ストーカー体質は異世界でも治らない

希彩(kiiro)

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第2章

ストーカー、デートする。

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「レオン様!?」

「喋るな。舌を噛みたいのか?」

皆さん聞いてください。私は今、レオン様と同じ馬に乗っております。

別荘生活最終日に、私の作戦が幸をそうしたのか、なんとレオン様からお誘いがあったのである!まぁお誘いといっても何に誘われたのか全然分かってないんだけどね!

だって、「おいヴィオラ、出掛ける準備をしとけ。」って言われただけだもんね。どこに?とか、何故?とか、全然教えてくれないのはなんでだ!?

しかも!!馬車で行くと思ったのに、何故か馬1頭。二人きりなのは嬉しいんだが、説明を求めたい!!と思っても馬の速度が速くて話す余裕がない。

てか、ちっか!!!馬って走るとこんなにお尻痛いの!?

乗馬といっても、私は歩いたり、ゆっくり優雅に楽しむことしかしたことがない。それに比べてレオン様の鞭さばきの華麗さ。絵になるぅ!

前世では、怖いからバイクは絶対乗らないって言ってたくせに!

距離が近いとか、私を支える腕が逞しいとか、息遣いとか、声が出せないから黙ってるけど、正直たまらん。叫びたい。好き!!この速さはちょっと優しくないよ!?でも好き!!

たぶん他の人が見てたら私はすごい顔になってる気がする。おっと危ない、混乱と興奮でヨダレが出そうだ。

しばらく、そのまま馬にしがみついていると、人が沢山いる場所に着いた。

「ここはどこですの?」

やっと話せるぐらいのスピードになり、さっそく疑問をぶつける。

「この辺りで1番の市場だ。…涎が出てるぞ、汚い。」

涎!勝手に出てきちゃだめでしょ!

よく見渡すとたくさんの屋台のような出店が並んでいる。実はずっと来てみたかった。

私は生まれながら貴族で、しかも令嬢なので、こうゆう場所に来れる機会なんてほとんどないのだ。初めての場所で、ワクワクする!

果物屋に八百屋、骨董品店もあれば、手づくりのB級グルメ。前世でいうと海外の商店街って感じだ。

「お嬢さん!これなんて、美味しいよー!買っていくかい?」

たこ焼きっぽいものを売っていたオジサンに声をかけられる。美味しそうな匂いとジュージューと焼ける音に喉が鳴る。

食べたい。熱いうちにハフハフしながら食べたい!!
しかし!私には手持ちのお金が無い。残念だ。さらばたこ焼きっぽいもの。

「1つ、頂こう」

諦めてその場を離れようとしたときにレオン様がそう言った。え!レオン様もこうゆうの食べたりするの?なんか意外だ。

「レオン様、これ、お好きなんですか?」

「食べた事などないぞ。」

「でしたら、なぜ注文を?」

「お前があまりにも悔しそうな顔だったから食べてみようと思ったんだ。」

私、そんなに食い意地の張った顔してたのか!?恥ずかしい!

てか、レオン様、さっきのは素で私が悔しそうで嬉しそうだったな!このやろう!そうゆうとこも好きだぞ!

レオン様はそのたこ焼きっぽいもの(ラコプというらしい)を受け取ると、広場のベンチに座った。許可はもらってないけど、勿論私はその横に座る。

「ほら、食え。」

レオン様は爪楊枝らしき木の棒でラコプを私の口へと運ぶ。

え!え?!え!!?これってア~ン♡♡ってやつ!!?だよね!?デートなのか?やっぱりこれはデートなんだな!?いいの!?食べちゃうよ?あぁぁ、いただきまーす!!

口を大きく開けてラコプを迎え入れる。コロンと私の口の中に入って来たラコプは焼きたてホヤホヤで。

「っっっ!!あふっ!はふっ!」

あっっっつい!!!噛んだ瞬間に口に広がる圧倒的な熱さ。涙目になりながら、必死に呼吸で口に空気を入れる。傍から見ると餌を待つ鯉みたいな感じだ。

「美味いか?」

それを見ながら、この人笑ってるんですけど!?わざとやったのか!?私を毒味で使ったとか?!なんて…凌みたいなことをしやがる!笑顔がいいから許すがな!

「とても美味しいですわ!!」

だんだん熱さが引いて、やっとラコプの味がする。間違いなくたこ焼きだ。めちゃくちゃ美味しいよ!!この素朴な美味さ!故郷の味ってやつだな!口の中に日本を感じて、幸せを感じる。私、B級グルメ好きなんだよな。

「お、確かに美味いな。」

私の感想を聞いて、ラコプを食べたレオン様はそう言った。
そうだろう、たこ焼きだからな。元日本人には嬉しいよね!

「…俺はよくこんな風に市場の様子を見に来るんだ。」

だから、支払いとかに慣れていたんだな。貴方が立派で、私も嬉しいよ。

「今日は連れて来てくれてありがとうございますわ!楽しくて楽しくて!」

私が今日見た、不思議な店とか面白い人とかの話をレオン様に聞かせる。彼は暫く黙って聞いていた(つまり、ほぼ無視)が突然私の顔を見て笑い始めた。

「ふ、こんな場所で喜ぶのはお前ぐらいだろうな。何を買わされるのかと思えば、食い物だしな。ふふっ、変な奴だ。」

「私はレオン様と出掛けられるなら何処でも楽しいのですわ!」

笑われ続けるのも恥ずかしくて、ちょっと怒ってるように言えば、笑うのは辞めてくれた。

「これ、着けてみろ。」

そう言って、彼が取り出したのは、安物には見えない指輪で。この世界にそんな儀式がないのは知っているのに、舞い上がる。泣きそうになる。彼に貰うのは2回目だけど初めてで。貰った指輪は私だけに分かる所定の位置に着けさせてもらった。

「…婚約者に贈り物をするのは、当たり前だからな。」

「命の次に大事にしますわ!」

「勝手にしろ」

もう、この指輪は無くさない。突き放すような言葉を話す彼の顔がほんのりと赤くて、愛おしい。こんなにも心を開いてくれるようになるなんて、本当に嬉しくてたまらない。

いつか、私からも同じような指輪をプレゼントする。そして、2人で絶対に幸せになるんだ。がんばるぞーー!!
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