝ていた少女に狙いを定めて馬乗りとなる。

 そして奴隷少女達が所狭しと押し込められた船倉で性欲のままに強姦したのだった。

「たすけ・・誰か・・たすけっ・・!」

 パンパンパンパン! 

ボゴッ!

「ぎぃいっ!」 

「うるせぇ! 黙って腰を振りやがれこの奴隷女が!」

「ひいいっ! いだいいいっ! わ、わだじのあぞこがあああっ! ざげるうぅうう! だれがだずげでぇええっ!」

「黙れ!」

ボゴッ! ドカッ! バキィ!

「あがっ・・あっ・・ひぃ・・」

(ビロードは・・そうだ今晩は休みだった・・よりによってこんな日に限って・・! わ、私がなんとかしないと・・!)

 男は前もってビロードとは別の看守係の船乗りに賄賂を送り、船倉への鍵を受け取っていた。

 そして看守が見て見ぬふりをしている中、彼は堂々と船倉に乱入し拘束されていた少女を犯したのだ。

 船倉内の奴隷少女達も異様な事態が起きていることはわかってはるが、ここで騒いで自分が標的になってはいけないと誰しもが黙って寝た振りで過ごそうとしていた。

 彼女以外は。

「やめなさい! 誰か! 誰か見回りの船乗りは居ないの! 少女がレイプされているわっ! 大切な商品じゃないの!? 誰か助けて頂戴!」

「なっ! だ、誰だ!? 今俺らの国の言葉で喋った奴隷は誰だ!?」

 ガヤガヤ ザワザワ

『どうした?』

『船倉で何か聞こえたぞ』

『女の声がした』

『レイプとか言っていたぞ。まさか・・!』

『おい! 船乗りが一人持ち場から消えているぞ! 船倉に居るかも知れん探して捕まえろ!』

(良かった聞こえたみたい・・お願い早く来てっ!)

「ち、畜生! 畜生! 畜生! なんだって俺ばかりこんな不幸に! クソっ! いま叫んだやつ誰だ!? 今すぐ殺してやる! ・・てめぇかこの太っちょ!」

 強姦魔の男は賭博の借金返済のため下級船乗りとして黒船号に乗せられていた。

 しかし彼は俺の自業自得で積み上げた借金さえも自分が不幸であると他者のせいにする身勝手な男である。

 そんな彼が怒り狂って菊を睨んだ。

(・・くっ、ま、マズイ・・足が拘束されて逃げられないし・・! 誰か・・早く来て!)

 唯一、菊のみは船乗りの蛮行が許せず思わず大声で甲板に助けを求めた。

 甲板からは男を探す声が聞こえ、何人もの男が足早に船倉へと向かってくる足音がする。

 しかし強姦魔の船乗りに菊が叫んだことがバレてしまい、彼は怒りの形相でナイフを手に彼女へ向かって飛びかかってきた。

 当然だが菊の足は鉄の拘束具で戒めれられており、逃げることは元よりまともに防御することすら困難な状態だ。

「心臓を抉り取って喰ってやる! 死にやがれこのクソ奴隷!」

「いやああっ! お姉ちゃんっ!」

(アイツ心臓って言った・・お願い! これでっ!)

 隣で叫ぶ凛。

 菊は男が自身の心臓を狙っていると察知すると、とっさに手元の桶を取って胸元を守った。

 ドガッ! ・・ビチャビチャ!

「な、何っ! 畜生! 俺はなんてツイてねぇんだ! こいつてめぇの糞桶で俺様のナイフを止めやがった! ああクソ! 汚ぇ! 俺様の靴に太っちょの糞が引っ掛かっちまった!」

(あ、危ない・・手元に桶があって助かったわ・・)

 男のナイフが菊の心臓目掛けて突き立てられる。

 だが菊は幸運にも、手元にあった自身の糞便入の手桶で辛うじて凶刃を防げたのだった。

 ナイフは木製の桶に深々と突き刺さり使い物にならなくなった。

 そして中に入っていた彼女の糞尿がナイフの穴から零れ落ち、男の足を汚した。



「畜生! このメスブタ許さねぇ! こうなったら縊り殺してやる!」

 男は己の不幸を呪いながらナイフを離し、それから菊の柔らかな首に両手を回して絞め殺そうと力を入れた。

「う、ぐっ・・!」

「いやあっ! お姉ちゃん! やだ! お願いやめてっ!」

「へへっ! 俺様もお終いだがよぉ、お前も地獄に道連れだ! 死ね太っちょ! 死ね! 死ねぇ!」

「ぐぅ・・ぅ・・」

 ギリギリと菊の首が締め付けられ、血流が脳へ届かず彼女の視界がモノクロへと変貌する。

(ち、力が入らない・・嘘・・私・・こんなところで・・殺されるの・・? こんな暗くて汚い空間で・・汚物に塗れて・・しかも・・凛を一人残して・・死ぬだなんて・・絶対・・嫌・・)

 ぼんやりとした思考の中で凛が自分を呼ぶ声だけが妙に鮮明に聞こえる。

ギリ・・ギリ・・

「ぅ・・ぁ・・」

(凛・・ごめんなさい・・私・・もう・・)

 そして遂に菊の両手はだらんと脱力し、彼女は白目を剥いてチョロチョロと失禁しながら意識を暗い闇の中へと手放したのだった。
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