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1 幼少期、少年期 編

この世界での僕への扱い

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…夢だったのか。おそらくそうだろう。だが、あの出来事は本当だと、何故か確信している。

「おはようございます。レセア様。」
「おはよう」

またこのメイドさんだ。どうやら、この立派な部屋に対して、使用人は一人らしい。そういえばだが、乙女ゲームの世界ならば、この世界がどうなっているか、どういう者なのかを、なおさら調べないといけないような気がする。

「今日は図書室へ行っていい?」
「…わかりました。どうぞ。」

この反応は渋々と言ったところだろうか。もしや、行きたがっていたのか?賢いな、このレセアは。だが今ではもう、レセアは自分だがな。


図書室へ着いた。綺麗だ。本が沢山ある。まずはこの世界のことからだ。どんな世界でも、知らなければならない情報だからな。小さい頃から、反感は買ってはならない。

この本はどうだろうか。「アルスド王国の歴史」。見てみよう。

…ふむふむ。ここの言葉も、スラスラと読める。金髪の女性と青髪の男性が、魔王を倒したところからこの国は始まったそうだ。よくわからないな。普通ならば、元々魔王とは国単位で揉めててっていうのが、主流というかファンタジーの醍醐味というか、なんというか。

…!?魔王が茶髪だと!?普通は黒髪が多いのだが…。
そして忌み子の印となっているらしい。なんだよそれ。俺の見た目は茶髪だ。ということは俺は忌み子だったのか!
そういえば、あの部屋に外には出るなとドアに書いてあった気がする。軟禁か?

そんなことがあるなんて。だが、メイドさんは図書室へ行くのをOKしてくれたのだ。嬉しい。
…ってそんなことを言っている場合ではない。さっさと調べないと。

…ふむ。大体理解できた。天崎優雅としての現実世界ではあり得ない話だが、今はファンタジー世界だ。もうなんとでも来いである。

そういえば、部屋にいないことを知られてはまずいかもしれない。結構時間も経っているしやばい。
唯一と言ってもいいほどの関わる人なのだから。解雇や、出ていかれては困る。
…ガチャ。
「おかえりなさいませ。レセア様。」
「…ただいま。」
「もしかしてこの国の…?」
「…はい。やっと僕を、嫌っていた理由がわかったんです。今はただそれだけで、満足ですから。」
「そうですか。」

「…よかった。」
「何がですか?」
「あなたが居なくなってなくて。こんな僕に仕えてくれているのですから。僕が図書室に行きたいと願ったばかりに、バレてしまったらと思いまして…」
「そうですか。でも大丈夫ですよ。」

ふわっと、メイドさんが笑った気がした。

でも、それ以前によかった。居なくなられては困る。
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