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ドスグロ山の雷人の正体
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エチケットチェック。
爪が長すぎないか?
逆に切り過ぎて深爪になっていないか?
爪の状態を見ることで体の異変を察知することも。
だが実際は指先が切れてないかの確認。右手人差し指を重点的に。
「爪なら私も見せるよ」
小駒さんも積極的にエチケットチェックに応じる。
彼女の協力でダイイングメッセージを解明した手前言い辛かったが上手く行った。
シワシワな手が気にはなるが人差し指に傷はない。
これで彼女も潔白が証明された。
「他の方も順番にお願いします」
もうすぐだ。これが決定的な証拠になるはず。
隠しようのない瑕疵。真犯人の印を持つ者。
ガイドさんはやけどの痕。
田中さんはアカギレ。ぱっくり割れているが指先ではない。
目を覆いたくなる。そう言う意味では奈良の深爪といい勝負。
料理担当の彼女なら何ら不思議はない。
当然のように二人はパスする。
こうして徐々に犯人候補は数を減らしていく。
「俺も見せるのか? 」
黒木が下を向く。
私にも経験がある。何ら問題なくても決して人に見せたいものではない。
不快に思われたらどうしよう? 馬鹿にされないか? などネガティブ思考に。
マジシャンが極端に嫌がったのも頷ける。
いくらきれいだと褒めたところで嬉しいものではない。
汗で光っているおじさんの手。
私だって出来るなら遠慮したいがそう言う訳にも行かない。
「ご協力お願いします」
「分かったよ。ほらよ。早くしろよな」
文句を言って時間を稼ぐが無駄。素直に見せなくては逆に疑われる。
ただ実際襲われた彼を今回の一連の真犯人にするのは無理があるが。
だが共犯もあり得るしすべての可能性を潰しておく必要がある。
これが犯罪詐欺師の手か…… いやただの恐喝男のごっつい手か。
見て損したが取り敢えず彼の指に傷跡はない。
汚れた手ではあるがそれは比喩であり実際は問題ない。
これで残りは二人…… あれ皆の様子がおかしい。刺さるような視線。
「人に見せといて自分は嫌だとは言わせないよ」
小駒さんの指摘はもっともだ。仕方なく手を前に。
「ほら大人しくしな! 」
「ちょっと待ってください! 皆さんも落ち着いて」
群がる者を押しのけ逃げようとするがすぐに捕まってしまう。
「まさかあんただったのかい探偵さん? 」
「ははは…… そうです。私こそがドスグロ山の雷人だったのです」
九号室は大騒ぎ。パニック寸前。
「嘘だろう…… まさかお前だったってのか? 」
「探偵さん! 」
「嘘! 」
こうして事件は真犯人の告白で幕を閉じたかのように思えたが……
「冗談はそれくらいにしな! 手はきれいじゃないか」
小駒さんが真実に迫る。
「これくらいの余興あっていいでしょう? では最後の二人に参りましょうか」
残すは相棒と山田さん。
「僕? 別にいいけどさ…… 臭いし脂ぎってるよ」
恥ずかしがり屋の相棒は下手な言い訳で逃げる気満々。
「ほら見せてみろ。ああいつも通り。大丈夫問題ない」
「探偵さんそれはないだろ? 仲間だからって甘すぎる。私が見てやるよ」
小駒さんにも確認してもらう。
「いいよ。あんたら二人とも問題なしだね」
小駒さんのお墨付きをもらい一安心。
それにしても何の因果で相棒の脂ぎった手を握らなければならないのだろう?
ここは某アイドルの握手会か?
そう考えると相棒を中心に容疑者たちが熱狂的なファンに見えるから不思議だ。
興奮する黒木も脂ぎった相棒もオドオドする龍牙も。
小駒さんは間違えて列に並び後悔してる田舎のお婆さんかな。
マジシャンは盛り上げ役の演者。奈良は係員。
そうするとアイドルは田中さんとガイドさんだろうか。
私は脅迫されたアイドルから依頼を受けた探偵。
そして最後に残った山田さんが脅迫者ってところだろうか。
「山田さんその手を見せてくれませんか? 」
ついに追い詰める。もう言い逃れは出来ない。
「私はちょっと…… 」
未だに言い逃れをしようと足掻く哀れな男。見苦しい真似は止めないか。
もうゲームオーバーだ。
「そうですか。私は探偵です。だからこれ以上あなたを追及できない。
ですがこちらのお小駒さんはどうでしょう? 私の指示を無視し暴走を重ねました。
はっきり言ってコントロール不能です」
小駒さんを焚き付ける。
「分かったよ。私がやればいいんだろ。ほら手を見せな」
だが山田さんは動じず。一向に手を見せようともしない。
ついにドスグロ山の雷人の正体が明らかに。
続く
爪が長すぎないか?
逆に切り過ぎて深爪になっていないか?
爪の状態を見ることで体の異変を察知することも。
だが実際は指先が切れてないかの確認。右手人差し指を重点的に。
「爪なら私も見せるよ」
小駒さんも積極的にエチケットチェックに応じる。
彼女の協力でダイイングメッセージを解明した手前言い辛かったが上手く行った。
シワシワな手が気にはなるが人差し指に傷はない。
これで彼女も潔白が証明された。
「他の方も順番にお願いします」
もうすぐだ。これが決定的な証拠になるはず。
隠しようのない瑕疵。真犯人の印を持つ者。
ガイドさんはやけどの痕。
田中さんはアカギレ。ぱっくり割れているが指先ではない。
目を覆いたくなる。そう言う意味では奈良の深爪といい勝負。
料理担当の彼女なら何ら不思議はない。
当然のように二人はパスする。
こうして徐々に犯人候補は数を減らしていく。
「俺も見せるのか? 」
黒木が下を向く。
私にも経験がある。何ら問題なくても決して人に見せたいものではない。
不快に思われたらどうしよう? 馬鹿にされないか? などネガティブ思考に。
マジシャンが極端に嫌がったのも頷ける。
いくらきれいだと褒めたところで嬉しいものではない。
汗で光っているおじさんの手。
私だって出来るなら遠慮したいがそう言う訳にも行かない。
「ご協力お願いします」
「分かったよ。ほらよ。早くしろよな」
文句を言って時間を稼ぐが無駄。素直に見せなくては逆に疑われる。
ただ実際襲われた彼を今回の一連の真犯人にするのは無理があるが。
だが共犯もあり得るしすべての可能性を潰しておく必要がある。
これが犯罪詐欺師の手か…… いやただの恐喝男のごっつい手か。
見て損したが取り敢えず彼の指に傷跡はない。
汚れた手ではあるがそれは比喩であり実際は問題ない。
これで残りは二人…… あれ皆の様子がおかしい。刺さるような視線。
「人に見せといて自分は嫌だとは言わせないよ」
小駒さんの指摘はもっともだ。仕方なく手を前に。
「ほら大人しくしな! 」
「ちょっと待ってください! 皆さんも落ち着いて」
群がる者を押しのけ逃げようとするがすぐに捕まってしまう。
「まさかあんただったのかい探偵さん? 」
「ははは…… そうです。私こそがドスグロ山の雷人だったのです」
九号室は大騒ぎ。パニック寸前。
「嘘だろう…… まさかお前だったってのか? 」
「探偵さん! 」
「嘘! 」
こうして事件は真犯人の告白で幕を閉じたかのように思えたが……
「冗談はそれくらいにしな! 手はきれいじゃないか」
小駒さんが真実に迫る。
「これくらいの余興あっていいでしょう? では最後の二人に参りましょうか」
残すは相棒と山田さん。
「僕? 別にいいけどさ…… 臭いし脂ぎってるよ」
恥ずかしがり屋の相棒は下手な言い訳で逃げる気満々。
「ほら見せてみろ。ああいつも通り。大丈夫問題ない」
「探偵さんそれはないだろ? 仲間だからって甘すぎる。私が見てやるよ」
小駒さんにも確認してもらう。
「いいよ。あんたら二人とも問題なしだね」
小駒さんのお墨付きをもらい一安心。
それにしても何の因果で相棒の脂ぎった手を握らなければならないのだろう?
ここは某アイドルの握手会か?
そう考えると相棒を中心に容疑者たちが熱狂的なファンに見えるから不思議だ。
興奮する黒木も脂ぎった相棒もオドオドする龍牙も。
小駒さんは間違えて列に並び後悔してる田舎のお婆さんかな。
マジシャンは盛り上げ役の演者。奈良は係員。
そうするとアイドルは田中さんとガイドさんだろうか。
私は脅迫されたアイドルから依頼を受けた探偵。
そして最後に残った山田さんが脅迫者ってところだろうか。
「山田さんその手を見せてくれませんか? 」
ついに追い詰める。もう言い逃れは出来ない。
「私はちょっと…… 」
未だに言い逃れをしようと足掻く哀れな男。見苦しい真似は止めないか。
もうゲームオーバーだ。
「そうですか。私は探偵です。だからこれ以上あなたを追及できない。
ですがこちらのお小駒さんはどうでしょう? 私の指示を無視し暴走を重ねました。
はっきり言ってコントロール不能です」
小駒さんを焚き付ける。
「分かったよ。私がやればいいんだろ。ほら手を見せな」
だが山田さんは動じず。一向に手を見せようともしない。
ついにドスグロ山の雷人の正体が明らかに。
続く
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