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149話 みんなどこへ?
しおりを挟むリンドはキャロラインを待っていた、いや、待たされていた。
化粧室に行くと言ってからなかなか戻ってこない。
待たされるのは面倒だが、
キャロラインから解放されたのはすこぶる嬉しかった。
ティアはどこかと、目で追う。
交渉に精を出しているのかなと、キョロキョロ会場内を探した。
ティアが毎日、
ダンスに語学、交渉相手国の勉強にと
自分との結婚を思ってがんばってくれる姿はとても愛おしかった。
だから、キースからホーネット家の情報を少し前に得て、
こっちには切り札があるから、勝負はもういいと言いたかったが、
その努力に水をさしたくなかったので、黙っていた。
しかし、やはりうまくいかずに困っているようなら、
キャロラインがいなくなった隙に教えに行こうかと思い、あちこち目線をやるが、
…見当たらない。
交渉相手になりそうな人間はみんなこの会場にいるんだから、
ティアもいるはず…だよな?
あれ?化粧室か?
…ん?ちょっと待てよ…
あの男はどこだ?ティアとダンスしてたあの男も…いない。
…うそ…だよな…まさか…ティア?
あいつについて行ったのか⁉︎
リンドは焦って、いろいろ走り回って調べるが、やはりどこにもいない。
化粧室から出てきた女性に特徴を伝えて尋ねたが、やはりいない。
一瞬
あの男と別室で…⁉︎
なんてことも頭をよぎったが、あんなウブなティアに限って、それはない!絶対!
と、必死でその考えは打ち消した。
しかし、おかしいのは、もう一人、キャロラインだ。
キャロラインのこともついでに化粧室から出てきた女性に尋ねたがいなかった。
?おかしい。…絶対におかしい…
リンドはこっそりと公爵家の別室へ入ると、目の力を使って確かめた。
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