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148話 悪役令嬢登場

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はあ…

化粧室の中で、ティアは溜息を吐くと、

とんでもないことになってしまったと、今更ながらに足が震えた。

「どうしよう…交渉もまだなのにこんなことになってしまって…

あの国にターゲットを絞ってるのに、その国の1番すごい人を怒らせたりしたら、

もう交渉がきっと成立しない…

リンド様…どうしたらいいですか…」

独り言を言うティアの目には、涙が滲んだ。

と、そこへ1人女性が化粧室へ入ってきた。

「ごきげんよう、リズティアさん」

俯いていたティアは、名前を呼ばれてハッと顔を上げると、

そこに立っていたのは、真っ赤なドレスのキャロラインだった。

「聞いたわよ。

勝負の行方を知るために私の放った情報員が、

あなたの面白い交渉を見たって言うから、詳しく話を聞いたら

本当に笑えましたわ。

とんだアバズレもいいところね。

あなた、リンドール様と結婚したいがためのこの勝負中に、

別の男性に手を出そうとしてるだなんて!

しかも隣国の王子ですって?

本当におかしくて、涙が出そうだわ。

…よろしくてよ?

結婚を申し込まれたそうですけれど、それをお受けになればよろしいじゃない?

そしたら取り引き成立。

あなたの身と相手の身の取り引き。

よろしいですわよ?

それであなたの勝利を認めて差し上げますわ。

でもそれですと、皮肉なことに、せっかく勝ってもリンドール様とのご結婚は無理でしょうけどね?

オホホホホ!」

ティアは唖然として立ち尽くした。

とんでもないことを言われて、さっきからの不安と動揺も相まって、悔しくて、涙が止まらなくなった。

「じゃ、どうぞ、

このあとも引き続き、王子様と仲良く交渉の続きをがんばってくださいませね?

私もそろそろ戻りますわ。

リンドール様がお待ちですもの。

あっ、あなたの素晴らしい交渉の件もお伝えして差し上げますから、

ご安心なさって、どうぞお励みくださいな?」

そう言いながらキャロラインは化粧室を出る。

ティアはクロードの話を受けるつもりなど微塵もないのに、

キャロラインの口から誤解の招くようなことをリンドに言われたくなかったティアは、

キャロラインを止めたくて慌てて化粧室を出て追いかけた

化粧室から出ると。

⁉︎⁉︎⁈

キャロラインが4人の男に抱えられ、連れて行かれそうになっているところだった!

ティアが叫ぼうとした時、

後ろから知らない間に近づいてきていた男に、
突然当て身を喰らわされて、

ティアは意識を失った…
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