ドスグロ山の雷人伝説殺人事件 

二廻歩

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ラストチャンス

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販売員は頑なな態度から一転、話し出す。
「へへへ…… 後悔してるんだぜ。壺は明らかな偽物。見て直ぐ偽物だって分かる。
だが簡単に引っかかっちまう。自分から言わせればただの馬鹿でしかない。
カモだな。奴らが間抜けなのであって自分はそれで小金を稼いだに過ぎない。
自分も悪いがやはり騙される方も悪い。そうだろ探偵さん? 」
同意を求める哀れな男。それは自分の罪を軽くしたいだけのただの言い訳。
たとえ彼の言うことが正しくても被害者を考えれば同意など簡単には出来ない。

「それに俺は誘われただけで何も知らずにただ言われるまま行動しただけ。
今回のジュエリー販売だって偽物かどうか俺には分かりはしない。
鑑定士の言葉を鵜呑みにしただけだ。確かに殺された連中はクズだったよ」
「おい千田! もうそれ以上はいい」
黒木が止めに入る。洗いざらい告白しようとする千田をけん制する。
「今回はあんただって雇われたんだろうが。ここですべて吐かないと疑われるぞ。
そうだろリーダー? 」
「くそ! 余計なことばっかり言いやがって。不利になるのが分からないのか? 」
「もういいっしょ。全員殺されちまって俺たち二人きりになったんだし」
リーダー役の黒木は冷静になるように説得するが千田は聞く耳を持たない。

二人はどうにか落ち着きを取り戻し静かになった。
もう少し千田の告白を聞いていたかったがまあいいでしょう。
「それで心当たりは? 人に恨まれるような酷いことをした記憶はありませんか? 
明らかにあなた方が壺関係で恨みを買ってるのは明白。よく思い出してください。
反省して許しを請うしか方法がありませんよ」
救いの手を差し伸べる。
これがラストチャンス。
もしここで心からの謝罪をすれば助かる可能性もある。
まずありえないが……
真犯人だってこれ以上罪を重ねたくないはずだ。
いやそんな甘いはずないか。

真犯人が告白に心を動かされて…… そんなのはただの夢物語でしかない。
やはり大人しく告白を聞くだけで名乗り上げることはなかった。
それはこの連続殺人事件がまだ終わってない証。残念だがまだ続きそうだ。

残りの者を見回すが特段変わった様子が見られない。
「やはり俺のせいじゃない。俺は関係ない! 」
「おい待て! 」
黒木の手を振り払い食堂を出て行こうとする千田。
怒った様子を見せるがそれも実際どうなのか分からない。

「まさか人を殺してませんよね? 」
仲間が次々と殺されているのだから当然の疑問。
千田は立ち止って振り返る。
「人殺し…… いやたぶんやっちゃいない。たぶんな…… 」
人殺しのワードで千田が再び震え出した。
それにつられるように皆、動揺し始める。
「よく思い出してください千田さん! 」
「だから心当たりがないと言ってるだろうが! 」
自分の部屋に戻ろうとするので出歩かないように念を押す。
これで少なくても夜までは狙われることは無いだろう。

千田が逃げたので仕方なく黒木から話を聞くことに。
「黒木さん…… 」
「俺だって覚えちゃいない。だが待てよ…… 」
何か思い出したかのように難しい顔をする。
「いや別に何でもない…… 気にしないでくれ」
「あなたもですか黒木さん? この際すべてを告白した方がいい。
どの道逃げられはしないのだから」
現実を突きつける。

「ははは…… だったら全員を絞めあげればいいだろ」
「黒木さん」
「頭が悪い探偵だなまったく! どいつもこいつも本当に頭が悪い。
いいかこの事件が連続殺人であろうとなかろうと犯人がこの中にいる。
だったら絞めあげて吐かせればいいだろ。それが一番手っ取り早い。
俺が直々に手伝ってやる。だから早くしろ! それともお前が犯人なのか? 」
「黒木さんいい加減にしてください! 」
「ふふふ…… 簡単なことだろ。へへへ…… 」
余裕の表情だが実際はどうだろう? 体が震え声も掠れている。
明らかに恐怖と動揺が見られる。ただ黒木の説もあながち間違いではない。
今日で三人目。真犯人も犯行が露呈しないか怯えてるに違いない。
尋問でもすればボロを出すかもしれない。

ただもう一つ忘れてはならないことがある。それは……

                 続く
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