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19.重ねるごとに
しおりを挟むやっぱり違う。色々違う。
「あっ、んん……!」
莉緒の喉から漏れる喘ぎは、シャワー音がお湯と一緒に流してしまう。
広い浴室で莉緒は後ろから抱きすくめられ、あちこちをレオンにまさぐられていた。
部屋に入った瞬間から部屋の広さと調度品の格式の高さ、そしてバルコニーから湖を一望できるその景観の良さに絶句した。
テンションが否応なしに上がるのと同時に、一体一泊いくらするのだろうと思ってしまったのは許して欲しい。莉緒一人なら経験することのないだろうクラスの部屋だったのだ。
そんなお部屋の浴室だ。二人で入っても当然まだ余裕がある。
「はふっ」
「リオ、ここぬるぬるしてるね」
入って来なよと言われてのこのこ向かったのが間違いだった。
莉緒が服を全て脱ぎ去って身体を濡らしたタイミングで、一緒に入っていい? とレオンがやってきたのだが、あれはどう考えても確信犯だった。
最初から訊いていれば莉緒が拒否すると分かっていて、そう簡単に逃げられない状況にしてから乗り込んで来たのだ。
「レオンっ、やっ、そこは」
「綺麗にしなくちゃ。洗ってあげる」
「ひうっ」
明るい室内が莉緒の羞恥を煽りに煽る。
洗ってあげるだなんて白々しい言い方だ。最初に擦りつけられたボディソープはとっくにシャワーが洗い流している。
莉緒は正面に据え付けられた鏡から必死に目を背けた。
そこにはすっかり胸の頂いをいやらしく赤く尖らせ、いたずらなレオンの手に物欲しげに身体をくねらせる自分がいるのだ。
レオンは事あるごとに可愛い可愛いと莉緒に言うが、莉緒は自分のこんなだらしないところを見られたくない。
可愛い要素なんてどこにもないではないかと、そう思わずにはいられない。
「レオ、あ、ゆびぃ」
くぽっとレオンの長くて太い指が莉緒の秘所に潜り込んで行く。
「はぁっ! あ、ナカ……」
「すごく濡れてる。沢山弄ってほしくてこんなになってるの、すっごくいじらしい。堪んないな」
莉緒の隘路はうねって誘って、すぐにその指を根本まで飲み込んでしまう。ざらつく襞を擦られれば、快感に内腿がぷるぷると震えてしまう。
「リオ、可愛い。僕に触られると、すぐに顔もナカもとろとろになっちゃうね」
「みないで、明るいのやだぁ」
「でも暗いところ苦手でしょ?」
これだけ広ければ大丈夫だ、そもそも一緒に入ることに同意してないのに、様々な言葉の用意があったが、それもレオンの手管の前では散り散りになってしまう。
「リオの身体はどこもかしこも柔らかくて、すべすべで甘い」
「あぁん……!」
不意に耳の中に舌を捩じ込まれて、莉緒は一際甘く啼いた。
そんなことをされたことが今まで一度もなかったが、これはダメだと瞬時に悟る。
「あ、あ、あっ、だめ、ぞわぞわするからっ」
首の後ろをコントロールできない痺れが何度も去来する。
「あぁ、ここ、弱いんだ?」
「レオ、」
「弱いところって、要するにすっごく気持ち良くなれる可能性を秘めてるとこってことだよね」
ぐちゅぐちゅ、舌の先で器用に何度も擽られて、莉緒は抵抗することを諦めた。というか、快感を何とか受け止める以外のことをする余裕がどこにもない。
「は、はっ、あんん」
耳の中を犯され、蜜壺には複数の指の侵入を許し、乳房は大きな手の中で卑猥にその形を変え続けている。与えられる快楽に身体がどんどん貪欲になる。
気付けば臀部に当たっていた硬く硬く滾ったソレに、必死に自身から擦りつけるような動きをしていた。
「ほしいの?」
「んっ、はやく、レオンでいっぱいにして」
「っ!」
ビクンとこちらを抱すくめる逞しい身体が震える。
「リオってば誘惑上手」
ぞくっとするほどの色香を含んだ声。
「でも今はゴムしてないから、これで我慢して」
「はぁん」
腿の間に厚く太く滾ったものを挟み込まされた。ずちゅ、と力強いソレに秘裂を擦られた瞬間、快感に身体が跳ね上がる。けれどそれも全部レオンの身体で抑え込まれてしまう。
「んっ、んう、はぁっ」
密着した肌と肌、ビクビクと震える棹が時折クリトリスを掠めて更なる刺激を与える。
耐え切れず身体を折り曲げて、莉緒は必死に伸ばした手を鏡に付けた。
「きもちい、あ、レオン……!」
鏡の中には蕩けた顔をした女がいた。後ろから腰を掴まれ、何度も何度も逞しいもので秘裂を擦られ、それをもっとちょうだいと自らねだるように身体をくねらせる。
だらしない表情とかはしたないとか、そんなことを考える余裕はなくなっていた。
気持ちイイ、でももっと。もっとほしい。
快感の最中で莉緒は必死に腿に力を込めて、レオンのソレを刺激する。
「リオっ」
タイミングが良かったのか、堪え切れなかった彼が限界を迎える。腿の間でビクビクと脈打ち、先端から迸る生暖かい白濁が莉緒の脚を汚す。
「つぎ」
「うん?」
荒い息を吐く彼を振り仰ぎながら莉緒はねだった。
「つぎはナカに来て」
「っとに……!」
荒々しいキスが降って来る。口の中を散々嬲られた後で、溜め息と共にレオンは吐き出した。
「僕の恋人は誘惑が上手すぎる」
◆◆◆
クイーンサイズのベッドに雪崩れ込む。
一度出したところだったが、レオンのソレは再び鎌首を擡げ始めていた。
これまた薄々気付いていたことだが、彼の性欲はなかなかにすごい。
行為が一度で終わった試しなどなく、二度、三度と続く内にいつも莉緒は疲れ果て意識を失ってしまうのだ。
「物欲しそうににひくひくしてる」
莉緒に脚を大きく広げさせ、その間でレオンは悠々と恥ずかしい場所を眺めてくる。
「レオン、意地悪しないで」
「そういう訳じゃないよ」
もう一秒だって焦らされたくない莉緒がそう抗議すれば、苦笑して彼は避妊具を身に付けた先端を莉緒の入口に宛がった。
「リオのナカに入る時、いつもちょっと不安になる。こんな小さな身体にホントにこんなブツを捩じ込んで、リオのことを損なったりしないかってね」
確かに。
最初に感じた規格外という認識はそう間違っておらず、レオンを受け入れるのに莉緒は苦労するし、ナカにいる間にはびっくりするほどその存在感を訴えられ続ける。
けれど、それももう莉緒にとっては好ましいものになっていた。
これ以上はないと言うほど押し拡げられ、ずっしりと居座られる感覚。
自分の全部を彼のために明け渡し、同時に全てを委ねられている。
それも多分、彼が自分の欲だけでなく丁重に莉緒の身体を扱うからこそ得られる感覚で。
「リオ、いい?」
「……うん」
グッと腰を押し付けられる。自分では触れられないところ全部に、レオンが代わりに触れて行く。
「はっ、ぁん」
奥まで全部を咥え込んで、莉緒は甘い吐息を漏らした。身体は素直に悦んで、押し入ってきたソレをきゅうっと締め付ける。
「っふ、可愛いことするなぁ」
「そ、そういうつもりじゃ」
「リオの好きなところ、沢山突いてあげる。可愛い声、いっぱい聞かせて?」
莉緒が照れても、素直じゃなくてもレオンはおかまいなしだ。というか、そのうちに莉緒の理性をとろとろにして、いつの間にか素直にさせてしまう。
ちゅっとこめかみに優しく口付けたかと思ったら、続く行為は正反対に激しかった。
「あっ、まって……!」
「最近、リオのイイところ分かってきたから。ほら、ここでしょ?」
臀部が浮くくらいに脚を持ち上げられる。折り曲げられた身体に捩じ込まれた屹立。奥の奥を絶妙な角度で抉られ、そのあまりの快感に莉緒の理性は一気に弾けた。
「ひっ、あぁっ、これぇ」
「深いの気持ちイイ?」
「んん――っ!」
セックスが、こんなに饒舌なものだとは思わなかった。
莉緒はされるがままにベッドの上で翻弄されながら、この行為の奥深さを知る。
身体を重ねれば重ねるほど、相手の内面の奥深さを知る。艶のある声も、深い欲望を湛えた瞳も、奥を突くその激しい動きも。全部が莉緒のことを愛しいと訴える。
激しいけれど、丁寧だ。莉緒のことを大切にしてくれている。それが嬉しくて、莉緒も応えるようにレオンを締め付け、啼き、舌を絡め合う。
自分の中にあるこの愛おしさも、相手に伝わればいい。
そう思いながら、必死に身体を重ねる。
「深いのイイ? リオ? 教えて?」
「ふかいの、きもちいっ、これすきぃ」
「これ?」
「あ、うんっ」
玉のような汗が二人の肌を転がる。淫猥な水音は劣情を煽る演出の一つでしかない。
「こっちは?」
「ひう! レオ、らめ、そこもすごいの!」
「そっか、じゃあいっぱい突いてあげる。ほら」
「ひぃっ、あ、あぁ、んぁ!」
「気持ちイイね?」
「あ、レオン、よすぎてっ、もう」
「うん、イッて、リオ。何回でもいいよ。沢山達して」
弱いところを何度も突かれ、莉緒が高みに達するのにそう時間はかからなかった。ベッドのスプリングを軋ませながら、盛大に果てる。
「ん、んん――っ!」
おまけに仰け反らせた無防備な喉を咥えられ、莉緒はレオンの腕の中でまた更に身体を震わせた。
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