2030年未来の旅

しんたろう

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2章 暗黒時代・冬編

解剖

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政人は山下と都市部を避け暗い道を歩いていた。

「付けられているよ」

山下は小声で呟いた。政人もそれに気ずき、
通りを曲がった所で建物の影に隠れた。

「秘密警察の連中だな」

山下は言った。
何処の連中かは政人でも察しがつく。
付けていた連中は政人を見失い何処かに消えていった。
政人はそいつらを暗闇から確認しようとした。
2人から3人の連中だった。

次の日、政人と山下は死体室に入り、
死体の番号を死体室のおじいさんに伝える。
職員の座っている所が壁になっていて、
職員の顔はよく見れないようになっている。

「はい」

職員は政人から番号を聞くと、二人をそこに案内した。
死体は冷凍保存にされている。

「解剖はすみましたか?」
「ええ」

死体室のおじいさんは言う、

「意識的には超意識で生きている状態です」
「とゆうと」
「実際の所、脳しか生きていない状態です」

政人は山下に言う、

「彼女は超意識になれたのに、
誰かが彼女の意識をシステムに組み込んだわけです。
彼女はシステムの中で生き続けている。
わかりやすく言うと、つまり彼女は自分の意識ではなく、
システムの意識の中に組み込まれて出れない状態にるわけですね」
政人は言う。

すると死体は発作に見舞われた。

「死んでいるんじゃないのか」
「よく発作はおきます、心臓は動いていますよ。
彼女は死んだ事になっていますが、システムの発作です」

落ち着いてくると山下は、
「誰かが彼女を意識をプログラムに移植したのを外さなければいけない。
システムは暴走していて大変危険な状態にあるし、
システムの世界は現実よりもはるかに恐ろしい。
潜在意識の中の彼女も危険だ。我々の力で何とかしないと」
「誰がこんな事を」
「この事に関わった人間は全員調べた、ただ時代が悪かった」
「さすがに時代が悪いと司法の我々も介入できない情報にされる恐れがあるが、
常軌をいっしている」

「ここまで高度化されると公開捜査に踏み切るべきだと思うが・・・」
「超意識まで解読されているのか・・・。
彼女の仮想現実の暴走はやがて彼女の現実と仮想現実との境目がつかなくなるぞ・・・」
「仮想現実の消し方がヤマクラに独占されて止め方がわからない」
「最初からデータを保存する必要がありますね」
「ここまで差があるのは、相当の人間との差だろうな?もし普通の人間となら、差は普通じゃない。」

それから映写室で山下と政人は彼女がまだ人間で健在である記録を映写室で投影していた。
そこには山下との思いでの映像もあり、
山下はそれを見て少し泣いた。
山下と海水浴に来ていた映像で、
まだ彼女が幼かった頃の父と遊んでいる映像もあった。
政人は彼女の記憶の1部をペンでノートに書いていった。

「これが彼女の今残っている記憶はこれだけ?」
「残っているのはこれだけだよ」

山下は言った。
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