理学療法士だった俺、異世界で見習い聖女と診療所を開きました

異世界で仲間が増えました

せっかちな患者

　山の中で転げ落ちた患者さんが診療所に運ばれてきたがミミの魔法では枝で切った傷と腕の骨折を同時に治せないため、まずは傷の方を応急処置でとりあえず止血してから、ミミに骨折の治療を俺は頼んだ。

「それじゃあミミ、まずは骨折を頼む」
「はい！治癒の精よ我が声を聞き、我が望みを叶えよ」

　呪文の詠唱を終えるとミミの手から眩い光が患者さんの骨折した右腕に放たれていき、光が消えるとミミが俺に確認を懇願する。

「ユーイチ様、照射診断レントゲンで骨がくっついているかの確認をお願いします」
「分かった」

　そう言って俺はスマホで再度照射診断レントゲンの機能を使用し、骨がしっかりとくっついているかを確認する。ん？骨はくっついているが神経に後遺症がある事が表記されているな。

「すいません、手は動きますか？」
「いや、動かねえ。もしかして治らなかったのか」
「いえ、骨はくっつきましたが神経に後遺症が残っています。これは自分に任せてください」
「よくは分かんねえが、評判の診療所らしいし頼むぞ」

　久しぶりにスキルの発動だ、行くぞ！

「最適化リハビリ！」

　俺も手から光を後遺症の残った右腕に向けて放ち、光が消えた後に改めて確認をする。

「動きますか？」
「ん、ああ動く！動くぜ！助かった！ありがとよ」
「またお困りの時は当クリニックにおこしください」
「おお、あ、そうだ治療代ってこれくらいでいいのか？」

　患者さんはそう言いながらコインを出してきて、一応確認すると足りていたので俺もお釣りを返してお礼を言った。

「ありがとうございます」
「いや、礼を言うのは俺の方だ！ケガが治ったし仕事の続きに戻るからなじゃあな」
「あ、待ってください、一応傷の方も応急手当だけじゃなくてちゃんと治療しないと」
「だけど、もう金がねえし、続きは今度でもいいだろう」

　治療費が足りないと思って患者さんは帰ろうとしたが俺はそこで引き留めたもう1つの理由を話した。

「すいません、すぐに傷の治療もするつもりだったので、さっきの支払いで足りていたんですよ」
「そうなのか、もっと早く言ってくれよ！危うく損をするところだったぜ」
「それはお前がせっかちなだけだろう、早く治療してやってくれ、そそっかしい奴だから」
「は、はい」

　先に止血をしていたし、これは傷薬を塗って、改めて傷の保護を包帯ですれば大丈夫だろう。

「これで終わりです」
「おう、それじゃあな」

　大きなケガの対処に時間を取られたがどうにか、午前の診療を終えた。さて休憩時間の間にアレフさんにプレゼンをしないとな。