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8月2日(2)

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 私はおもいきって半ズボンと下着に指を掛け、ずり下ろした。下着のふちに引っ掛かった陰茎は、反動でビタンと私のお腹に当たり、硬さを保ったままヒクヒクと揺れていた。夏の外気が直に当たり、開放感と興奮で体が震えた。

 ――今にして思えば、桜は下着までしか見せていないのだから、私も下着まで見せればよかったのだが……。当時の私は、1つ年下の女の子に勃起した陰茎を見せつけることで、相手の反応と快感を得ようとしていたのかもしれない。

「……おちんちん」

 桜は勃起した男のそれを見るのは初めてだったのだろう。くりっとした目を見開いて、私の陰茎をまじまじと眺めた。トトトっと、私の横に並び、人差し指で陰茎をつつくと同時に「さわってもいい?」と私の顔を覗き込んできた。

 私が首を縦に振ると、桜は両の手で私の股間をいじくりまわしだした。親指と人差し指で陰茎をつまみ、硬さを確認したり、生えかけの陰毛を指でなぞったり、睾丸をさすったりと、興味の赴くままに手を動かしていた。
 
「さきっぽ、なんかでてきたよ」桜に言われて見てみると、確かに鈴口から透明な露が垂れていた。

 桜は人差し指の先を、鈴口に押し当て、グリグリと先走り汁を塗り広げるよう動かした。ビリっと体を走る快感に、私は腰を引き、一歩後ずさった。桜の指と鈴口からでる先走り汁は、短く糸をひき地面に零れた。

「痛かった?」

「――ハァ、ッううん。ちょっと気持ちよかったから……」

「そうなんだ」桜は、気持ちよかったのならと思ったのか、先ほどと同じく鈴口を優しくなでた。しばらくそれを繰り返し、私が甘い快楽に悶えていると、桜の興味は亀頭を半分ほど隠す包皮の部分に移ったらしかった。

 私はいわゆる、仮性包茎だった。桜はその皮を剝き下ろそうとしたのだろう、くにくにと、亀頭に被った皮をつまみ先端をあらわにさせていった。完全に剥けきると、ビリッとした痛みと快感に声を漏らし、腰が引けそうになった。桜はチラと私の顔をみて、大丈夫と判断したのか、行為を続けた。皮をむいて、戻し、皮をむいて、戻す。気に入ったのか桜はそれを続けた。しごく形になったそれは、当然ながら快感を生んだ。

「ハァ、ハァ……ッ、あ、く、んんッ」私はいつしか声を漏らしていた。快楽を受け止め荒い息を吐く私を、桜はどう思っていたのだろう。押し寄せる快楽の中でチラリと見た桜の顔は、どこか満足気な表情を浮かべていたような気がした。
 
 それがやってきたのは突然だった。ビュルルと鈴口から何かが噴き出し、地面に飛び散った。桜が驚き手を止めた後も、2度3度と震え、地面を汚していく。――それが私の初めての射精、精通だった。

 桜は、荒い息を吐く私と地面に降り注いだ白い液体とを交互に見ていた。

「……ハァ、ハァ、ッんく、……射精、精液だと思う」

「……精液」

 私はおぼろげな、保健体育で得た知識を話した。

「学校で習ったかも」

 そう言うと、桜は地面にへばり付いた精液を指でつついた。「あったかい、ぶよぶよで――変なにおい」確かに辺りにはイカ臭いような独特の臭いが漂っていた。

 私は下着と半ズボンを履き、虚脱感の残る体をソファに預けた。精液を観察していた桜も横に座った。気恥ずかしさから何も言えないでいると、桜は「気持ちいいと精液でるの?」と尋ねてきた。

「……うん、たぶん」

「もういっかいやったら、また出る?」

 もういっかい、その言葉に先ほどまでの行為が頭に思い起こされると、私の陰茎は再び硬さを取り戻していった。その様を見ていた桜は、「ん」と呟き私の半ズボンと下着をずり下ろした。射精を覚えたてのそれは、快楽への期待から天を向き、射精したばかりとは思えない有様だった。

 桜は右手で、私の陰茎を掴みしごき始めた。亀頭が露出し、また隠れを繰り返す。先ほどの残り汁が鈴口からは溢れ、桜の手を汚していった。桜はそれを気にもせず、潤滑油としながら手を上下に動かす。ぬちゅぬちゅぬちゅ、と卑猥な音を立て、亀頭と包皮の間には白い泡が溜まり始めていた。

「あっ、ぁく、あぁ」ソファから腰を浮かせ、突き出しながら、出来るだけの快楽を得ようと必死になる私の姿を見て、桜は右手でしごくのを止めぬままに左手で亀頭を撫で始めた。

「きもちいい?」

「――ッ、……ゥ、ハッ、ハァ」私は言葉を発せず、ただひたすらに首を上下に振った。

「ちゅっこ、ちゅっこ。よし、よし、いいこいいこ」

 股間から出る音を口にしながら、小動物でも愛でるような口ぶりで私の亀頭を撫で上げる。その間も右手でしごくのは止まらない。桜は器用にそれをこなしていた。

 ふと視界を、桜の胸元に移すと、ワンピースの隙間から彼女の乳房が見えた。微かに膨らみをもったその先端には、薄桃色の乳首がわずかに主張をしていた。桜の動きに合わせて見え隠れするそれを見ながら、私の射精感は高まっていった。

「――桜っ、もう、出る、……精液っ」

「うん、出して。……いいよ」

 その甘い声で出された許可に、我慢をする必要はなかった。睾丸が収縮し、尿道から精液が迸る。亀頭を撫でていた桜の手のひらに、ビュクビュクと遠慮なく精液を吐き出していく。強烈な快感、そして解放感。頭の中が真っ白になるようだった。

 吐き出された精液を、桜は眺めていた。手のひらの上に溜まったそれは2回目の射精と思えないほどに濃く、量も多かった。私は脱力しソファに身体を預けながら、その様子を見ていた。私の息が整う頃には、桜も満足したのか、手のひらをくるりと地面に向けた。へばり付いた精液はなかなか地面に落ちなかったが、桜が指先でなぞるとボトリと落ちた。

「……おちた」

 私は近くを流れる小川に、桜を連れていき我慢汁と精液とでベタベタになった手を洗わせた。洗い終えた後も、桜は小川に手を突っ込み続けていた。私も隣にしゃがみ、手を入れる。冷たい水の感触が心地よかった。

「……ねぇ」

「うん?」

「おっぱい見てた」

 先ほどの行為の最中の事を指摘され、私は慌てた。女性というのは少女でも、異性の視線に敏感なのか、それとも私が分かりやすく必死に覗き込んでいたからなのかは定かではないが、まごつきながら私は「ごめん」と謝った。

 桜は小川から手を引き抜くと、握りこぶしの状態から勢いよく手を開き、私の顔に水滴を飛ばした。

「冷たっ」

 桜はいたずらっぽく微笑むと、「見たから明日」と呟き、手を振り去っていった。

 残された私は、その言葉の意味を考えながら顔に掛かった水滴を拭ったのだった。
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