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16.想定外の

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「き、規格が」
「うん?」


 すごくずっしりしている。思っていた感じと違う。


「規格がちょっと適してないというか」


 見ていないので断言はできないが、もしかしなくてもとても大きいのではないだろうか。


「確かに、それはまぁ」
 レオンの方も言葉を濁した。


 外国人男性は大きいというような話を小耳に挟んだことはあったが、まさか自分が体験することはあるまいと思っていた。が、それは真実だったのだと痛感する。
 どう考えても、経験したことのないサイズ感だ。


「痛くしないって言った!」


 セックスは気持ち良いものであるべきだ。莉緒だって快感を知らない訳ではない。
 けれど今まで挿入に関しては常に痛みや圧迫感を覚えて来た。耐えるという意識がこびれついたものになっていた。
 そして今回に関しては、耐えられる自信がない。
 だって、今までだって大変だったのに。


「言ったよ。大丈夫。ちゃんと解すから。たっぷり時間をかけて」
「ひゃう!」
 そんな莉緒の不安を宥めるように、秘裂に宛がわれた太い棹がずるりと谷間をなぞる。
「ぁ、やぁ」
 ソコはもう十分濡れそぼっていて、とんでもなく滑りが良かった。
「すぐには挿れない」
 己に蜜を纏わせるように、何度も何度も長大なモノが往復する。


「まずはちゃんと知って。コレはリオを気持ち良くするためのものだよ。痛いことも、怖いこともしない」


「ん、んう!」
 ぐちゅぐちゅ、粘液が泡立つ音が繰り返し響く。少しずつ激しくなる動き。そのうちに先っぽが莉緒のクリトリスを潰すように刺激を始める。
「あん! あ、レオ、重いの、ね、またおっきくなったぁ」
 素股を繰り返せばレオンの興奮も高まり、その象徴は更に大きさと硬度を増す。
 莉緒は益々無理を感じたが、同時に自分の身体の奥の疼きが強くなっていることにも気付いていた。


 挿らない。そう思う。
 でも、欲しい。コレに満たされたい。
 奥まで捩じ込んで、全部全部埋め尽くしてほしい。ぐちゃぐちゃにされてしまいたい。


 その欲求が、莉緒の身体の強張りを少しだけ解した。
 それを目敏く感じ取ったレオンが、腿を大きく広げさせて遂に先端を蜜口に宛がう。
 莉緒の太腿も下腹も、この時点でもうべとべとだった。十分に濡れている。内側は貪欲に己を満たすものを求めている。


「リオ、大丈夫」
「んっ」


 ちゅぷり、先端が沈み込む。


「ほら、ちゃんと挿るよ。分かるよね?」
 ほんの先端だけ。けれどそう言って、小刻みにレオンの棹が莉緒のナカへ潜り込もうと動かされる。
「は、あ、あ」
「リオ、ナカぬるぬるだね。先っぽだけでもう気持ちイイ。リオ、可愛い」
「んんう!」
 気を散らすように、少し大きな動きをする時はクリトリスや胸を時折弄られた。
 ぐぷっと押し入られる感覚に、不安が先立つ。自分の身体では受け入れるに足りないのではと。
「レオン、はいらな、だって大きいぃ」
「うん、ゆっくりしよう、ほら、カリの部分はもう超えてるよ?」


 最初に言った通り、痛くしないようにレオンは細心の注意を払ってくれていた。太くぱんぱんに膨れ上がったモノを感じれば、どれだけ彼が興奮していて、そしてその上で我慢してくれているかが分かる。
 今すぐに捩じ入れて腰を打ち付けたいその衝動を、きっとすごくすごく我慢している。
 それを思うと、莉緒の胸と下腹がきゅんと啼いた。


 嬉しい。愛おしい。そんな彼だから、受け入れたい。


「はぁ、あ、んんっ」
「っふ、キツ……」
 蠕動と締め付けが一層強くなる。レオンが押し込む動作だけでなく、莉緒自身が彼を引き込む。
「リオ、もうちょっと」
「んぅ、はやく……」
「焦らないで、大丈夫」
 押しては引いて、押しては引いて。襞を捲られる度に、圧迫感と快感が綯い交ぜになって境目がなくなっていく。
 結局、彼はかなりの時間をかけてくれたのではないだろうか。


「リオ、リオ、全部挿った」


 そう告げられた時、二人はもうすっかり汗だくの状態で。
 ずっしりとした下腹の重さと、既に奥の奥まで当たっている感覚に莉緒の身体は甘く痺れていた。


「あ……」
 莉緒の全部で、レオンを受け入れている。いっぱいいっぱいなのは確かだったが、痛みはどこにもなかった。
 レオンは更にしばらくじっとして、莉緒のナカで自分のその大きさが馴染むのを待つ。
「動いてもいい?」
「……うん、大丈夫」
 やがてそう訊かれた時、莉緒の胸にもう不安や迷いはなかった。
 緩やかな律動が開始される。硬く滾ったモノが莉緒のナカをとんとんとリズミカルに行き来する。
「あ、んっ、あ」
 規格が違うからか、少し抜き差ししただけでも毎度莉緒の最奥にレオンは届くのだ。そして数度往復すれば、彼はすぐに莉緒のイイところを見つけてしまう。
「んん! そこぉ」
「いっぱいいじめてあげる」
「や、あぁ、だめっ」


 ぱちゅぱちゅとぶつかり合う性器同士が淫靡な音を立てる。レオンの責めは的確で、莉緒を快楽の渦に突き落としてしまう。


「声、がまんできなっ」
「しないで、いっぱい聞かせて。リオ、手で覆ったりしないで」
「ひぃ、あ、ソコだめぇ」
「リオ、いっぱい啼いて」


 あまりに誘惑上手だ。優しく甘い声で言われると、全部言うことを聞きたくなってしまう。
 恥ずかしいと思っていたはずなのに、莉緒は自分の口元から覆いを外してしまう。
 だってレオンの言う通りにすると、とても気持ち良くなれるから。


「ん、いい子」


 見下ろす顔が浮かべる笑顔からは、色香が滴り落ちていた。湖の色をした瞳は人を飲み込んでしまいそうな引力がある。ただ目が合うだけで、莉緒の心は震えてしまう。


「いっぱい気持ちよくなろうね」


 レオンはそう言って、莉緒の弱いところをぐりぐりと容赦なく責め立てた。
「イ、あ、イっ――――!」
 もうひとたまりもない。莉緒は盛大に達した。ぷしゅっと潮まで吹いてしまっていが、あまりの悦楽に自覚すらできていなかった。
「あ、やぁ、気持ちい……」


 思考がとろりと溶ける。難しいことは要らない。
 ベッドの上では快楽だけが全て。


「あぁ、リオ、可愛い」


 理性の箍がすっかり緩んだ莉緒の顔を見下ろして、レオンがうっとりとした表情を浮かべた。


「リオ、今、僕に抵抗することを諦めちゃったでしょ」


 羞恥のハードルが著しく下がった莉緒とろんとした表情で微笑む。


「…………すっごく可愛い」


 両の膝裏に手を入れられ、莉緒の臀部がベッドから僅かに浮いた。


「リオ、何にも我慢しなくていいからね。今から沢山突いてあげる。気持ちイイの全部教えて。リオの可愛い声で全部」


 そんなレオンのセリフを合図に、抜き差しが再び始まる。
「これ好き?」
「すきぃ」


 どちゅ、と強く最奥を抉じ開けるように穿たれる。全身を駆け巡る快楽に、莉緒の喉は素直に答えた。そうすると、それに応えるように何度もイイところを突いてもらえる。


「あふっ、んん!」
「もっと強くしてほしい?」
「してほし、あ、レオンもっと強くして、いっぱいして」


 求められている感覚が嬉しかった。求めたことに応えてもらえるのが嬉しかった。
 はっきりと定まらない意識の中、多幸感だけは鮮明に感じられて。


「ひぃ、あ、あん! 気持ちイ、すきっ、これすきなのっ」
「こっちは?」
「強いぃ、あ、レオン、お腹いっぱいだから」
「うん、ここ」
「きゅふっ」
 大きな手のひらが不意に下腹に触れた。ソコは埋められたもので膨れ上がっていて、肌の上からなぞらればその形がはっきりと意識できるほどだった。
「すごいことになってる。リオが健気にこんなもの飲み込んで、必死に吸い付いて、あぁリオ、可愛い。本当に可愛い」
 絶え間なく腰を打ち付けられる感覚と外から腹を軽く刺激されるのとで、莉緒の身体は戦慄いた。
「レオン、あ、すごいの、奥届いてるの……!」
「うんっ」
「ひう、またイっちゃう、イっちゃう」
「こっちも、もう我慢できそうにない」
 これ以上奥などないのに、貪欲に莉緒のナカはまだレオンの太く長い棹を引き込もうとうねる。ほしくてほしくて堪らなかった。
「しないで、あ、一緒にっイきたい……!」
 本能の部分が吐精をねだるように屹立を締め付け、搾り取るような動きをした瞬間、さすがにレオンの方にも限界が訪れた。
「ぐっ」
「んん――――っ!」
 びくびくと震える棹。リオの蜜路も激しく痙攣する。
 膜越しに吐き出される感覚を、莉緒は恍惚として受け止めた。





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