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127話 行ってきます!
しおりを挟む「父上ー!母上ー!」
ダダダダダダっ
廊下を走ってリンドは息も絶え絶えにガーネットとマークを探す。
ティアに会いに行く前に、とにかく先に、
さっきのなんとかラインって子との結婚の話を破談にしておいてもらわないと!
憂いを抱えたままで、ティアに会うことなんてできない!
コツコツコツ
「…なあに?びっくりするじゃないの、そんな大声で!
廊下を走らないでちょうだい!
全く、いい歳して…」
廊下の向こうから、溜め息を吐きながらガーネットが歩いてきて言った。
「ハァ、ハァ、…よかった!は、母上!」
母を見て安心して立ち止まると、両膝に手をついて呼吸を整える。
⁇
いつものクールな息子と…何か違う?
とガーネットは違和感を感じた。
あの感じ、…あれは…3年前の…
ティアにベタベタしていた時のような、人間らしい感情が目の前の息子に感じ取れ、
…まさか
と母の勘が頭によぎる。
「リンド?…あなた…」
ガーネットの言葉を遮って、リンドは言う。
「ハァ、母上!結婚を破談にしておいてください!ハァハァ…今から、ティアを迎えに行って来ます!」
‼︎‼︎‼︎‼︎
戻ってきた‼︎
あの日のあの息子が‼︎
ガーネットは突然の悦びに、息ができないほど胸が締め付けられ、
涙が溢れて力が抜け、ヘナヘナとその場に座り込んでしまう。
しかし、それを助ける余裕もないリンドは、
「じゃあ!頼みましたよ!すぐ戻りますから!
それと、ティアの部屋の準備もよろしくお願いしますね‼︎」
それを言い終わる頃には、もうそこにリンドの姿はなかった。
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