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おまけ話2
しおりを挟むはい。こちらメリッサです。ただいま、ダンジョンマスターのマスタールームに連行されています。
私の目の前には、黒髪でピンクの目をした聖女様と黒髪黒目の女性が沢山あるモニターを見ながらしゃべっておられます。
なぜ、私がここにいるかというと、少し戻ってみましょう。
一瞬、意識が遠のいたのですが、聖女様に無理やり現実に引き戻されてしまいました。
「メリッサさん。あなたとはじっくりお話する必要があるみたいね。」
え?ルー様のことですか?ルー様のことなら何時間でもお話できますけど、今ですかね。
「陽子さん。」
聖女様がヨウコさんという方を呼んでいるみたいですが、ここにそんな方はいらっしゃいませんよ。
「ササッチ、何かな?」
何処からとも無く声が・・・。ゆ、床から女性の首が生えています。殿下もそれを見たのかビクリと驚いています。
「陽子さん、しゃべる首は一人で十分なので、出てきてください。」
そう、聖女様に言われ陽子さんは、よいしょと言う掛け声と共に出てきました。その女性は懐かしさを覚える、黒髪黒目の容姿でジーンズのズボンに夢の国のキャラクターが描かれたTシャツを着ていました。ど、どこでそれを手に入れたのでしょう?
しかし、先程、聖女様がしゃべる首は一人でいいとおっしゃっていましたが、いるのですか?しゃべる生首がいるってことですか?
「で、ササッチ。何かな?」
聖女様が私を示しながら
「彼女を連れて、マスタールームに連れて行ってください。少しお話の必要が出てきました。」
私を連れてお話?言葉の雰囲気からついて行ってはいけない感がビシバシ感じます。
「私の番を連れて行く事はダメだよ。話ならここですればいい。それに、いきなり出てきた怪しい女は誰だ。」
殿下が私をぎゅっと抱きしめますが、ちょっとお腹が苦しいです。殿下。
「はじめまして、ダンジョンマスターをしている陽子です。宜しく!」
陽子さんは軽い感じで殿下に挨拶をされましたが、ダンジョンマスターですか!もしかして迷宮ダンジョンの?
「ああ、ついでに腹黒狐も行けばいいでしょう。弱いと貴方の番を守る事は出来ませんよ。」
と言って聖女様は私の目の前に来て、殿下から私を抱え上げてしまいました。美人の女性の方にお姫様抱っこされるなんて、ドキドキしてしまいます。
「貴様!」
殿下が聖女様に詰寄ろうとしましたが、直ぐに青い顔になり、元の位置に座ってしまいました。どうしたのでしょう。
「はい。今回の結果はササッチのみの経験値の付与になりました。そこの男ども役立たず。自力で最下層までたどり着きなさい!ついでにそこの狐君もダンジョンに潜りなさい。一番最初に着いた人にはササッチからのキスが贈られます。」
「陽子さん。そういうことは、勝手に決めないでください。」
え、えーっと。陽子さんが何か怒っているようなのですが、なぜでしょう?殿下もダンジョンに行くように言われましたが、どういうことでしょうか?
「ササッチ、そういうのはやる気の問題なの。ほら、5人ともやる気になったじゃない?狐君はリスちゃんからのキスね。さーて、何日でゴールできるかな?それまでは、ササッチとリスちゃんは私が預かるから迎えに来なさいよ。」
その言葉と同時に目の前に光が溢れて何も見えなくなってしまいました。
光がなくなり目が見えるようになりましたが、こ、これは畳!一段高くなったところに畳があり、その上にちゃぶ台と座椅子が置かれており、そして、壁一面に沢山のモニターが・・・。なに?ここは。
「ようこそ、リスちゃん!私のマスタールームへ。」
どうやら、ダンジョンマスターのマスタールームだそうです。私は聖女様に降ろされ、畳の上に座らされました。
陽子さんはお茶を入れ始め、聖女様はちゃぶ台の上にお菓子を並べ始めました。
聖女様、それはポテチではありませんか!それにチョコレートも・・・ちゃぶ台の上には定番なお菓子が並んでいます。陽子さん、り、緑茶なんてあるのですか?
「まず、聞きたいことが「あの」」
あ、聖女様の言葉にかぶってしまいました。
「何か?」
気を使われてしまいました。私から聞いてもいいのでしょうか?でも、気になって仕方がないので聞いちゃいます。
「もしかして、あちらの世界に行くことが出来るのですか?」
「「いいえ。」」
聖女様と陽子さんから否定のお言葉をいただきました。
「では、このお菓子はどう見てもあちらの物ですよね。陽子さんの服もあちらの物ですよね。どうやって手に入れたのですか?」
「炎国の炎王から購入しました。だいたいSクラスの魔物の魔石と交換すると大抵の物は快く購入できます。」
流石Sランクの冒険者の聖女様です。Sクラスの魔物の魔石!そんな物私には絶対に無理!
「私はダンジョン産の物ね。大抵の物は炎王の自身でなんとかしちゃうけど、あちらではない貴重な魔物の鉱石だったり、糸だったり、薬草だったり定期的に取引しているわ。」
炎王ですか。確か今は5代目の炎王だったはずです。王族でもあるランフォンス殿下の番となれば炎王と会うこともある?
「リスちゃん。勘違いしてると思うけど、初代の炎王ね。普段はフラフラしているから炎国に行っても会えないからね。」
ガーン。そ、そんなぁ。
「面倒だ。と言いながらあっちこっちお節介を焼いているから、捕まえるのは難しいかもね。」
陽子さん。私の細く短い希望をザクリと切らないでください。
「炎王が気になったら、あちらから接触してきますよ。今度は私が聞いてもいいでしょうか?」
「はい。」
聖女様から何を聞かれるのでしょうか。ドキドキ。
「貴方の知っている未来は何?」
え?私の知っている未来?私が困っていると
「言い換えます。乙女ゲームは本来どうだったか、知りたいのです。」
「あ、それならお話できます。」
「なになに?乙女ゲームって?」
あ、陽子さんは話をしているときは、いらっしゃらなかったですよね。
そして、私は乙女ゲームの話を始めた。ランフォンス殿下の物語。リッター・グアトールの物語。メルス・スラーヴァルの物語。ユウマ・ラースの物語。
その時点で聖女様の目が死んでいました。小言で、あのユウマが?頭でも打てばそうなるかも?しかし、ラースと言うことはやはり、違っていた?と言っていますが聞かなかったことにします。
そして、私の一押しルー様。ルーク・カークスの話になりますと聖女様は泣いてしまわれました。聖女さまはあのルーちゃんが?良かったのよ。やっぱり、これで良かったのよ。と、おっしゃっておられましたが、どうされたのでしょう。
「ありがとうございます。やっぱり、私はこの未来で良かったと思う事ができました。」
「あの、どういうことでしょうか?」
「本当の未来はそちらの方だったと言うことです。32年前の勇者召喚から徐々に未来が変わって来たそうです。」
「勇者召喚?勇者は居なかったということですか?」
「召喚はされたか、されなかったかは知りませんが、今存在する勇者ではない人物が勇者であったと聞きました。そして、その勇者が入れ替わってしまった事で、あるべき未来が変わってしまったと。」
え。何それ、なんか大事の話になっていませんか?私、ここにいていいのでしょうか?
「まぁ。この国の事はササッチが色々ヤッたおかげで変わってきたと思うよ。この前また国王ぶん殴ったと聞いたし。」
国王様を殴った!え?あの優しそうな国王様を?
「それ、兵士からの盗み聞きですよね。あのクソ狐は飽きもせずに飄々とした顔で成りすましていたので、殴りたくもなりますよね。」
聖女様。流石に国王様を殴るのはやめた方がいいと思います。
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