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26章 建国祭

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 各国の首脳(一部を除く)が自国にいながら、議会を開くことで、この大陸の国々(一部を除く)に対して情報共有する流れとなった。

 イーリスクロムは通信を切る前に『またやることが、増えてしまった』と愚痴を言いながら、通信を切ったのだった。

「それで、佐々木さん。先程言っていた事の説明がされていないが?」

 炎王は冷めてしまった料理に手をつけ始めたシェリーに向かって、文句を言う。そのまま流そうとしていないだろうなと。

「それですか。竜の瞳と幻視蝶の鱗粉であれば、以前多めに採取したものがあるので、問題はありません」
「違う!それは発明家のユーフィア・ナヴァル公爵夫人が必要なものであって、俺が知りたいことではない」

 もちろん、シェリーは炎王が何が知りたいのかわかっていながら、ワザと別のことを言った。

「はぁ。わかっていますよ。その件は内容が濃く、話が長くなるので先に食事をいただきたいです」

 そう言って、シェリーは料理に手を付ける。言われてみれば、食事を中断して話し込んでいたため、殆ど料理に手が付けられていなかったのだ。

「じゃぁ。別の事を聞いてもいいかしら?」

 オーウィルディアが、別の事を聞きたいと口にした。

「なんですか?」

「大型犬になった経緯の話が聞きたいわ」
「ごほっ!」

「原因は聞いたけれど、ほら、きっかけとか普通あるじゃない?そういうもの」
「ごほっ!ごほっ!ごほっ!」

 オーウィルディアの言葉にグレイがムセだした。

「大型犬とはなんのことだ?」

 ミゲルロディアはグレイの獣化の姿を見てはいないので、知る由もなく。

「犬になった?」

 そう言って炎王はムセている赤い三角の耳が頭から生えている人物に視線を向けている。

「さぁ?詳しくは、グレイさんかオルクスさんに聞いてください」

 シェリーはその場にいなかったので、話すことは無いと食事から視線を外さずに言った。そして、オーウィルディアは自分から兄のミゲルロディアに報告をすることを諦め、本人から直接言わせようとしている。

「グレイシャル。その時の話をしてくれるかしら?」

 咳き込むのが止まってグレイは涙目で、オーウィルディアの方に視線を向けるのだった。





「ふむ。ナディア様も気まぐれな方だからな」

 ミゲルロディアの感想は、そんなこともあるだろうという感じだった。

 ここは食堂ではなく、遊戯室と言って良い場所だった。部屋の一番奥にはバーカウンターがあり、部屋の中央には格子状に線が描かれた大きなテーブルとその上には立体的な何かを模した造形物がある。恐らく駒のような造形物を動かして勝ち負けを決める遊戯なのだろう。そして、部屋の入口付近には何人座れるのだろうかというソファーが並べられたスペースがある。
 この部屋は言うならば、食事の後に気楽に楽しみながら情報交換をする部屋だ。

 そこに移動して食後のお茶を出されて、くつろいでいた。
 シェリーはというと、今度はリオンに捕まっており、リオンの膝の上で死んだ魚の目をしたままお茶を飲んでいた。

「それで、シェリーミディア。完全体の悪魔とダンジョンの関係性を説明してくれないか」

 ミゲルロディアから今度は話をすり替えられないように、説明を求められた。
 求められたシェリーは、死んだ魚のような目をミゲルロディアに向け、何度か行った完全体の悪魔の作られ方を説明をした。



 そして、それを始めて知った者の反応はと言うと。

「ふむ。説明されれば、納得ができることであるな」

 ミゲルロディアは納得できたようだ。そして、オーウィルディアはというと、頭を抱えていた。小言でブツブツと『ダンジョンの力って、そんなもの取り込めるの?ありえないでしょ』とか言って現実を噛み砕いで飲み込むには時間が掛りそうだった。

「それって、ヤバい力を取り込んでいるってことだよな。人は正気を保てないが、アーク族は正気を保てる。アーク族って相当ヤバいって感じだよな」

 ダンジョンの力というものは普通ではないと理解している炎王は、アーク族の異常さが気になっているらしい。

「炎王はアーク族のことをどれぐらい知っているのですか?」

 シェリーは炎王が普通にアーク族の事を口にしているので、気になったようだ。

「いや、殆ど知らない。シャーレン精霊王国になる前は、よくエルフ族と交流を持っていたらしいってぐらいだ。これも精霊からの情報だから、本当だろう」

 精霊とは炎国にいる、炎王がアイスをよく与えている少女のことだ。

「だが、狂王とエルフの王の余波を食らってから接点は持たなくなったらしい」

「余波?」

「それはそうだろう?地形を変えてしまうほどの戦いだ。上空にも被害が及んだのだろう?」

 その戦いの痕跡はギラン共和国に刻まれ続けている。地上だけかと思えば、上空に浮かんでいる空島にも被害が及んでいたのだった。

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