異世界聖女召喚(仮)

如月 桜

文字の大きさ
19 / 31

18.ドワーフの国に行ってみました。

しおりを挟む
 あっという間にドワーフの国までついた。
 大きな城壁が見えると、セイは一度足を止め、人の姿へと変わった。
 今日も女性と見間違うほどにきれいな姿のセイは、意気揚々と行くわよん、というと、城門の前に並んでいる列を無視して、門兵のところまで向かった。
【ねぇ、少し急いでるの。通してくれないかしら?】
 ふふっと笑みをこぼしながら、セイはノアと同じように冒険者カードを取り出し門兵に見せた。
 さすがに順番ぬかすのはよくないよ、と言おうとしたら、門兵はセイの見せた冒険者カードを二度見し、さらに隣にいた同じく門兵の肩をバシバシと叩き、二人そろってカードを確認し始めた。
【あとね、この子、私の連れなの。一緒に通ってもいいわよね】
 にっこりと笑顔で言うセイ。
「「どうぞ、お通りくださいっ!!」」
 すんなり通してくれました。
 あれ・・・・・・?まえ、人間のいるところではお金払ってたんだけど(ノアが)
 ていうか、ちょっと、セイ、そのカード、色がノアに見せてもらったものと違うんですけど!?縁取りもなければ、色も違うって、それってもしかして・・・・・・。
【あぁ、プラチナよ】
 遠巻きにセイと物珍しいエルフの自分を見ながらひそひそと話している住民をまるっと無視し、さらっとセイは言ってくれた。
【ノアはめんどくさいっていうけど、結構使い勝手いいのよねぇ。どこの国に入るにも入国審査とかめんどくさいのすっ飛ばせるし。プラチナの同伴者っていうだけで、無条件で連れて入れるし。なにより、エルフのモモを連れていても、変なのが寄ってこないでしょ?】
 パチンとウィンクをしながら言うセイ。
 確かに、声をかけられるってことはないけど・・・・・・すっごく、珍獣みたいな扱いはされてると思うんです。
 まぁ、用事が終わったらさっさと帰るからいいけどさ・・・・・・。
 ひとまず冒険者ギルドまでいって、カードを製作。
 もちろんここでも同伴者のセイのおかげで、さくっとカードが作れた。
 あっさりと手にすることのできたカードをアイテムボックスへと放り込むと、セイに連れられて服屋へ直行した。
【旅をする必要がないんだから、かわいい服を買うべきよ!】
 と、力説するセイの後をしをするように、店員のドワーフもこれなんていかがですかぁ、と次々とすすめてくる。
 すすめられた服を、かたっぱしからセイが仕分けしていって、なおかつ、あれとこれと、と追加でお願いし始める。
 ついでに下着もいるわね、といえば、奥の部屋へどうぞー、と連れていかれて、さらりと服を脱がされ、採寸、既製品の下着を持ってきてつけさせられ、サイズがオッケーだとセイに伝えれば、同じサイズで、と大量に購入。
 服を脱がされたついでに、と購入したばかりのひざ丈のワンピースに着替えさせられました。
 ブーツも旅用ではなく、普段使い用のちょっとおしゃれなものに変更。
 畑仕事とかするから、せめてエプロンとドロワーズはほしいというと、これまたかわいらしいエプロンとドロワーズが出てきて、さっそくお着換えさせられた。
 髪飾りも必要ね、というと、つぎつぎと店員さんが奥の部屋から持ってくる。
 一週間毎日着替えても十分すぎるぐらいのものを購入し、セイに言われて自分のアイテムボックスへと放り込む。
 お金、と言いかければ、かわいい子がおしゃれをするのは義務よっ!とこれまた力説された。
 服を買い終えることには、とっくに昼食の時間を過ぎていたので、セイとともに市場へと向かう。
 おしゃれなカフェもあったけど、それはスルーして、市場を見て回る。
 食材アイテムを売っている店もあれば、出来合いのものを売っているお店もあったり、その両方を売っているお店もあった。
 あれやこれやと目移りしながらも、昼食を済ませ、同時に、食材アイテムの仕入れもする。
「いろんな種類があるのね」
 見たこともない食材アイテムを見ながら言うと、セイは、そうねぇーと、つぶやくように言い、
【ここはドワーフの国の中でも最大規模の市があるから、たいていのものはここで手に入るわねぇ。とはいっても、魔族領にしかないものもあるし、竜族の里でしか手に入らないものとかもあるからねぇ】
「そうなんだぁ・・・・・・行ってみたいなぁ」
【んー、竜族の里には連れて行って上げれるけど、魔族領はもう少しモモのレベルが上がってからのほうがいいわね。さすがに、あたしでも、今のモモを連れて守ってあげられる自信がないわぁ】
「そんなに魔族領って物騒なところなの?」
 セイでも無理なぐらいすごいのか、という風に聞けば、そうじゃないわよ、と笑った。
【魔族領の魔物なんて、大したことないわよ。大変なのは魔族のほうよ。言ったでしょ、血眼になってさがしてるって】
「あぁ、そっちのほうか・・・・・・」
【それで、後必要なものは?】
「ん・・・・・・本当は小麦とかもほしかったんだけどなぁ」
【小麦って?】
「パンを作る材料のことだよ。セイがとってきてくれる植物の中にもなかったから。本当はお米がほしいところなんだけど、あれは特殊だからなぁ・・・・・・」
 ここまで来たら手に入ると思ったんだけどなぁ、と残念そうに言うと、セイはわずかに悩んでから、
【パンの材料がほしかったのなら言ってくれればよかったのに】
「へ?」
【“お家”の近くに、たくさん生えてるわよ】
「うそっ!?」
【あぁ、そっか。向こうに行ってから、あなた、一歩も家の敷地から出ていなかったんだっけ。明日にでもノワールと一緒に周りを散策してみるといいわよ。ありふれすぎて、持って帰っていない植物、たくさんあるから】
「ノアと一緒なの?」
【今日一日あたしと一緒にいたんだから、明日はノワールと一緒にいてあげなさい。じゃないと、あいつ、拗ねるわよ】
「――――――――――わかったよ」
【じゃ、そういうことで、もう、必要なものはないわね?】
「うん」
【それじゃぁ急いで帰りましょ。ノワールが首を長くして待っているわ】
「あ、っと。セイ、帰る前にさぁ、カフェによってお土産買って帰ろ?さっきね、甘いものが売ってあるの見えたの」
【ふふ、了解っ。きっと、アイツもよろこぶわよ】
 くしゃりと頭を撫でてくれたセイに、くすぐったそうに笑う。
 カフェでお土産にケーキを買って、私とセイは来た時と同じように城壁にある門をくぐり、門兵に泣きながら呼び止められているセイを横目に、森へと入り精霊界を通って我が家へと帰ったのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

聖女の、その後

六つ花えいこ
ファンタジー
私は五年前、この世界に“召喚”された。

踏み台(王女)にも事情はある

mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。 聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。 王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

召喚聖女に嫌われた召喚娘

ざっく
恋愛
闇に引きずり込まれてやってきた異世界。しかし、一緒に来た見覚えのない女の子が聖女だと言われ、亜優は放置される。それに文句を言えば、聖女に悲しげにされて、その場の全員に嫌われてしまう。 どうにか、仕事を探し出したものの、聖女に嫌われた娘として、亜優は魔物が闊歩するという森に捨てられてしまった。そこで出会った人に助けられて、亜優は安全な場所に帰る。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる

みおな
恋愛
聖女。 女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。 本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。 愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。 記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。

処理中です...