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第一章 「占拠された花園」
八章 メッセンジャー(4)
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「古代さん? とりあえず行きましょうか」
フリアエが気になって止まっていたのだが皐を無視することは出来ないので動き出す。
「ああ。そうだな」
とりあえず、という言葉を使っているところを聞くと俺が何を心配していたのか気付いているのだろう。皐は俺のことを良くわかっている。
ミーザのことで俺の行動はフリアエから遠ざかっており、後ろの近い席であったのにも関わらずほとんど話さなかった。それは恋人である俺がしてはならなかったことではないだろうか。
俺とフリアエは恋人だ。恋人とは自然と別れるような離れた付き合いをすべきではない。この埋め合わせは考えていた方が絶対に良いだろう。
「古代さんってば、何か気になっているように見えます」
深く考えていた俺に皐が話し掛ける。
「俺に彼女が出来たときの変化って、どんなだと思う?」
俺は直球で質問した。
皐もミーザも俺に恋人がいることは知らないはずだ。なにせ、この関係は緋苗くらいしか知らなく、また気付かれないように体に触れる時やキスをする時など常に周りに注意していた。
しかもそれを何故かパートナーとなっている皐とさっき出会ったミーザに分かるわけないじゃないか。
「……」
皐は無言で考えている。最中、皐は左手を右肘に添えて、少し不安そうな表情で答えた。
「少し嘘っぽい笑顔で楽しいことを探すようになります。それと女を意識するので周りの女性を観察しだし、彼女だけの特性を探す癖があります。その時に魅力的な女性ばかり見つける才があるので、自分の欲望と戦いながらどこか遠慮した付き合いをするのではないでしょうか。私から言えるのは、好き同士の間でいられる内に大胆なことでも済ませてしまい、お互いを唯一の存在にしあうことだと思います」
くっそ的確である。まさに俺の性格そのものを述べきった。
つまり、俺は付き合っている彼女のことを特別な存在として認識しようとして逆効果に陥りやすいので、さっさと済ませるもの済ませてしまった方が安全なのだと言いたいのだ。
例えば……やっぱりセックス? 皐の控えた言葉をその単語と鑑みるにセックスのことしか思い付かない。
俺はフリアエとそんな行為を果たして出来るのか……。
「あの……」
皐がまだ言いたそうに、肘に添えた手の力を強めて掴んだ。
「私、前にたこ焼きパーティーをしたことがあって凄く楽しみました。作り方は簡単なものであればすぐ覚えられますので、もしもパーティーなど開くことがあれば、たこ焼きパーティーを提案するのは好感が持てます」
「……あ? うん。分かった」
いきなりなんのことやら分からないことを教えられて困惑する。彼女の話のどこにその話が繋がるのだろう。
しかし、それを聞くとお腹が背にくっついて苦しい。普段から三食食べてきているので抜かすとこうなってしまう。
贅沢でもこうなるものはこうなる。
「旦那様に彼女なんか出来るとは思えません」
「なんだとミーザ」
ミーザが真上に首を曲げて俺を見ていた。
「旦那様の性格は奥手なのです。仮に彼女が居たとしても、果たしてその条件を果たせるのやらですよ。精々童貞のまま人生を終えるがいいです」
「むぅ、ありえんな。まぁ? お前が彼女なら穴が小さくて童貞のまま人生終えそうだがな」
「この変態! 失礼過ぎるのです!」
「はっはっは、怒ってる怒ってる。ミーザが何言っても俺は謝らないからな~」
ミーザは腕を組んでそっぽを向いてしまった。
俺は皐が気になって仕方がなく隣へ顔を向けると、皐は俯いて左手を肘に添えている状態のままであり、不思議と可憐に見えてしまう。
……きっとこれはいけないものだと思うほど、俺は皐を女の子として意識してしまったのだった。
フリアエが気になって止まっていたのだが皐を無視することは出来ないので動き出す。
「ああ。そうだな」
とりあえず、という言葉を使っているところを聞くと俺が何を心配していたのか気付いているのだろう。皐は俺のことを良くわかっている。
ミーザのことで俺の行動はフリアエから遠ざかっており、後ろの近い席であったのにも関わらずほとんど話さなかった。それは恋人である俺がしてはならなかったことではないだろうか。
俺とフリアエは恋人だ。恋人とは自然と別れるような離れた付き合いをすべきではない。この埋め合わせは考えていた方が絶対に良いだろう。
「古代さんってば、何か気になっているように見えます」
深く考えていた俺に皐が話し掛ける。
「俺に彼女が出来たときの変化って、どんなだと思う?」
俺は直球で質問した。
皐もミーザも俺に恋人がいることは知らないはずだ。なにせ、この関係は緋苗くらいしか知らなく、また気付かれないように体に触れる時やキスをする時など常に周りに注意していた。
しかもそれを何故かパートナーとなっている皐とさっき出会ったミーザに分かるわけないじゃないか。
「……」
皐は無言で考えている。最中、皐は左手を右肘に添えて、少し不安そうな表情で答えた。
「少し嘘っぽい笑顔で楽しいことを探すようになります。それと女を意識するので周りの女性を観察しだし、彼女だけの特性を探す癖があります。その時に魅力的な女性ばかり見つける才があるので、自分の欲望と戦いながらどこか遠慮した付き合いをするのではないでしょうか。私から言えるのは、好き同士の間でいられる内に大胆なことでも済ませてしまい、お互いを唯一の存在にしあうことだと思います」
くっそ的確である。まさに俺の性格そのものを述べきった。
つまり、俺は付き合っている彼女のことを特別な存在として認識しようとして逆効果に陥りやすいので、さっさと済ませるもの済ませてしまった方が安全なのだと言いたいのだ。
例えば……やっぱりセックス? 皐の控えた言葉をその単語と鑑みるにセックスのことしか思い付かない。
俺はフリアエとそんな行為を果たして出来るのか……。
「あの……」
皐がまだ言いたそうに、肘に添えた手の力を強めて掴んだ。
「私、前にたこ焼きパーティーをしたことがあって凄く楽しみました。作り方は簡単なものであればすぐ覚えられますので、もしもパーティーなど開くことがあれば、たこ焼きパーティーを提案するのは好感が持てます」
「……あ? うん。分かった」
いきなりなんのことやら分からないことを教えられて困惑する。彼女の話のどこにその話が繋がるのだろう。
しかし、それを聞くとお腹が背にくっついて苦しい。普段から三食食べてきているので抜かすとこうなってしまう。
贅沢でもこうなるものはこうなる。
「旦那様に彼女なんか出来るとは思えません」
「なんだとミーザ」
ミーザが真上に首を曲げて俺を見ていた。
「旦那様の性格は奥手なのです。仮に彼女が居たとしても、果たしてその条件を果たせるのやらですよ。精々童貞のまま人生を終えるがいいです」
「むぅ、ありえんな。まぁ? お前が彼女なら穴が小さくて童貞のまま人生終えそうだがな」
「この変態! 失礼過ぎるのです!」
「はっはっは、怒ってる怒ってる。ミーザが何言っても俺は謝らないからな~」
ミーザは腕を組んでそっぽを向いてしまった。
俺は皐が気になって仕方がなく隣へ顔を向けると、皐は俯いて左手を肘に添えている状態のままであり、不思議と可憐に見えてしまう。
……きっとこれはいけないものだと思うほど、俺は皐を女の子として意識してしまったのだった。
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