感情喪失少女

紗霧 鈴

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夢李の逃走作戦

夢李が病院から抜け出した!?

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「はぁ……よし!」
僕は深呼吸をして気合を入れる。
コンコン……
ドアをノックする。
今日も僕は夢李の病室に来ていた。
「ん??」
反応が無いことを変に思い僕が勢いよく開けると予想外の光景。
「……!?……夢李??……何処だっ!?……まさか!」
勢いよく毛布をめくった。
「……あいつ!!」
そこにあったのは夢李が着ていた患者用の白衣。
つまりこれは……逃げたっ!?
そんな時
トントン。
「菓子餅さーん?朝食ですよぉ?」
「ふ、ふぇ??」
「……??菓子餅さーん?……まさか…ね?」
ドアの前で何かを悟ったように叫ぶ。
「誰かいるのー!?菓子餅さんは何処?!」
「わ、わぁ!?あ、あの!いつも夢李のおみまいにきているものなんですがっ!」
「え?あぁ、悠崎さんだったかしら?」
そう言うと彼女は安心したように入ってくる。
「え、あぁ、はい。えと……夢李なんですが…」
「……逃走……ね……」
「えっ?何をっ……」
僕が彼女を見つめていると彼女は僕ににこりと笑いかけた。
「……彼女を確保するわ。もう3度目よ?
彼女は常に監視下に置いておく必要があるわ。」
その言葉に僕の頭はフリーズした。
「え……っと…?夢李を??常に…??監視下…?えっ、それって……」
「もう彼女は普通の生活には戻れないでしょうね?監禁みたいなものかもしれないけど、これが患者守るためよ。」
「なんでっ……そんなっ……そこまでしなくともっ……!」
「もう……夢李ちゃんは手に付けられないのよ。」
「そんなの……大人の勝手な都合じゃないですか!それを子供に押し付けないで下さい!大体!看護師さんがしっかりしてないのも問題でしょう??それで夢李を常に監視下に置いておくなんて勝手!自分勝手にも程があるってもんですよ!」
「悠崎くん……彼女の事は……諦めて。」
その言葉を僕は笑って返した。
「貴方の意見は分かりました。」
「じゃあ!悠崎くんは夢李ちゃんの確保を手伝って……」
「嫌ですよ?あなたの意見は分かりましたが、僕は自分の意見を突き通しますから。
僕は夢李の逃走の手助けをします。」
「はっ!?そんなの?!ダメに決まってるでしょ!?」
「じゃあ、一つだけ条件があります。」
「条件??」
「……夢李を捕まえたとして彼女を自由にしてあげてくれませんか?その方が記憶が戻るのも早いと思います。」
「だめよ!?彼女は私達の大事な実験動…か、患者さんなんだから!」
僕は聞き逃さなかった。
彼女が一瞬夢李の事を“大事な実験動物”と言いかけた事を……
「夢李は実験動物なんですか??
人間なのに実験動物扱いされるんですか?
そんなの許さないです。人間として許さない。
僕が先に夢李を見つけます。そして僕が連れて帰ります。貴方達に彼女を渡す必要はありません。」
理由は聞きたくなかった。
怖かったし何より、知りたくなかったのだ。
彼女に何かのミスで伝わってしまったらまた彼女の心の傷を増やしてしまうから。
だから僕は病院から逃げ出して。
菓子餅夢李を探し始めた……
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