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演習 《相談》
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食べ終えてしばらくした後、おもむろにルーイが口を開いた。
「その…僕のフランは従魔なんだけど…。従魔が居る人って珍しいでしょ?…魔獣を従えることができる能力が珍しいのには理由があるんだ」
ルーイ以外には実際に会ったことも無いし、周囲にそんな能力を持った者が居るという話も聞いたことがないくらいに珍しい。
「この能力は制御できれば魔獣を従えることが出来るんだけど…大抵は制御出来る前に死んじゃうんだ。…周りの人も巻き込んで。…だから…珍しいんだ」
俯いて暗い顔で語る。
この能力を持つ人は、魔獣が好むフェロモンみたいなものが体から放出されており、制御出来ていないとそれが垂れ流し状態となる。赤子や幼子は当然制御できるはずもなく。魔獣を引き寄せる危険な忌み子として捨てられるか、両親や周囲の人も巻き込み惨事となるか、どちらにしても悲惨な末路を辿ることが多い。
ルーイの場合、襲ってきた魔獣から両親に庇われた。そしてルーイ自身にも魔手が届く寸前に、後に養い親となってくれた騎士にたまたま助けられたのだ。
死の間際の親に赤子を託された騎士は、ルーイを守り育てる為に騎士を辞めて冒険者となる。
そのような経緯を経てルーイは能力を制御できるようになるまで養い親に守られ鍛えられたそうだ。
「僕のフランは力を制御できた証で養父が騎士であることを捨ててまで育ててくれた証で、両親が命をかけて守ってくれた証でもあるんだ」
従魔のフランに対する思い入れが並大抵ではない様子だったのはこういう経験があってのことだったのか。
なんと声をかけたら良いか分からずただ静かに聞いていた。
「それでその…本題なんだけど…」
聞き入って忘れてしまっていたが、ルーイが人に心を開かせる何かのことを聞いていたのだったな…
「漏れ出していたフェロモンの魔獣に対する効果は完全に制御できてはいるんだ。…けど、フェロモン自体はまだ少し漏れてて…。それが人間に効果を及ぼしてるみたいで…」
チラリと俺に視線を向ける。
「その…魅了とか誘惑効果みたいなのがあるみたいで…」
ええっ?!魅了?!
想像していたのとは違っていて驚いてマジマジとルーイの目を見てしまう。
「人によって受ける強さも影響も違ってて、大抵の人には『ちょっと好感が持てるな』くらいみたいだし強く効いても告白されて断ったら諦めてもらえる程度で…」
二人の目線がしっかりと合う。
「この能力の影響に気づいたのはヴィルが初めてだよ。それになんだか効きかたも違うようだし…」
「効き方が違うってどう違うんだ?」
ルーイの説明によると、いつも通りに強く効いていた場合は、こうして目が合ったりしたら、相手は焦点が合わないような瞳になり顔を赤らめ見惚れるような表情になるらしい。
恋する者の眼差しというやつだな。
「ヴィルはその…僕にときめいたりは…してないよね?」
「していないな」
頷いて即答する。
ルーイに対して多大なる好感を抱いてはいるが、恋をしているという感覚は全くない。ジストナーに対しての想いとは全く違う。
「だよね、全然反応が違うもん」
ルーイは少しホッとしたように表情を緩める。
「でも…何らかの影響は出てるんだよね?騙されたって怒ったりする?『フェロモンで操った』とか…」
申し訳なさそうに首をすくめながら、こちらを伺うように見ている。
能力の影響は確かにあって、俺の硬い口の蓋を緩めまくってはいる。けれどルーイに対する好感の全てがそれによるものではない。影響をしっかりと感じ取っているのでそこの線引きは出来た。
能力の影響がない部分で、ルーイの人柄自体に好感を持っているとはっきりと言える。
「怒っていない。むしろ有難いと思っている」
話したくても話せなかった俺にとっては有難い能力と言えるだろう。この能力の影響があってやっと人並みに話せているという有様なのだ。俺の望みを補助する形になっているだけで害など感じない。
「話せることも嬉しいし、騙されたとは思っていない。…その…友と思ってもかまわないだろうか?」
俺の反応が余程意外だったのか、目を丸くして固まっている。
「能力の影響とは関係なくルーイの人柄を好ましく思っている」
ルーイの大きく見開いたまま固まっていた目に喜びの色が浮かぶ。
「うん!うん!友達!嬉しい!僕もヴィル大好き!」
俺も嬉しい。
これでボッチ生活も卒業かと思うと非常に感慨深い。
「えへへっ、ヴィルも何かあったら何でも相談してね、僕も力になりたいから」
友達だもんねっ、とニコニコ顔のルーイを見つめる。
もしかしてこれ、例の悩みを、相談してもいい流れなのか?
いやいや、ルーイの悩みとは次元が違い過ぎる。何より品がない。せっかく出来たばかりの友人を失う訳にはいかない。
「有難う」
今は見送り、また機を見て相談出来たらいいかと、礼だけ言って終わらせようとしたが、その様子を見たルーイが首を傾げた。
「今何か話そうか迷わなかった?」
うっ、鋭い!
「話しただけで気が楽になることもあるよ!何でも聞くから話してみてっ」
気遣うように顔を覗き込んでくる。
き…気まずい…
「いや…くだらないことだから…」
体を引きながら言い淀む俺にグイグイと迫ってくる。
「ちょっとした事でも何でも大丈夫!」
力付けようとでもしてくれているのか、俺の左手の甲はルーイの両手に包まれ、ギュッと握られた。
ぜ…善意が眩しい!断り難い!
「その…本当にくだらないし、おかしなことなんだが…笑わないか?」
真正面からぶつけられる好意と善意に圧倒されながら確認する。
「笑わないよ。どうしたの?」
これは腹を括るしかなさそうだ。
しかし、どう言えばいいのか…
気遣うような眼差しを向けられて、考えがまとまらないまま、軽くなっている口の蓋を開いてしまった。
「その…ルーイの股間が見てみたい」
……………。
……………。
……………。
あっ!
「その…僕のフランは従魔なんだけど…。従魔が居る人って珍しいでしょ?…魔獣を従えることができる能力が珍しいのには理由があるんだ」
ルーイ以外には実際に会ったことも無いし、周囲にそんな能力を持った者が居るという話も聞いたことがないくらいに珍しい。
「この能力は制御できれば魔獣を従えることが出来るんだけど…大抵は制御出来る前に死んじゃうんだ。…周りの人も巻き込んで。…だから…珍しいんだ」
俯いて暗い顔で語る。
この能力を持つ人は、魔獣が好むフェロモンみたいなものが体から放出されており、制御出来ていないとそれが垂れ流し状態となる。赤子や幼子は当然制御できるはずもなく。魔獣を引き寄せる危険な忌み子として捨てられるか、両親や周囲の人も巻き込み惨事となるか、どちらにしても悲惨な末路を辿ることが多い。
ルーイの場合、襲ってきた魔獣から両親に庇われた。そしてルーイ自身にも魔手が届く寸前に、後に養い親となってくれた騎士にたまたま助けられたのだ。
死の間際の親に赤子を託された騎士は、ルーイを守り育てる為に騎士を辞めて冒険者となる。
そのような経緯を経てルーイは能力を制御できるようになるまで養い親に守られ鍛えられたそうだ。
「僕のフランは力を制御できた証で養父が騎士であることを捨ててまで育ててくれた証で、両親が命をかけて守ってくれた証でもあるんだ」
従魔のフランに対する思い入れが並大抵ではない様子だったのはこういう経験があってのことだったのか。
なんと声をかけたら良いか分からずただ静かに聞いていた。
「それでその…本題なんだけど…」
聞き入って忘れてしまっていたが、ルーイが人に心を開かせる何かのことを聞いていたのだったな…
「漏れ出していたフェロモンの魔獣に対する効果は完全に制御できてはいるんだ。…けど、フェロモン自体はまだ少し漏れてて…。それが人間に効果を及ぼしてるみたいで…」
チラリと俺に視線を向ける。
「その…魅了とか誘惑効果みたいなのがあるみたいで…」
ええっ?!魅了?!
想像していたのとは違っていて驚いてマジマジとルーイの目を見てしまう。
「人によって受ける強さも影響も違ってて、大抵の人には『ちょっと好感が持てるな』くらいみたいだし強く効いても告白されて断ったら諦めてもらえる程度で…」
二人の目線がしっかりと合う。
「この能力の影響に気づいたのはヴィルが初めてだよ。それになんだか効きかたも違うようだし…」
「効き方が違うってどう違うんだ?」
ルーイの説明によると、いつも通りに強く効いていた場合は、こうして目が合ったりしたら、相手は焦点が合わないような瞳になり顔を赤らめ見惚れるような表情になるらしい。
恋する者の眼差しというやつだな。
「ヴィルはその…僕にときめいたりは…してないよね?」
「していないな」
頷いて即答する。
ルーイに対して多大なる好感を抱いてはいるが、恋をしているという感覚は全くない。ジストナーに対しての想いとは全く違う。
「だよね、全然反応が違うもん」
ルーイは少しホッとしたように表情を緩める。
「でも…何らかの影響は出てるんだよね?騙されたって怒ったりする?『フェロモンで操った』とか…」
申し訳なさそうに首をすくめながら、こちらを伺うように見ている。
能力の影響は確かにあって、俺の硬い口の蓋を緩めまくってはいる。けれどルーイに対する好感の全てがそれによるものではない。影響をしっかりと感じ取っているのでそこの線引きは出来た。
能力の影響がない部分で、ルーイの人柄自体に好感を持っているとはっきりと言える。
「怒っていない。むしろ有難いと思っている」
話したくても話せなかった俺にとっては有難い能力と言えるだろう。この能力の影響があってやっと人並みに話せているという有様なのだ。俺の望みを補助する形になっているだけで害など感じない。
「話せることも嬉しいし、騙されたとは思っていない。…その…友と思ってもかまわないだろうか?」
俺の反応が余程意外だったのか、目を丸くして固まっている。
「能力の影響とは関係なくルーイの人柄を好ましく思っている」
ルーイの大きく見開いたまま固まっていた目に喜びの色が浮かぶ。
「うん!うん!友達!嬉しい!僕もヴィル大好き!」
俺も嬉しい。
これでボッチ生活も卒業かと思うと非常に感慨深い。
「えへへっ、ヴィルも何かあったら何でも相談してね、僕も力になりたいから」
友達だもんねっ、とニコニコ顔のルーイを見つめる。
もしかしてこれ、例の悩みを、相談してもいい流れなのか?
いやいや、ルーイの悩みとは次元が違い過ぎる。何より品がない。せっかく出来たばかりの友人を失う訳にはいかない。
「有難う」
今は見送り、また機を見て相談出来たらいいかと、礼だけ言って終わらせようとしたが、その様子を見たルーイが首を傾げた。
「今何か話そうか迷わなかった?」
うっ、鋭い!
「話しただけで気が楽になることもあるよ!何でも聞くから話してみてっ」
気遣うように顔を覗き込んでくる。
き…気まずい…
「いや…くだらないことだから…」
体を引きながら言い淀む俺にグイグイと迫ってくる。
「ちょっとした事でも何でも大丈夫!」
力付けようとでもしてくれているのか、俺の左手の甲はルーイの両手に包まれ、ギュッと握られた。
ぜ…善意が眩しい!断り難い!
「その…本当にくだらないし、おかしなことなんだが…笑わないか?」
真正面からぶつけられる好意と善意に圧倒されながら確認する。
「笑わないよ。どうしたの?」
これは腹を括るしかなさそうだ。
しかし、どう言えばいいのか…
気遣うような眼差しを向けられて、考えがまとまらないまま、軽くなっている口の蓋を開いてしまった。
「その…ルーイの股間が見てみたい」
……………。
……………。
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