39 / 179
39話 もうすぐ公爵邸
しおりを挟むついに領地最奥の丘をあがり、目の前に聳え立つユークリウス公爵邸が眼前に近づいてくる。
リンドの父母、ユークリウス公爵様とそのご夫人とは初めてのご対面となるため、ティアはいよいよ緊張感が増してきて、
リンドの腰にまわした手に自然と力が入り、身を固くした。
「ふふ、ティア緊張してる?」
その変化に気づいたリンドが、前を向いたまま尋ねた。
「ええ、リンド様のお父様お母様にお会いするんですもの。私のようなものを受け入れて頂けるか、…不安です」
それもそのはず。自分の実の親からでさえ、まともに愛情を受けていない者が、どうして義理の父母となる者に愛されることができるだろう。いや、できるはずない。
そうとしか思えないティアは、到着前から勝手な憶測で1人むなしく、悲しい気持ちが湧いてきた。
でもこんなにしてくださるリンド様のためにも、なんとか仲良くなれるよう頑張らないと…
そう思えば思うほど緊張で固くなっていた。
「大丈夫だよ、ティア。あの人たちは聖力の公爵家だけあって、誰も傷つけたりしない。もちろんティアのこともね。
まぁそもそもティアを傷つけるようなことしようものなら、俺が黙ってないし。
それに、今まで俺はちょっと親から心配されてたからさ、ティアが来てくれることすごく喜んでたよ。
だから心配いらない。
でももし何かあったら俺の腕を掴めばいい。
そしたら必ずなんとかしてやるから。」
リンドはそういうと、手は手綱から離せないので、頬で頭をすりすりと撫でるようにし、落ち着かせようとしてくれた。
ティアはそんなリンドのおかげでとても安心して、覚悟を決めて前を向いた。
…親に心配されてたって、何をかしら
少し疑問も入り混じり、程よく緊張がほどけたティアだった。
そしてリンドに頬ですりすりされることが、いつの間にか嫌でなくなった自分に気づいていなかった…
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
448
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる