28 / 31
第四章 精霊と呪い
本当の愛(2)*イラストあり
シグルンは瞼の裏に温かさを感じて目を覚ました。
寝台の脇の机にお気に入りの題名や読みかけの本が積み上げられているのを見て、ここが自分の家だと気付いた。
鎧戸からは温かな日差しが降り注ぎ、窓際にはゾーイが活けたのだろう、質素な花瓶に黄色の花が挿さっている。
「目覚めたのかい?」
「……あれ? お母さん……やだ、私……」
まるで長い夢でも見ていたようだ。
当たり前の日常を前に、シグルンはつい王都に行っていたことが嘘のように感じられ、自分の頰を抓ってしまった。
(痛い。夢じゃない……)
「お前は帰ってきてから丸五日も眠ったままだったんだよ」
「ええ!?」
シグルンが驚いて飛び起きるのと同じくらいに、扉から人が入ってきた。
別れたはずのゲオルグとヨハンナだった。
ゲオルグは顔を綻ばせ、ヨハンナがやや後ろで頭を下げてくる。
「シグルン様、お目覚めになられましたか?」
「え! ゲオルグさんにヨハンナも!?」
「ええ、シグルン様が心配な余り、目が覚めるまではここに置いてくれとゾーイ様に頼んだら、炊事洗濯家事をする代わりに何とか置いてもらえましてね。……専らヨハンナが働いてくれてますが」
ゲオルグが乾いた笑い声を上げると、ゾーイが後ろから働けと杖で小突いてきた。
滑稽だが微笑ましい光景にシグルンはくすりと笑う。
「ご心配をおかけしてごめんなさい。私、何だか不思議な夢を延々と見ていたわ」
シグルンは夢にしては妙に、そして鮮明に夢の内容を覚えていた。
本当の母の美しさも、父の狂った愛も、ゾーイの優しさも、全て本物のように見えたのだ。
「夢じゃないよ」
するとゾーイはシグルンの疑問を否定するように言った。
「夢……じゃ、ない?」
「そうさ。あれはお前の母の遺した指輪の魔法さ。いつかお前が呪いに打ち勝つ日が来たときに、あのとき何があったのか、真実を教えるために」
「呪いに打ち勝つ……?」
「さすがの私にも呪いを破る特別な魔法は知らんさね。答えはすでにお前の中にあるんだから、呪いを解くのもお前自身なんだよ」
「こ、答え……?」
相変わらずゾーイとの会話は疑問ばかりが浮かんでしょうがない。
シグルンは首を捻りながらゲオルグとゾーイを見れば、二人とも同様に両手を上げて降参の仕草をしている。
ゾーイは呆れて大きく嘆息した。頭をぼりぼり掻くと、まどろっこしいねと乱暴にシグルンを手を引っ張った。
扉の外に強引に押し出され、いつか見たときと全く同じように、ゾーイは手を振って扉と鎧戸を閉めてしまった。
「……ちょ、お、お母さん!」
シグルンは上擦った声でゾーイを非難するが、扉は開かなかった。
そればかりか急に肩を叩かれて、心臓が縮み上がる。
「シグルン」
「きゃ! え……っ!」
シグルンは考えるよりも先に、声のする方向に身体を反転させられた。
声の主を知って驚愕する。
「ア、アレク!」
「また会えたね」
呼び声ははここにいるはずもないアレクの声だった。
太陽のように燦然と輝く金色の髪とサファイアの瞳が、憂いを帯びて揺らめいていた。
アレクは今にも泣き出しそうなほど悲しい顔をしているというのに、シグルンはそんな姿もまた美しいと思ってしまう。
シグルンは一瞬夢幻かと思って目を擦った。
しかし、何度目を擦ってもアレクの姿は消えない。
シグルンが今最も会いたい人物が、確かに目の前にいたのだ。
「お願い! 顔を見ないで!」
「どうして?」
シグルンはアレクが本物だと分かった途端、慌てて俯いて顔を隠した。今更遅いだろうが。目元に朱色が散る。
だが、アレクの両手がそれを阻み、くいとシグルンの顔を持ち上げた。
「……わ、私の顔、醜いでしょう?」
シグルンはいつの間にか涙が出ていた。
声は震えて今にも消えそうだ。
「シグルンはちっとも醜くなんかないよ」
決死の覚悟で言った言葉なのに、アレクはいとも簡単にそれを否定した。
涙で視界がぼやける中、ふいにアレクの金の睫毛が眼前に迫り、シグルンは硬直する。
「アッ! アレク! 何を……?」
アレクはシグルンの涙をキスで拭っていた。
アレクは金魚のように口をパクパクさせているシグルンに笑みを漏らす。
その姿はまるで天使のようだった。
「シグルン、名乗るのが遅くなったが、私の名前はソルヴィ・アレクサンデル・グヴズムンドゥルだ。アレクは愛称だから、このままアレクと呼んでくれて構わない」
「え!? ソルヴィ……グヴズムンドゥルって王太子殿下だったの!?」
「アレクだよ」
「いや、でも……」
「王太子であることを隠していたのは申し訳ない。だが、私は以前も今も、君の前ではただのアレクだ」
「……アレク……」
アレクーーソルヴィはシグルンの瞳を覗き込むように言った。
ソルヴィの濃い青色の瞳にシグルンが映る。
銀色に艶めく髪。黒曜石の双眸。すらりと伸びた鼻梁に形の良い唇。尖った耳の、本当の母親であるフレイヤそっくりの美貌のシグルンがなぜかそこにいた。
ソルヴィの瞳に映るシグルンは困惑の表情を浮かべている。
突然どこからどもなく無数の白い蝶が二人の間を舞い上がった。
ソルヴィは蝶に目もくれずに、ただ一点シグルンを見つめながら言う。
「シグルン、よく聞いて。君は醜くなんかない。君はとても美しいよ」
「……アレク」
「私は君を愛している。聖女としてではなく、シグルンという一人の女性として。どうか君も私と同じように、一人の男として私を見てほしいと願う」
シグルンは形の良い唇から紡がれる愛の言葉に心震えた。
止まっていた涙が再び零れた。
「シグルン、泣かないで」
「違うの……これは、嬉しくて」
シグルンの手は震えていた。
吐息すら感動で震える。
ソルヴィは震えるシグルンの手に大きな手を重ね合わせると、もう片方の手でシグルンの腰を引き寄せた。
優しげな仕草でソルヴィの胸に抱かれる。
不思議なことにシグルンの震えは止まり、頰が薔薇色に染まった。
「私も嬉しいよ、シグルン。君が聖女であることはずっと後に知ったことだけど、私の放った聖なる矢は初めから君を選んでいたんだね」
「あの矢はアレクの矢だったのね」
「そうだ、精霊が私の元に君を導いたのだ思う」
「じゃあ……私は……」
(……アレクに会うために王都に行ったのね)
シグルンはようやく全てを悟った。
全てはアレクに会うための試練だったのだと。
シグルンは自分の顔を何度も触って確かめる。
パサパサの白髪は櫛通り滑らかな銀髪だし、顔の大部分を占めていた大きなかぎ鼻も今はもうなかった。
尖った耳だけを残して。
「君はまるで精霊のようだ。本当に美しい……」
ソルヴィは優しげにシグルンの耳朶に触れ囁いた。
シグルンはこそばゆくなって身を捩らせるが、ソルヴィの厚い胸板からは逃れられそうにもない。
ソルヴィの胸にこてんと額を当て、恥ずかしさに顔を隠す。
「わ、私……私も、アレクは綺麗な人だと思うわ」
「男が綺麗などと褒められてもちっとも嬉しくはないよ」
「で! でも、本当のことよ」
ソルヴィはシグルンの頭の上でくすくす笑った。
そして、ゆっくりシグルンのおとがいを掬うように持ち上げる。
「シグルン、私は君を愛している。君は? 君は私をどう思っている?」
ソルヴィはとても綺麗ですね、格好良いですねなどという賛辞が聞きたいのではない。
鈍感なシグルンでもそれは分かった。
シグルンは顔を真っ赤に蒸気させ、恥ずかしさに悩ましげに顔を歪めた。
こんなときでもアレクは表情一つ崩さず、余裕そうに神々しい微笑みをたたえたまま、じっとシグルンを見つめている。
「……私もアレクを愛しています」
シグルンは絞り出すように言った。
心臓はもう壊れんばかりに激しく鳴っている。
こうして改めて愛を口すると、シグルンはもうソルヴィとは離れ難い気持ちになった。
「ずっとアレクと一緒にいたい」
「私もだよ、私の女神の秘密よ。もう絶対に離さない」
シグルンの目にソルヴィの美しく端正な顔が近付いた。
そっと触れるか触れないかの優しい口付けが落ちる。
視界の隅にいた白い蝶は、相変わらず二人の間を舞っていた。
まるで二人の愛を祝福するように。
この日を境にシグルンの呪いは解き放たれた。
寝台の脇の机にお気に入りの題名や読みかけの本が積み上げられているのを見て、ここが自分の家だと気付いた。
鎧戸からは温かな日差しが降り注ぎ、窓際にはゾーイが活けたのだろう、質素な花瓶に黄色の花が挿さっている。
「目覚めたのかい?」
「……あれ? お母さん……やだ、私……」
まるで長い夢でも見ていたようだ。
当たり前の日常を前に、シグルンはつい王都に行っていたことが嘘のように感じられ、自分の頰を抓ってしまった。
(痛い。夢じゃない……)
「お前は帰ってきてから丸五日も眠ったままだったんだよ」
「ええ!?」
シグルンが驚いて飛び起きるのと同じくらいに、扉から人が入ってきた。
別れたはずのゲオルグとヨハンナだった。
ゲオルグは顔を綻ばせ、ヨハンナがやや後ろで頭を下げてくる。
「シグルン様、お目覚めになられましたか?」
「え! ゲオルグさんにヨハンナも!?」
「ええ、シグルン様が心配な余り、目が覚めるまではここに置いてくれとゾーイ様に頼んだら、炊事洗濯家事をする代わりに何とか置いてもらえましてね。……専らヨハンナが働いてくれてますが」
ゲオルグが乾いた笑い声を上げると、ゾーイが後ろから働けと杖で小突いてきた。
滑稽だが微笑ましい光景にシグルンはくすりと笑う。
「ご心配をおかけしてごめんなさい。私、何だか不思議な夢を延々と見ていたわ」
シグルンは夢にしては妙に、そして鮮明に夢の内容を覚えていた。
本当の母の美しさも、父の狂った愛も、ゾーイの優しさも、全て本物のように見えたのだ。
「夢じゃないよ」
するとゾーイはシグルンの疑問を否定するように言った。
「夢……じゃ、ない?」
「そうさ。あれはお前の母の遺した指輪の魔法さ。いつかお前が呪いに打ち勝つ日が来たときに、あのとき何があったのか、真実を教えるために」
「呪いに打ち勝つ……?」
「さすがの私にも呪いを破る特別な魔法は知らんさね。答えはすでにお前の中にあるんだから、呪いを解くのもお前自身なんだよ」
「こ、答え……?」
相変わらずゾーイとの会話は疑問ばかりが浮かんでしょうがない。
シグルンは首を捻りながらゲオルグとゾーイを見れば、二人とも同様に両手を上げて降参の仕草をしている。
ゾーイは呆れて大きく嘆息した。頭をぼりぼり掻くと、まどろっこしいねと乱暴にシグルンを手を引っ張った。
扉の外に強引に押し出され、いつか見たときと全く同じように、ゾーイは手を振って扉と鎧戸を閉めてしまった。
「……ちょ、お、お母さん!」
シグルンは上擦った声でゾーイを非難するが、扉は開かなかった。
そればかりか急に肩を叩かれて、心臓が縮み上がる。
「シグルン」
「きゃ! え……っ!」
シグルンは考えるよりも先に、声のする方向に身体を反転させられた。
声の主を知って驚愕する。
「ア、アレク!」
「また会えたね」
呼び声ははここにいるはずもないアレクの声だった。
太陽のように燦然と輝く金色の髪とサファイアの瞳が、憂いを帯びて揺らめいていた。
アレクは今にも泣き出しそうなほど悲しい顔をしているというのに、シグルンはそんな姿もまた美しいと思ってしまう。
シグルンは一瞬夢幻かと思って目を擦った。
しかし、何度目を擦ってもアレクの姿は消えない。
シグルンが今最も会いたい人物が、確かに目の前にいたのだ。
「お願い! 顔を見ないで!」
「どうして?」
シグルンはアレクが本物だと分かった途端、慌てて俯いて顔を隠した。今更遅いだろうが。目元に朱色が散る。
だが、アレクの両手がそれを阻み、くいとシグルンの顔を持ち上げた。
「……わ、私の顔、醜いでしょう?」
シグルンはいつの間にか涙が出ていた。
声は震えて今にも消えそうだ。
「シグルンはちっとも醜くなんかないよ」
決死の覚悟で言った言葉なのに、アレクはいとも簡単にそれを否定した。
涙で視界がぼやける中、ふいにアレクの金の睫毛が眼前に迫り、シグルンは硬直する。
「アッ! アレク! 何を……?」
アレクはシグルンの涙をキスで拭っていた。
アレクは金魚のように口をパクパクさせているシグルンに笑みを漏らす。
その姿はまるで天使のようだった。
「シグルン、名乗るのが遅くなったが、私の名前はソルヴィ・アレクサンデル・グヴズムンドゥルだ。アレクは愛称だから、このままアレクと呼んでくれて構わない」
「え!? ソルヴィ……グヴズムンドゥルって王太子殿下だったの!?」
「アレクだよ」
「いや、でも……」
「王太子であることを隠していたのは申し訳ない。だが、私は以前も今も、君の前ではただのアレクだ」
「……アレク……」
アレクーーソルヴィはシグルンの瞳を覗き込むように言った。
ソルヴィの濃い青色の瞳にシグルンが映る。
銀色に艶めく髪。黒曜石の双眸。すらりと伸びた鼻梁に形の良い唇。尖った耳の、本当の母親であるフレイヤそっくりの美貌のシグルンがなぜかそこにいた。
ソルヴィの瞳に映るシグルンは困惑の表情を浮かべている。
突然どこからどもなく無数の白い蝶が二人の間を舞い上がった。
ソルヴィは蝶に目もくれずに、ただ一点シグルンを見つめながら言う。
「シグルン、よく聞いて。君は醜くなんかない。君はとても美しいよ」
「……アレク」
「私は君を愛している。聖女としてではなく、シグルンという一人の女性として。どうか君も私と同じように、一人の男として私を見てほしいと願う」
シグルンは形の良い唇から紡がれる愛の言葉に心震えた。
止まっていた涙が再び零れた。
「シグルン、泣かないで」
「違うの……これは、嬉しくて」
シグルンの手は震えていた。
吐息すら感動で震える。
ソルヴィは震えるシグルンの手に大きな手を重ね合わせると、もう片方の手でシグルンの腰を引き寄せた。
優しげな仕草でソルヴィの胸に抱かれる。
不思議なことにシグルンの震えは止まり、頰が薔薇色に染まった。
「私も嬉しいよ、シグルン。君が聖女であることはずっと後に知ったことだけど、私の放った聖なる矢は初めから君を選んでいたんだね」
「あの矢はアレクの矢だったのね」
「そうだ、精霊が私の元に君を導いたのだ思う」
「じゃあ……私は……」
(……アレクに会うために王都に行ったのね)
シグルンはようやく全てを悟った。
全てはアレクに会うための試練だったのだと。
シグルンは自分の顔を何度も触って確かめる。
パサパサの白髪は櫛通り滑らかな銀髪だし、顔の大部分を占めていた大きなかぎ鼻も今はもうなかった。
尖った耳だけを残して。
「君はまるで精霊のようだ。本当に美しい……」
ソルヴィは優しげにシグルンの耳朶に触れ囁いた。
シグルンはこそばゆくなって身を捩らせるが、ソルヴィの厚い胸板からは逃れられそうにもない。
ソルヴィの胸にこてんと額を当て、恥ずかしさに顔を隠す。
「わ、私……私も、アレクは綺麗な人だと思うわ」
「男が綺麗などと褒められてもちっとも嬉しくはないよ」
「で! でも、本当のことよ」
ソルヴィはシグルンの頭の上でくすくす笑った。
そして、ゆっくりシグルンのおとがいを掬うように持ち上げる。
「シグルン、私は君を愛している。君は? 君は私をどう思っている?」
ソルヴィはとても綺麗ですね、格好良いですねなどという賛辞が聞きたいのではない。
鈍感なシグルンでもそれは分かった。
シグルンは顔を真っ赤に蒸気させ、恥ずかしさに悩ましげに顔を歪めた。
こんなときでもアレクは表情一つ崩さず、余裕そうに神々しい微笑みをたたえたまま、じっとシグルンを見つめている。
「……私もアレクを愛しています」
シグルンは絞り出すように言った。
心臓はもう壊れんばかりに激しく鳴っている。
こうして改めて愛を口すると、シグルンはもうソルヴィとは離れ難い気持ちになった。
「ずっとアレクと一緒にいたい」
「私もだよ、私の女神の秘密よ。もう絶対に離さない」
シグルンの目にソルヴィの美しく端正な顔が近付いた。
そっと触れるか触れないかの優しい口付けが落ちる。
視界の隅にいた白い蝶は、相変わらず二人の間を舞っていた。
まるで二人の愛を祝福するように。
この日を境にシグルンの呪いは解き放たれた。
あなたにおすすめの小説
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
