言葉の暴力で世界最強! 消えたヒロインを追い求めて世界へ! 幼馴染に告白するつもりがなぜかモンスターに愛の告白を

二廻歩

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旅と言えばこれ 助さんカキですよ

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エクセルとハックの三人で寂れた海沿いの漁師町にやって来た。
市場で売られていた魚のほとんどはここで水揚げされたものらしい。
それにしてもお腹空いたな。

第一村人は綺麗なお姉さんだった。
目的を伝えると今まで親切に教えてくれていた彼女の口が堅くなる。
「あんたら何者よ? 」
警戒を強めるお姉さん。
「決して怪しい者ではありません。私どもはちりめん問屋の…… 」
外から来た異人だと知られたら厄介なので適当に嘘を吐く。
「でもこの人危ない感じがするんですけど」
ハックの危険な香りを嗅ぎ取る。ワイルドすぎる風貌が邪魔して中身が透ける。
自称ホワイトハッカーでやってるケチな盗人だけどね。

「ははは…… 気のせいですよ」
「それにスケベそうだし」
「そんなことはありませんよね助さん? 」
「へいもちろんです源右衛門先生」
ハックも乗り気だ。
「だったらこの妖精は? 」
疑い出したらキリがない。でも正体を教える訳にはいかない。
この綺麗なお姉さんは信用できるが彼女だって村の者。
悪いがまだ村の者は信用できない。

「お銀! 自己紹介なさい! 」
「もう何なのよこいつら? あんたもあんたもよ。馬鹿じゃないの! 」
エクセルはご機嫌斜め。暑さが堪えた? でもここも片隅とは言え第一世界。
きっと飛び過ぎて疲れたんだろう。
「済まないね。お銀は今、助さんと喧嘩しとって怒り狂っておる。
放っておいてやるのが優しさじゃありませんか」
「はあ…… 」
「陽炎のお銀と言えなくもない。ただの虫だがね」
エクセルに代わって自己紹介をする。
「はあ…… お大事に」
「ははは! では参りましょうか助さん、お銀」

こうして源右衛門一行は旅立った…… あれ? 終わっちゃうよ。

「だから違うんだって! 人を探してるんだ! 」
完全におかしな人だと思われる前に目的を伝える。
「アンって言う可愛くて綺麗で素敵な女性を見ませんでしたか? 」
つい力が入る。
「さあ知らないね。でもアンって言う至って普通の子なら見かけたよ。
何でも小枝さんのところにたくさんの流れ者が棲みついてるって話」
彼女は宿を営んでる関係で横のつながりがあるらしい。
「小枝さんって? 」
「この海岸沿いを真っ直ぐ行ったところにぽつんと。目立つはずだから。
今はシーズンじゃないからあまり観光客もいない。歩いてればその内」
いい加減な道案内でお別れ。
「さあ行くわよ! 」
妖精が張り切る。
「お銀や。分かりましたかな? 」
「いつまでやってるつもりよ? さあ急ぎましょう」
これでようやくアンに会える。
村の者にも俺の立派な姿を見せられる。
希望を胸に海岸沿いを進む。

「はいここで休憩! 」
歩いてすぐにストップがかかる。まだ十分しか経ってない。
確かにお腹は空いてる。果物一個ではとてもとても。
だが目標を目の前にちんたらしてられない。
「ふう俺もお腹が空いたぜ。いい匂いがするなあ」
お食事モードの二人。
俺がいくら説得しても無駄のようだ。
「ほらゲンも来なさい! 」
案内役の妖精さんの命令は絶対だ。彼女の機嫌を損ねられない。

うーん磯の香りがする。潮風が気持ちいい。
「こんなところで暮らすのもいいよねエクセル。へへへ…… 」
「何言ってるのゲン…… 」
「だからここで…… まあいいか」
恥ずかしがり屋な妖精さん。なぜか顔を真っ赤に。
「ねえハックはどう思う…… 」
「俺はカキにするわ」
何も聞いてないマイペースなハックはカキを三個も注文。
まったくどれだけ贅沢な奴なのか。
高級な岩ガキを焼いてくれるかと思いきやただの干し柿だった。
カキ違いとはよく言ったもの。
「おい! ふざけんな! 」
ハックは警告を気にする素振りもなくおばちゃんに食って掛かる。
「済まんねアンちゃん。今はカキはおやすみね。代わりに干し柿を売ってるんだ」
海の幸を楽しみにしていたハックは柿を三つ買うことに。
「何でだよ! 」
泣きそうなハックを初めて見る。
やはり日頃の行いが物を言うのだろう。

「悪いね。返品不可なんだよ」
おばあちゃんと隣の漁師が強引に説得する。
止めておけばいいのにまだ文句を言い続けるハックに警告が。
これで俺と同じで累積警告三枚目。
これ以上増えれば危険。
刑務所にお世話になりかねない。

「ほら行くぞハック! 」
文句を言い続けるハックを抑えつけ引きずっていく。

                続く
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