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30.魔族領の敗者
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【とってもきれいな女の子だったわよ】
と、そんな一言を添えてくれセイに、もちろん見に行ったのかと聞けば、当然でしょ、と言わんばかりの声音で言ってくれた。
「あ、でもさぁ、魔族領って、実質的には奴隷っていないってこと?」
カリカリと、セイが出してくれたメモに書き連ねながら聞けば、セイはあっさりとした口調で【そうよ】と教えてくれた。
「ドワーフの国も奴隷っていうよりは、借金のかたに身売りをしちゃいましたって人たちだもんねぇ・・・・・・ごく微量だとしても、賃金も発生しているし、さらに衣食住も保証されてるなら、自分で自分を買いなおすこともできるってことだよね」
【そうねぇ。技術を身に着けつつ、わずかばかりの賃金をためて自分を買いなおすドワーフも少なからずいるわね。でも、自分を買いなおしても、そのドワーフは主だった人の家から出て行かないわよ】
「いかないの?」
【だって、ずぅっとそこで働いてきているのよ?今更ほかのところに行けって言われたって困るじゃない。第一、主だったほうも、長年仕事をしてくれていた相手がいなくなったら困るでしょ?だから、賃金を一般水準に戻して、再雇用って形にするのよ】
「あぁ、なるほどねぇ」
【どんなに賃金がいい場所だとしても、最低でも30年は低賃金よ。それだけ長く一緒にいたら、お互いに情がわくでしょ】
「たしかに・・・・・・」
【そういうことよ。あと、奴隷って言ったら・・・・・・】
竜人族は奴隷になるような種族ではないし、奴隷に対して、何か思うところがあるという種族でもないらしい。どこまでも、一匹狼を地で行く種族らしく、10年に一度ある竜人族の集会でさえ、集まるのは半数にも満たないらしい。一応、それぞれの種族について見回りも仕事内容に入っているらしい神獣のノアとセイも、たまに集会にお邪魔するらしいが、未だに顔を合わせたことのない竜人族が多々いるそうだ。
いいのかそれで・・・・・・。
天族は、絶滅しているのだろう、という周りの見解をよそに、セイはさらっと、生きてるわよ、っと教えてくれた。
一応内緒ね、と言いつつ、ノアとセイと3人で寝る前のひと時の時に教えてくれた。
何でも、種族間の闘争が激しくなった時に、真っ先に戦闘能力のない天族は魔族領に逃げ込んだらしい。
その当時の魔族領の長である魔王が、種族間の闘争に興味がなかったということもあり、あっさりと天族を保護してくれたそうだ。
なので、魔族領のどこかで、ひっそりと天族は彼らに保護されて生活をしているそうだ。
なんで、どこかなの、って聞いたら、いくら神獣でも、魔王が教えないといわれたことは聞き出せないそうだ。
ていうか、代々の魔王は、彼らを保護するという重大な任務もあるがために、実力主義がさらに拍車がかかったともいわれているらしい。
そんだけいい種族なら、なんで聖女を血眼になって探してるのって聞いたら、なんと、保護するために血眼になって探していると教えてくれた。
よくまみれの人族に捕まったら、聖女がけがされる!ということで、そりゃぁもう、他の種族が真っ青になるぐらいの勢いで探し回っているらしい。
「ちょっとまって、それなら、一度挨拶に行って、無事です、ってこと伝えたほうが早くない?」
【あいつら、言葉が通じないわよ】
「なんですと!?」
【興奮している奴らには、何を言うても通じぬ】
と、ありがたくもないセイとノアの忠告をいただいた。
とはいってもなぁ、一度、天族にも、あってみたいのもあるしなぁ・・・・・・。
って、そうじゃなくって・・・・・・。
それぞれの種族たちの奴隷に対する認識はひとまず理解できた。
やっぱり問題なのは、人族かぁ・・・・・・。
なぁんで、人間ってバカなことばっかり考えるのかしら。
もう少し、平和的に行こうよ・・・・・・。
「んぅー」
手にしていた羽ペンをぽいっと机の上に放り投げうなり声をあげる。
ドワーフの国にしろ、魔族領にしろ、これと言って手を打たないといけないって感じはしないんだよねぇ・・・・・・。まぁ、魔族領の“敗者”をこっちで引き取れるなら引き取りたいなぁとは思うけど・・・・・・。セイに詳しく聞いたところ、魔族領での生活困難者としての“敗者”であって、世間一般的には、十分“強者”らしいのだ。
一応、安全な場所、とはセイにもノアにも言われているけど100%なんていうものは世の中存在しないのだから、少しぐらい戦力がほしいところなんだよなぁ・・・・・・。
いや、獣人族の人たちとか、セイやノアが戦力にならないってわけじゃないんだけどさぁ・・・・・・多種多様の意見としても、久方ぶりに出た“敗者”こっちで引き取れないかしら・・・・・・。
なんて、ぽろっとセイに行ってみたところ、あっさりと、じゃぁ見に行ってみる?って言われました。
「そんな簡単に行けるもんなの?」
【行こうと思えば行けるわよ。ちょっと暑苦しいやつらがいるかもしれないけど】
【そうだな。下手に刺激をすると危険ではあるが・・・・・・見に行くだけ、というのであれば・・・・・・いや、しかし、一応筋は通しておかねばならぬだろうから】
結局、あぁでもないこうでもないというノアとセイの話を聞いているうちにその日は会話終了となった。
翌日には、何事もなかったかのように、いつも通りの毎日を繰り返す二人を見て、あの話はなかったことになったのだろうなぁ、と思い、そのままさらに一週間が過ぎた。
そして、それは、唐突に訪れたのだった。
と、そんな一言を添えてくれセイに、もちろん見に行ったのかと聞けば、当然でしょ、と言わんばかりの声音で言ってくれた。
「あ、でもさぁ、魔族領って、実質的には奴隷っていないってこと?」
カリカリと、セイが出してくれたメモに書き連ねながら聞けば、セイはあっさりとした口調で【そうよ】と教えてくれた。
「ドワーフの国も奴隷っていうよりは、借金のかたに身売りをしちゃいましたって人たちだもんねぇ・・・・・・ごく微量だとしても、賃金も発生しているし、さらに衣食住も保証されてるなら、自分で自分を買いなおすこともできるってことだよね」
【そうねぇ。技術を身に着けつつ、わずかばかりの賃金をためて自分を買いなおすドワーフも少なからずいるわね。でも、自分を買いなおしても、そのドワーフは主だった人の家から出て行かないわよ】
「いかないの?」
【だって、ずぅっとそこで働いてきているのよ?今更ほかのところに行けって言われたって困るじゃない。第一、主だったほうも、長年仕事をしてくれていた相手がいなくなったら困るでしょ?だから、賃金を一般水準に戻して、再雇用って形にするのよ】
「あぁ、なるほどねぇ」
【どんなに賃金がいい場所だとしても、最低でも30年は低賃金よ。それだけ長く一緒にいたら、お互いに情がわくでしょ】
「たしかに・・・・・・」
【そういうことよ。あと、奴隷って言ったら・・・・・・】
竜人族は奴隷になるような種族ではないし、奴隷に対して、何か思うところがあるという種族でもないらしい。どこまでも、一匹狼を地で行く種族らしく、10年に一度ある竜人族の集会でさえ、集まるのは半数にも満たないらしい。一応、それぞれの種族について見回りも仕事内容に入っているらしい神獣のノアとセイも、たまに集会にお邪魔するらしいが、未だに顔を合わせたことのない竜人族が多々いるそうだ。
いいのかそれで・・・・・・。
天族は、絶滅しているのだろう、という周りの見解をよそに、セイはさらっと、生きてるわよ、っと教えてくれた。
一応内緒ね、と言いつつ、ノアとセイと3人で寝る前のひと時の時に教えてくれた。
何でも、種族間の闘争が激しくなった時に、真っ先に戦闘能力のない天族は魔族領に逃げ込んだらしい。
その当時の魔族領の長である魔王が、種族間の闘争に興味がなかったということもあり、あっさりと天族を保護してくれたそうだ。
なので、魔族領のどこかで、ひっそりと天族は彼らに保護されて生活をしているそうだ。
なんで、どこかなの、って聞いたら、いくら神獣でも、魔王が教えないといわれたことは聞き出せないそうだ。
ていうか、代々の魔王は、彼らを保護するという重大な任務もあるがために、実力主義がさらに拍車がかかったともいわれているらしい。
そんだけいい種族なら、なんで聖女を血眼になって探してるのって聞いたら、なんと、保護するために血眼になって探していると教えてくれた。
よくまみれの人族に捕まったら、聖女がけがされる!ということで、そりゃぁもう、他の種族が真っ青になるぐらいの勢いで探し回っているらしい。
「ちょっとまって、それなら、一度挨拶に行って、無事です、ってこと伝えたほうが早くない?」
【あいつら、言葉が通じないわよ】
「なんですと!?」
【興奮している奴らには、何を言うても通じぬ】
と、ありがたくもないセイとノアの忠告をいただいた。
とはいってもなぁ、一度、天族にも、あってみたいのもあるしなぁ・・・・・・。
って、そうじゃなくって・・・・・・。
それぞれの種族たちの奴隷に対する認識はひとまず理解できた。
やっぱり問題なのは、人族かぁ・・・・・・。
なぁんで、人間ってバカなことばっかり考えるのかしら。
もう少し、平和的に行こうよ・・・・・・。
「んぅー」
手にしていた羽ペンをぽいっと机の上に放り投げうなり声をあげる。
ドワーフの国にしろ、魔族領にしろ、これと言って手を打たないといけないって感じはしないんだよねぇ・・・・・・。まぁ、魔族領の“敗者”をこっちで引き取れるなら引き取りたいなぁとは思うけど・・・・・・。セイに詳しく聞いたところ、魔族領での生活困難者としての“敗者”であって、世間一般的には、十分“強者”らしいのだ。
一応、安全な場所、とはセイにもノアにも言われているけど100%なんていうものは世の中存在しないのだから、少しぐらい戦力がほしいところなんだよなぁ・・・・・・。
いや、獣人族の人たちとか、セイやノアが戦力にならないってわけじゃないんだけどさぁ・・・・・・多種多様の意見としても、久方ぶりに出た“敗者”こっちで引き取れないかしら・・・・・・。
なんて、ぽろっとセイに行ってみたところ、あっさりと、じゃぁ見に行ってみる?って言われました。
「そんな簡単に行けるもんなの?」
【行こうと思えば行けるわよ。ちょっと暑苦しいやつらがいるかもしれないけど】
【そうだな。下手に刺激をすると危険ではあるが・・・・・・見に行くだけ、というのであれば・・・・・・いや、しかし、一応筋は通しておかねばならぬだろうから】
結局、あぁでもないこうでもないというノアとセイの話を聞いているうちにその日は会話終了となった。
翌日には、何事もなかったかのように、いつも通りの毎日を繰り返す二人を見て、あの話はなかったことになったのだろうなぁ、と思い、そのままさらに一週間が過ぎた。
そして、それは、唐突に訪れたのだった。
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