2030年未来の旅

しんたろう

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1章新世界より

西オーストラリアの州塔

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飛行船に乗ってパースに着いた二人。
そこからインディアンパシフィツク号の鉄道に乗って、
西オーストラリアを横断する。
鉄道で窓をずっと眺めている詩織。
祐介は鉄道の他の客とポーカーをして楽しんでいた。
客のポーカーをしている客がポーカーでたまたま祐介に勝った後、

「貴方はなぜオーストラリアに?」

祐介は詩織を指さして、

「この娘とオーストラリア旅行を考えまして、来たのです」
「どこから?」
「北アメリカ、太平洋を渡ってきました」

少し客は驚いて、

「へえ~アメリカから。いつぐらいにここに着いたのですか」
「旅行ですよ。太平洋を貨物船で渡ってきました」

客は驚いて、

「へえ」

とだけ答えた。

「この時期の太平洋は空賊が多いから、この時期、空の便がないんです」
「ハワイ周辺やオーストラリア周辺は比較的いないでしょう」
「本当ですよ」
「私も夏にかけては北アメリカはよくいくがなぁ。航空会社の便でないと、
いろいろと厄介な奴もいるから」

「夏の航空会社の飛行機なら空賊の心配もないですな」

ポーカーをしている祐介達の椅子の反対側にいた老人が話しかけた。

「そうですね。ですが今は治安が悪くて、海の便で来ましたよ」
「へえ。二人で?」
「ええ」

老人はそう言う。
老人は歳のわりには体格の大きい老人で話好きのようだ。

「オーストラリアは治安はいいですね」
「食べる事に困りませんからね」

祐介は老人の立派な体つきを見て、

「凄い体を歳のわりにしておられますね」

老人は笑って、

「趣味でボディビルなんてはじめちゃってね」
「へえ」

老人はそう言って、自分の自慢の力こぶを見せて、

「触ってみるかい?」

祐介は力こぶを少し触って、

「凄いトレーニングをしているんですね」

そう言うと老人は、

「ちょっと前は猫背のガリガリで数年前に筋肉萎縮の病気にかかりましてね。
寝たきりだったんですよ」

少し祐介は戸惑うと、

「へえ。それでこんなに凄いんですか?」

老人は嬉しそうに、

「人工筋肉ですよ。細胞の大きさのナノマシンを使いましてな。ナノマシンはプライバシー問題のため、ナノマシンで全身に脂肪をつけた。医療用以外の使用は禁止されていまして除去も機械でできますが、筋繊維をナノマシンで人工的に傷つけ、メッセージ物質や筋サテライト細胞を人工的に刺激しましてな。マッスルメモリーも使ってです。それでIPSで猫背の去勢手術もしました。足は少し機械に変えましたが。万能細胞にして筋細胞の核数を増やして人工的に太い筋繊維に細胞を細胞分裂させて新しい筋肉を作り出す方法で40歳以降や病気の人は認められていましてこうなれましてな。ナノマシンで短期間で筋肉を伸ばして機械で除去しました。身長も伸ばすため多少IPSで骨を作ってナノマシンで伸ばしたり、移植して伸ばしたんだ」

そのうち列車は祐介が降りる駅まで近ずいている。
車掌が来た。

祐介は地図を広げて、

「オーストラリアの州庁は次の駅ですか?」

車掌より早く、老人が、

「そうですよ」
「もうすぐです」

車掌は言った。

詩織は窓から身を乗り出して、風をあびている。

「ほうら、見えてきた。オーストラリアの州庁だ」

老人は言った。

祐介が窓を見ていると、
そのうちネバ―エンディングストーリーの象牙の塔のような白い高い塔が見えてきた。
日の光を受け、宝石のように輝いている。


「あれがそうですよ。庁は中側と外側がありましてな、輝くのは外側が水晶で作られた塔だからですよ」

「すごい美しい・・・」
「あの庁は歴史ある、オーストラリアの庁ですからな」

老人はそう言った。
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