異世界に転生したら?(改)

まさ

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第2章、破滅に向かう世界。

第15話、希望の光。

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『何なのだ!お前は!』

ギガントサイクロプスを一撃で倒した俺に困惑気味で恫喝してくる魔族。

ちなみにコイツ、魔力を抑え隠れていた。

何か変な気配がするな?って魔法をぶちこんだら出てきたのだ。

修業前の俺なら気付かなかったと思う。

アサシンタイプかな?身体細いし、何か顔色悪いし。


「え?何が?」


中位の魔族、以前なら仲間全員で何とか戦えていた実力をもっているとさ思うけど、今の俺なら一人で話をしながら攻める余裕がある。

それを見ていた皆がまた驚いてたけど。



「この数日でマサムネ殿に何があったのでゴザルか?」

「強すぎて私、夢を見てるみたいです」

『マスターすごーい!』

『グルア♪』(さすがマスター♪)


そう言いながら、俺以外のメンバーも俺を見ながらモンスターを殲滅していたけどね。

リリムさん、俺を見ながら手をモンスターに向けて魔法を連発してます。

最終兵器美少女爆誕ですか?



「そんな事より、ホラ?真剣にヤらないと、俺の剣が刺さっちゃうよ?」


ホラホラと遊ぶように魔族と剣を撃ち合う俺。

中位の魔族は指揮する余裕など全く無く、戦場のモンスターは大混乱の渦に巻き込まれ立て直す事は出来ない程になっている。


「ホイ!」


ギンと金属がぶつかり合う音が響く。


『グウ……ウゥ』


俺の剣を手に持つ黒い槍で何とか受け止める魔族。

俺は片手なのに対して魔族は両手を使っても抑え切れずにジリジリと後退していく。


「テリャア!!」

『何!?』


俺は魔族の持つ槍を下からすくい上げる様に跳ね上げると槍は魔族の手から放れ空に舞う。

その隙を逃す事無く、返しの上段からの縦一文字で魔族を切り裂いた。


『グギャアアァァ!!』


断末魔の声と共に消滅する魔族、俺が周囲を見るとモンスターの数は疎らで、生き残ったモンスターは、殆どが逃げ出している。



終わってみると圧倒的勝利で『ウエストレイド』を巡る攻防は幕を閉じた。



守備する者達にも少なからず被害が出たが、その数の不利を考えると無傷とは言え無いが、圧倒的な大勝利と言っても良いだろう。


【森林の伊吹】メンバーを見て、ギルドマスターは自分達の希望、魔王から人類を救う英雄達の姿をその目に焼き付けていた。



彼等森林の伊吹がいる限り、我々は魔王軍には屈しない、彼等は希望の光だ」

ギルドマスターの呟きは、夕陽で染まる空に消えていった。





「もう勘弁してくれ~!!」

ウエストレイドの攻防も一端の終結を向かえ生き残った者達は、俺達の作った防壁の側に新たにマサムネ達が作った体育館2つくっつけた位の大きさがある大講堂で飲めや騒げやの大宴会を開いていた。


そして、無理矢理主役にされた俺は、冒険者や守備隊の面々にもみくちゃにされ悲痛の叫びを上げていた。

飲んでも飲んでも次々と酒を継ぎに来やがるし!酒クセェし!勘弁してくれ!



それを見ているコウ達は、自分に被害が無いことに安心しつつも、俺の叫びに苦笑いをしていた。


裏切り者~!



その宴会は深夜どころか明るくなるまで続き(交代で見回りをしている人も、一応ちゃんといる)最早、講堂は死屍累々の地獄と化していた。


至る所で酒の匂いと色々ヤラかした臭いが混ざりあって、とても居られない程の激臭地帯に、俺は早目に酒が抜け覚醒した為、講堂の外に避難して今は防壁の上に寝転んでいる。


「ハァー酷い目にあった……」


もう一生分飲んだと言う位にジョッキを空けては注がれ、また空けては注がれの酒の無限ループに、いくら状態異常耐性が有るとはいえ、多勢に無勢。

見事に撃沈させられた。

一言で表すと「浴びる程飲んだ」と言うヤツだな………オエ。



朝の冷たい清々しい風が頬を伝って心地良い。

俺は次第に顔を覗かせる朝日を見て、ここを守れた事に安堵し、またもや襲って来た睡魔に思わず大きなアクビが出てくる。


「フフフ……マサムネさん、大変でしたね?」

「あふ?ん?リリム起きてたのか?」

「さっき目が覚めました」

「そうか……おはよう」

「ハイ、おはようございます」


花を咲かせた様な可憐で明るい笑顔を見せるリリムに俺は暫く見とれていた。


「あ、あの……そんなに見詰められると恥ずかしいのですが……」


もじもじと俯き顔を赤くするリリム。

俺はハッとなりリリムに謝る。


「え?あ!ご、ごめん」


二人でもじもじする。

自分でも分かる。


甘酸っぱい。

精神的に40過ぎのオッサンにはかなりキツイ。


「えっと、うんそう!眠くてボーっとしちゃったんだよね!」


リリムにはバレてそうな苦しい言い訳を口にすると、リリムはまた見惚れる程の笑顔を見せてくる。

あかん。オッサン惚れてしまう。


「マサムネさん、ずっと飲んでましたもの、眠くなるのは仕方ないですね」


トテトテと俺の側にリリムが来ると、そのまま俺の隣に座り、いわゆる女の子座りをするとリリムは自分の太股をポンポンと叩き「どうぞ」と言った。

俺は最初、何の事なのか分からなかったが、恐らく膝枕の事を言っている事に気が付くと、余りの恥ずかしさに軽く混乱する。状態異常耐性が働いておらんですばい!(錯乱)


それでもリリムはポンポンと叩いて待っているので、俺は物凄く照れつつも

「お、お邪魔します」

と言いながら、恐る恐る頭をリリムの太股に乗せた。


幸せな位に柔らかく、そしてフワッと漂う花の香り……これはヤバイ。と思うと、それに合わせて心臓が激しく鼓動する。


リリムの顔を恥ずかしさのあまり見る事が出来ず。

今、リリムがどんな表情をしているのかが、物凄く気になるが確認する勇気が無い40台の大人が情けないと思いながらも悪くないと思う自分がいた。


何て悶々としていると、ふと頭に何かが載せられた。

どうやらリリムが俺の頭を撫でているようだ。

余りの気持ち良さに睡魔が襲ってくる。

昨日、戦った魔族より強い気がする。


「マサムネさん、私達って英雄らしいですよ?フフフ…でも私は何も出来なかったのに………でも昨日のマサムネさんは、本当に伝説の勇者様に見えました」

リリムの言葉を聞き意識がもどる。

「俺は勇者なんて柄じゃないよ、それにリリムは頑張ってたじゃないか、何も出来なかった何て言うのはダメだよ?」

「ハァイ、ごめんなさい、ふふふ」

リリムの顔を見ると少し悪戯っぽく舌を出して笑顔で謝るリリム、思わずドキッとしてしまう。

本当に可愛い娘だなぁ~と心から思う、こんな娘の彼氏になれる男は幸せだな~。

「マサムネさん」

ふとリリムの笑顔が消える。


「……何?」

リリムのその雰囲気に、俺も思わず起き上がろうと体に力を入れる。

「あ、そのまま寝ていてください」

頭をリリムが抑え、またポフッと膝枕の状態になる。

「う、うん」

再び襲う照れと恥ずかしさを抑え込みリリムの言葉に耳を傾ける。


「マサムネさん、私はマサムネさんが姿を消した時、胸が張り裂けそうになりました」

「……うん、ごめん」

「それに心にポッカリと穴が空いちゃいました。凄く大きな穴です」

「……うん、ごめん」

「グス………わ、私は本当に心配したんですからね?……グス…」

俺の頬にリリムの涙が落ちてくる。

「もう、あんな事は絶対にしないで下さいね?……グス…」

「ごめん……したくは無いけど、俺はリリム達を守る為なら、またやるかもしれない。だってリリムも皆も本当に大切な仲間だから……それにリリムを死なせたくない、絶対に……でも、リリムの悲しい顔を見たく無いから、出来るだけしない様にするよ」

「何それ、マサムネさん、ズルいですよぉ~……グスン……」

「そうだね……ズルいよね?ごめんね?」

「そうです!ズルいです!」


二人で暫く話をしていたが、気が付くと二人共、その状態のまま眠っていた。



その後、ハクヨウが俺達を探して起こすまで俺達は一緒に寝ていたらしい。




束の間の平和が訪れた、晴れ渡った朝の出来事にリリムに好意を持つ男どもが嫉妬の炎を燃やしていたとかいないとか。


柔らかくて、とっても良い匂いでした。

これなら、たまに『英雄』しても良いかもね♪
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