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疑わしい者
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千田が撲殺体で見つかった。
ついに連続殺人事件の犠牲者は四人に。
密室殺人の謎はさっぱりだが少なくても真犯人はこの中にいる。
「それに彼の心理を分かってるのかい?
仲間が殺され次は自分かもしれないと言うのにドアを開ける馬鹿がどこにいる?
私だったら絶対に開けないね。それとも被害者はベットで撲殺されたとでも? 」
お婆さんは冷静だ。
「いえそこから離れたドア付近で。たぶん殺害場所もそこだと思われます」
私が確認する前に廊下から部屋を覗いたのだろう。詳細を知っているらしい。
第一発見者は例のごとくガイドさん。
どれだけ運が悪いのだろうか?
似たような惨殺体を何度も見ている。
これではもうトラウマ確定。
それとももうとっくに慣れているとか?
呪われたバス旅行の責任者とは言えこんな体験はしたくないものだ。
同情と愛情が禁じ得ない。
「だとしたら寝ているところを襲われたのでないだろう」
お婆さんは断定する。確かに寝ている時ではない。
ならば被害者を招き入れた形に。物音に気付いて逃げたところを襲われた可能性も。
だがそれなら悲鳴の一つでも聞こえないのはおかしい。
「まさか顔見知りの犯行? 」
「ああ、ただここで言う顔見知りは仲間って意味じゃないかね」
お婆さんは明らかに誘導している。
犯人があらかじめ決まっているかのような物言い。確証でもあるのか?
「顔見知り程度ではなく何度も顔を合わせている仲間であると? 」
「分かって来たね。あんたも」
黒木が怪しいと踏んでいるようだ。私もそれは否定しない。
「ちょっとよろしいですか。本当にそうでしょうか? 」
マジシャンが待ったをかける。
何でもいいから情報を得ようとしたばかりに混乱状態。
「あなたは違うと? 」
「ええ。犯人は恐らく朝だと言ったのでしょう」
マジシャンは四度も第一発見者となったガイドさんを疑っている様子。
当然か。第一発見者を疑えは捜査の基本中の基本。
私の指示に従わず四度目では庇いようがない。
「今は丁度席を外してるところ。皆さんも正直そう思いませんか? 」
いつの間にかマジシャンが場を支配する。
「はい私もそう思います」
龍牙が周りを見ながら手を挙げる。
「俺もそう思うぜ」
奈良が続く。
この二人は示し合わせたかのようにガイドさんに一票を投じる。
「やっぱり怪しすぎるよ。いつも第一発見者なんてさ」
「何だい。いい加減だね」
お婆さんが呆れる。
「現実的にはガイドさんが一番怪しい。違いますか? 」
マジシャンはさも自分が正しいと説得にかかる。
「いい加減にしてください! 」
ついに料理人が立ち上がる。今まで大人しく聞いていたが限界のようだ。
「どうして彼女だと思うのですか? 恨みも何もないただのガイドですよ。
私どもを疑うのは筋違いではありませんか? 」
ただのバスガイドでありお客様の世話係だと主張する料理人。
「あなたは本当に無関係なんですか? 」
鋭い指摘で料理人を困らせるマジシャン。
「それは…… 無関係だとしか言えません」
料理人は何か隠してるのか自信なさげに答える。
「だったらあんたは誰が怪しいと思うんだい? 」
お婆さんが畳みかける。
伝説の小駒さん対料理人の田中さんの女の戦いが始まる。
「それは…… 」
黙ってしまうがそれを許しはしない雰囲気。
「それは誰だい? 」
「怪しい者を一人上げろと言われたら…… あの男の人」
相棒を指名する。
まさか冗談だろ? なぜ相棒が疑われなければならないんだ?
「ちょっとそれはどう言う意味ですか? 」
聞き捨てならない。見た目が怪しいとしても関係ない。
それこそただの部外者。
我々は偶然迷い込んだ哀れな明後日探偵。
相棒が怪しいとはどう言うつもりなのか?
「ごめんなさい探偵さん。別にあなた方を疑っている訳ではないんです。
お客様も同僚も売れない。そこで目を付けたのが何だか得体のしれない彼だったの。
彼なら条件にもぴったり合う」
すべてが撲殺なら体が大きくて力持ちの相棒が適任。確かに俺も一瞬疑ったことも。
だが有り得ない。そもそもものぐさな相棒が出向いたのも私の命令。
それでも気まぐれを起こし帯同しないことだってあり得た。
今回は相棒の力が必要になるだろうと考えたから誘ったのであって犯人な訳ない。
それは火を見るよりも明らかだ。
「私は相棒を信じます。我々の為に現場検証までしてるんですよ」
「でしたら私も彼女を信じます。あの子がそんなことする訳ない! 」
料理人は一歩も引かない。いつの間にか私と料理人の争いに。
同僚が無実の罪を被せられているのを見ていられないようだ。
「だったら黒木を…… いや擁護できないか」
マジシャンも黒木を疑い始めた。
お婆さんが唱えた黒木犯人説が最有力に。
続く
ついに連続殺人事件の犠牲者は四人に。
密室殺人の謎はさっぱりだが少なくても真犯人はこの中にいる。
「それに彼の心理を分かってるのかい?
仲間が殺され次は自分かもしれないと言うのにドアを開ける馬鹿がどこにいる?
私だったら絶対に開けないね。それとも被害者はベットで撲殺されたとでも? 」
お婆さんは冷静だ。
「いえそこから離れたドア付近で。たぶん殺害場所もそこだと思われます」
私が確認する前に廊下から部屋を覗いたのだろう。詳細を知っているらしい。
第一発見者は例のごとくガイドさん。
どれだけ運が悪いのだろうか?
似たような惨殺体を何度も見ている。
これではもうトラウマ確定。
それとももうとっくに慣れているとか?
呪われたバス旅行の責任者とは言えこんな体験はしたくないものだ。
同情と愛情が禁じ得ない。
「だとしたら寝ているところを襲われたのでないだろう」
お婆さんは断定する。確かに寝ている時ではない。
ならば被害者を招き入れた形に。物音に気付いて逃げたところを襲われた可能性も。
だがそれなら悲鳴の一つでも聞こえないのはおかしい。
「まさか顔見知りの犯行? 」
「ああ、ただここで言う顔見知りは仲間って意味じゃないかね」
お婆さんは明らかに誘導している。
犯人があらかじめ決まっているかのような物言い。確証でもあるのか?
「顔見知り程度ではなく何度も顔を合わせている仲間であると? 」
「分かって来たね。あんたも」
黒木が怪しいと踏んでいるようだ。私もそれは否定しない。
「ちょっとよろしいですか。本当にそうでしょうか? 」
マジシャンが待ったをかける。
何でもいいから情報を得ようとしたばかりに混乱状態。
「あなたは違うと? 」
「ええ。犯人は恐らく朝だと言ったのでしょう」
マジシャンは四度も第一発見者となったガイドさんを疑っている様子。
当然か。第一発見者を疑えは捜査の基本中の基本。
私の指示に従わず四度目では庇いようがない。
「今は丁度席を外してるところ。皆さんも正直そう思いませんか? 」
いつの間にかマジシャンが場を支配する。
「はい私もそう思います」
龍牙が周りを見ながら手を挙げる。
「俺もそう思うぜ」
奈良が続く。
この二人は示し合わせたかのようにガイドさんに一票を投じる。
「やっぱり怪しすぎるよ。いつも第一発見者なんてさ」
「何だい。いい加減だね」
お婆さんが呆れる。
「現実的にはガイドさんが一番怪しい。違いますか? 」
マジシャンはさも自分が正しいと説得にかかる。
「いい加減にしてください! 」
ついに料理人が立ち上がる。今まで大人しく聞いていたが限界のようだ。
「どうして彼女だと思うのですか? 恨みも何もないただのガイドですよ。
私どもを疑うのは筋違いではありませんか? 」
ただのバスガイドでありお客様の世話係だと主張する料理人。
「あなたは本当に無関係なんですか? 」
鋭い指摘で料理人を困らせるマジシャン。
「それは…… 無関係だとしか言えません」
料理人は何か隠してるのか自信なさげに答える。
「だったらあんたは誰が怪しいと思うんだい? 」
お婆さんが畳みかける。
伝説の小駒さん対料理人の田中さんの女の戦いが始まる。
「それは…… 」
黙ってしまうがそれを許しはしない雰囲気。
「それは誰だい? 」
「怪しい者を一人上げろと言われたら…… あの男の人」
相棒を指名する。
まさか冗談だろ? なぜ相棒が疑われなければならないんだ?
「ちょっとそれはどう言う意味ですか? 」
聞き捨てならない。見た目が怪しいとしても関係ない。
それこそただの部外者。
我々は偶然迷い込んだ哀れな明後日探偵。
相棒が怪しいとはどう言うつもりなのか?
「ごめんなさい探偵さん。別にあなた方を疑っている訳ではないんです。
お客様も同僚も売れない。そこで目を付けたのが何だか得体のしれない彼だったの。
彼なら条件にもぴったり合う」
すべてが撲殺なら体が大きくて力持ちの相棒が適任。確かに俺も一瞬疑ったことも。
だが有り得ない。そもそもものぐさな相棒が出向いたのも私の命令。
それでも気まぐれを起こし帯同しないことだってあり得た。
今回は相棒の力が必要になるだろうと考えたから誘ったのであって犯人な訳ない。
それは火を見るよりも明らかだ。
「私は相棒を信じます。我々の為に現場検証までしてるんですよ」
「でしたら私も彼女を信じます。あの子がそんなことする訳ない! 」
料理人は一歩も引かない。いつの間にか私と料理人の争いに。
同僚が無実の罪を被せられているのを見ていられないようだ。
「だったら黒木を…… いや擁護できないか」
マジシャンも黒木を疑い始めた。
お婆さんが唱えた黒木犯人説が最有力に。
続く
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